エピローグ〜春の訪れと刺繍の行く末〜
エピローグです。物語は続いていきます。
こうしてバラム国に春と共に女王が誕生した。
どこからともなく、吟遊詩人の歌が聞こえる。
ひとりは大きく、力強き王。だが言葉はつたなく、愛を語る術を持たぬ人。
ただその背で、腕で、不器用に示そうとしたーー「共に在りたい」という願いを
ひとりは幼く、青き瞳を輝かせる娘。
愛を抱きながらも、素直に告げることができず
口を尖らせ、時に背を向け、
それでも心はただひとりを慕った。
ーー「傍にいてほしい」という叫びを
ふたりは何度もすれ違い、言葉にできぬ想いを胸に溜め、時に涙を流し、時に怒り、それでも離れずに歩み続けた
そしていつしかその絆は言葉よりも深く
嘆きよりも強く
ひとつの命を抱くまでに育った
さあ、聞けーーこれは不器用な王と、幼き妃の物語
不恰好で、愛らしく、やがて国を照らす光となった恋の歌……
「できたわ!アルバ!見て!」
「おお、見事な刺繍だな。早速部屋に飾ろう」
「きゃっきゃ、きゃっきゃ」
続きをどうするか迷って長いこと放っておいたオリガの刺繍。
『アルバの手の先には何を掴ませようかしら』
アルバの手の先にはオリガと、オリガとアルバの娘が大事そうに抱かれている姿ーー
アルバはそっと刺繍に手を添えて目を細める。
「……これが、俺たちの宝物だな」
オリガは笑顔でアルバの腕に身を寄せ、娘を抱き寄せた。
「うん、家族の宝物……ね」
窓の外には春の光が差し込み、柔らかく三人の影を照らす。
何度もすれ違った。でも確かに結ばれた二人と、彼らの小さな命は、これからも幸せな日々を紡いでいく事だろう……
完
お疲れ様でした!ここまで二人のじれじれ恋愛に付き合ってくださりありがとうございました。王道のラブコメを一度は書きたかったんですよね。
くっつきそうでくっつかない。あと一歩でどうしてそうなるんでしょうね?ていう恋愛もの大好物なので楽しんで書けました。
まだ未解決の部分は(巫女の事とか罪人とか王女の成長期とか)また番外編で書きたいと思います。
二人の行く末を最後まで見届けてくれて本当にありがとうございました。
最後まで読んで頂きありがとうございました。またどこかの小説でお会いしましょう!




