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わがまま王妃の奮闘記!  作者: 杉野みそら
最終章

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142/143

新しい物語

季節は巡り……

 その後の日々、オリガは静かに、けれど幸せな時間を過ごした。

 アルバは欠かさずオリガの側に寄り添い、アディやカミラが支えた。


 新しい命の成長は、家族だけでなく国全体の希望となっていった。


 ーーそして。


 季節がひとつ巡り、城の一室に産声が響く。


「……生まれた!王女様のご誕生です!」


 小さな命を抱いた医師の声に、そばで控えていたアディは涙が堪えきれない。アルバは緊張で心臓が飛び出しそうになっており、体が硬直していた。


 オリガは汗に濡れた額で、医師に促されて赤子を胸に抱く。


(この子が……私の赤ちゃん、なんて小さくて可愛いの??)


「こんにちは……私の赤ちゃん……」


 アディが耐えきれず、おいおいと泣き始めたので慌ててカミラがアディを引っ込ませる。


「アディ落ち着きなさいって!赤ちゃんよりあなたが泣いてどうするのよ!」


 やがて産声が静まると、オリガが小さな包みを抱えてアルバを手招きする。


「……アルバ、見て……私たちの子よ」


「……ああ」


「抱いてみる?」


「……えっ、俺が?」


 アルバは思わず後ずさる。


「ちょ、ちょっと待て!こんな……小さすぎる!俺の腕じゃ、折ってしまいそうだ」


「もぉ〜アルバったら。大丈夫ですよ、お父さん。ほら、私たちの娘よ」


「……父さん、俺が……」


(そうか、この子が俺の……)


 覚悟を決めたアルバが、恐る恐るといった感じで赤ちゃんに手を伸ばす。


「ああ……」


 抱き抱えたその感触は、まるで綿菓子のように軽くて、柔らかくて……脆くて。少しでも力を入れたら文字通り壊してしまいそうで。


「ほらね、平気だったでしょう?」


「……あ、ああ……俺とお前にそっくりだ。この金色の髪はオリガ、この緑色の目は俺の……」


「…………ッ!!」


 その瞬間、オリガの目から涙が溢れた。


「アルバ……私、今すごく幸せよ……こんな小さな奇跡を、あなたと一緒に抱ける日が来るなんて……」


(わがままだった頃の私には、おそらく抱くことができなかった幸せを……あなたがくれた)


「ありがとう……アルバ……」


 だがアルバはそれどころではないようで腕の中の赤子にわたわたしていた。


 赤ちゃんの指先ほどの手がわずかに動くたびに、アルバは体ごと硬直した。 


「お、おい……今動いたぞ!?これ、呼吸できてるのか!?泣いてないが大丈夫なのか!?」


「ふふっ。アルバ、静かに。起きちゃうわ」 


 オリガが苦笑した。

 アルバは赤子の顔をのぞき込んで、ほっと息を漏らした。


「……こんなに、小さいのに……しっかりと生きているんだな。手も、何もかもが小さいのに不思議だ……」


 その声音は震えていて、目元には熱いものが滲んでいた。


「壊すのが怖い……だが、ずっと抱いていたい」


 オリガはその姿を見つめ、優しく微笑む。


 突然、赤子の小さな手がアルバの指を握る。


「お、おい……こんなに小さいのに、力があるぞ……俺を握って離さない」


 アルバが目を丸くすると、オリガはくすりと笑う。


「アルバに似たのかもしれないわね!」


 二人は顔を見合わせ、自然に微笑んだ。


「ありがとう。アルバ……」


「こちらこそ。ありがとうオリガ……」


 やがて二人はお互いに唇を寄せる。


 これからの日々がどんなものになるか、まだ誰にも分からない。

 でもーーこの小さな命と一緒なら、きっと笑って進んでいける。


「……必ず、オリガとお前を守ると誓おう」


 アルバは自分の腕の中ですやすやと眠る宝物にキスを落とす。


「アルバ……」


 窓から差し込む光の中で、三人の影が重なった。


 新しい物語の始まりを告げるかのように、礼拝堂の鐘が鳴った。


オリガとアルバ、二人いや三人の物語はどんなものになるでしょうね?二人なら乗り越えていけます。どんな困難でも……


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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