根も葉もない噂
体調がだいぶよくなってきたと思っていた矢先、オリガはある日おかしな噂を耳にする。
「オリガ様……!」
「アディ!!」
「うぇーん!オリガ様ぁ、心配しましたァ!!」
アディは泣きながら私の元にやってきて、言葉にならない声を漏らした。
「よがった……本当によかった……おべでとうございばず、オリガ様……」
私もつられて泣きながら喜びを分かち合う。
「ありがとうアディ。まだ実感が湧かないけど、私、母になるのね……」
「はい……おめでとう御座います……グスッ、私はてっきりまた私の知らないうちに毒でも盛られたのかと思って……」
「まぁ!アディったら心配しすぎよ。だって私にはなんたって最強のアルバがついているのだから」
「アルバ王〜〜〜〜?」
いまいち信用できないといった様子のアディを見て、私は思わず吹き出した。
「アディが知らないのも無理ないわ。でも私はいつもアルバに助けてもらっているの。アルバが口下手だからあまり語られてはいないけど……」
「確かにそうですね!」
アディはそれもそうか、といった感じで頷く。もうアディは泣いてはいなかった。
「ふっ」
「ははっ」
「……何を笑っておる。アディ、手桶を持ってきてくれ」
「はっ」
アディは短い返事を返すと手桶をとりにすぐ引き返していった。今の今まで泣いていたのに……さすが、切り替えが早い……
「アルバ……」
「調子はどうだ?オリガ、気分は?」
「はい、だいぶよくなりました。たくさん寝たからかしら?ありがとう、アルバやアディが黙っていてくれるおかげで、私はいつも通りに過ごせているわ」
「ああ……造作もない事だ」
実はまだ私が倒れたばっかりの頃、私を担いで馬小屋から出て行くアルバの姿を誰かが見ていたらしく、バラム城はちょっとした騒ぎになっていたのだ。
『オリガ様は絵の中から飛び出してきたらしいぞ』
『アルバ様はオリガ様を想いすぎて、日中でも幻を見たそうだ』
『オリガ様は月明かりを浴びて力を得るらしい』
……とまあ、どこをどうやればそう解釈できるのか……誰がどう見ても嘘とわかる噂が飛び交ったらしく、城の者は興味深々で、アルバの部屋の前には人だかりができてしまった。
「まぁアルバの一喝で、噂も人も霧散していったのですけどね」
アルバが怒鳴ったおかげで、城の者はすっかり縮みあがり、城の噂はすっかり形を潜めてしまった。
「ああ……」
「本当にありがとう。アルバ」
「いや、俺はあれじゃ足りなかったと今でも思っている。あの日以来、お前は吐いてばっかりになったじゃないか」
「いえ、それとこれとは別の問題で……うっ」
「オリガ!」
アルバはアディが持ってきていた手桶をさっと持ってきてくれた。
「ゲホッゲホッ……」
「オリガ、辛いか?」
背中を摩りながらアルバが心配そうに聞いてくる。
「いえ、平気です……」
「アルバ様!オリガ様の故郷の方から手紙が届きました!オリガ様のご両親からです」
カミラが書類と荷物を持って慌てて入ってきた。
アルバはオリガを守ろうと必死です。
過去のオリガとも約束したし!
最後まで読んで頂きありがとうございました。




