静かな芽吹き
新章突入!
森の中で突然倒れたオリガ。
アルバはソウタを走らせ、全速力で城に戻る。
アルバはソウタを走らせ、息を切らしながら城へと戻った。ソウタを降り、オリガを抱えながら叫ぶ。
「アディ!! 医師を呼べ!今すぐだ!」
「オ、オリガ様!!……一体何が……オリガ様!!」
アディが慌ててぐったりとしたオリガに駆け寄る。
オリガの蒼白になった顔を見て驚いたアディの顔にみるみる怒りの表情が浮かぶ。
「……アルバ様……!……オリガ様を守ると約束なさったのに!!」
「……っ」
アディは涙を浮かべてアルバを睨む!一介の侍女が主人にこんな目をしたのを見たことがない。
《それじゃ王妃様、行ってらっしゃい。アルバ様、オリガ様をよろしくお願いしますね》
《じゃあねアディ!夕方には帰るから!》
「……いや、いやよ……オリガ様……」
アディはその場にしゃがみ込んでしまった。
「アディ落ち着きなさい!アルバ様、ここは私に任せて早くオリガ様を!ヤマトが医師を手配しています」
カミラが慌ててやってきて啜り泣くアディの背中をさする。
「……クソッ、」
(守ると約束なさったのに!)
アディの言う通りだ!守ると誓っていながらいつも俺は……
寝台に横たえられたオリガの白い頬は青ざめ、汗に濡れた額が冷たく光る。
俺はその手を握りしめ、必死に呼びかけた。
「オリガ……頼む、目を開けてくれ」
やがて医師が到着し、オリガの脈を測り、瞼を確認し、耳に手を当てる。
「どうなんだ!?オリガは……病か?命に関わるのか!?」
苛立ちを隠せず声を荒げるアルバに、医師は落ち着いた声で答えた。
「ご安心ください、お二人とも、命には別条ありませんよ。アルバ王」
「ああ……よかった……」
……ん?二人?
「……そなた、今二人と申したか?」
「ええ、王。オリガ様は妊娠しておられます」
「…………は?」
「ご懐妊でございます。おめでとう御座います。国王陛下、王妃様」
医師がその場で礼をした。
言葉を失ったアルバの腕から力が抜ける。
その場にへたり込み、思わず笑みが零れた。
「そういうことか……よかった……」
「ご懐妊??オリガ様が……?!」
さっきまで泣いていたアディが顔をあげてこちらを見ていた。
「オリガ様!!……よかった!!私はてっきり……」
そう言ってアディは涙を浮かべて寝ているオリガの手を握る。
「よかった……本当に……」
アルバはオリガの顔を撫でる。それを見て、アディが慌てて離れた。
「……アルバ様、先程は失礼しました。取り乱したとはいえあのような無礼な振る舞いを……」
「……いや、いいんだ。俺も油断していた」
そこでアルバはハッと気付く。今こそ油断しているんじゃないのかと……
(待てよ、これこそ安心してはいけないんじゃないか?医師の診断はまことか?)
「……もう一度言え。本当に……オリガは妊娠しているだけか?」
「ええ、間違いなく」
その答えを聞いた途端、アルバはまたも床にへたりこんだ。今度はアディも一緒にへたり込む。
「お、王!?アディも!大丈夫ですか!?」
カミラが慌てて二人の元へ足を運ぶ。
「はは……まことか、ああ……」
額に手を当て、震える息を吐く。
「アルバ様.....」
とカミラが心配そうに近づいてくる。
アルバはかすかに笑った。
「情けないな……こんなに嬉しいのに、立っていられないなんて」
オリガ様ー!!無事でよかったね!しかもさらに嬉しいお知らせ!
最後まで読んで頂きありがとうございました。




