巫女たちの言い分
よりによって王と王妃のプライベートな時間にまでズカズカと入り込んで来た巫女たち。果たしてその言い分は!?
「アルバ様、私どもは決めたのです!我々の敬愛する女神ルクスフィーナのお導きにより、二人のことに口は出さないようにと!でもこれは見過ごせません!」
「???」
「よりによって天使のルクスフィーナ様を堕天使のアルバ様が汚すなど言語道断!!」
ガシャガシャガシャーン!
巫女どもが言い放ったその瞬間、アディがものすごい音を立ててずっこけたのがわかった!
「……なんの事だ?」
嫌な予感がひしひしと……まさかこいつら、仮装と本物の区別がついてないのか?
「神聖なルクスフィーナ様を汚さないでいただきたいのです。アルバ様。そういうのがお好みでしたのならルクスフィーナ様以外でお願いします」
俺は頭を抱えた。こいつらクソ真面目な顔して何を言ってるんだ??
この日が何の日か忘れたのか?ただの仮装だぞ!それにルクスフィーナって……
「……これは仮装だ。オリガの提案で、今日一日はこの格好にしようと決めたのだ」
こいつらにオリガの提案を話すのすら馬鹿馬鹿しく思えてきた。
「それにここにいるのはお前らの敬愛するルクスフィーナなどではない。我が王妃オリガだ!」
巫女どもは何故か衝撃を受けたような顔をしている。
「何故そのような顔をする?お前らまさか本当にオリガを女神だと思ってはいないだろうな?」
「う、嘘だわ。私は確かに聞きましたわ、夢に光輝の御方女神ルクスフィーナ様が現れて、『今はオリガ様に転生している』という御言葉をいただきました。これはきっと我々への啓示です!」
「……えっ!?私転生してたの?! ……私が!?」
オリガがズレた発言をかます。俺はますます頭を抱えた。いやオリガは可愛い……
(……馬鹿馬鹿しい。ただの夢を啓示だの何だのと……)
ん?待てよ……
「ほう。では目の前で堕天使の俺に汚される女神ルクスフィーナはどうだ?これももしかしたら光輝の御方とやらのありがたい啓示だろう?」
「なっ!!そんな事は断じて許されない!!」
自分でも無茶苦茶なことを言っているとは思うが、初めから論理は破綻しているのだ。
「えっ、アルバ!まさか本当に巫女さん達の前で……」
さすがにオリガが戸惑っている。可哀想なオリガ。それもこれも、めちゃくちゃな事を言い出す巫女のせいで……
(……心配ない、こいつらを追い出すためにふりをするだけだ。しばし、俺の芝居に付き合ってくれ)
俺はオリガの体を寄せて耳打ちする。
「うっ……うん、わかった!」
俺はオリガの天使の羽根にわざとらしくゆっくりと触れる。手のひらで転がすように、ゆっくりと……
「オリガ……」
「……アルバ……」
巫女の一人が悲鳴をあげる。
「それ以上は見てられないわ!やめてください!」
「お前らこそその茶番狂言をやめろ!!王の御前で何をやってるんだ!さあ出て行け!」
ついに耐えきれなくなったアディが入って来て三人まとめて担ぎあげた!
「離してください!ああ我々のルクスフィーナ様がぁぁぁぁぁ!!汚されるぅぅぅぅぅ!!」
「黙れーーッ!!」
騒がしかった三人がまとめて出て行った後には、静寂が残るのみだった。残された俺達は互いに顔を見合わせていた。
「ふっ」
「ぶはっ」
どちらからというでもなく笑いが湧き起こる。
二人の笑いは夜になっても続き、街はいつのまにか祭り独特の雰囲気に包まれていた。
巫女たち……想像の上をいくぶっ飛び具合(笑)
どうしてそうなるん?
最後まで読んで頂きありがとうございました。




