オリガとアディとルクス
城を離れて山小屋でアルバと過ごしていたオリガは、やっと城に戻ってきたのだった。
あれから巫女どもはすっかり形を潜めてしまった。
そんなにオリガ様の苗字と、自分達が敬愛する光輝の御方とやらが同じ名前だったのが衝撃なのか?
信仰厚い巫女どもの気持ちは多分一生かかっても私にはわからんな。
「アディ!ただいま!」
私が部屋の片付けをしていると、オリガ様が入ってきた。
「オリガ様!心配したんですよ!もぉ〜」
「えへへ、ごめんなさい!アルバがちょっと巫女さんに怒っちゃって!二人して山にこもってたの!」
「巫女……??」
あいつらよりによってアルバ様にもインネンつけてたのかよ!呆れた!国王だぞ。
「アディ私お風呂入ってくるわね!」
「お一人ではダメです!もし滑って転んだらどうするの!?私も行きますよ」
「アディ、私はそんなドジっ子じゃないわよ」
「とにかくダメです。さあ入った入った!」
* * *
「それで?結局馬はもらえたんですか?」
私の部屋には広いお風呂が別室にある。
高いドーム状の天井と、星を思わせる小さな丸窓。大理石の床は幾何学模様に敷き詰められ、中央には湯を張った円形の湯船がある。
水面には薔薇の花弁が浮かび、ほのかに甘い香りが広がっている。私は花弁の一つを手のひらに乗せながら答えた。
「うん!うるうるの目がとても可愛い真っ白な子!でもまだ名前付けていないのよね。何かいい名前あるかしら?」
「……ルクスはどうですか?」
「ルクス!『光』って意味ね!いいわね!」
アディが困ったように笑う。
「ルクスフィーナ。オリガ様の元の苗字から取っただけですよ」
「あ、そういえばそうだったわ!アルバと結婚して変わっちゃったから忘れてた……」
それにここでは苗字の概念がそれほどないから……
「……オリガ様、バラムに来て幸せですか?」
私はアディに微笑み、静かに答える。
「ええ、とても……大好きなアルバと一緒にいられるし、それに……ここに来なかったらアディには会えなかったわ」
私の頼れる侍女であり、今ではすっかり心を開いて話せる友達。アディがいなかったら今の私の幸せは得られなかった。
「アディは、私の大切な友達だから……」
「オリガ様……」
「いつも、私の相談に乗ってくれたわ。ありがとう、アディ。これからもよろしくね」
「ははは、改めて言われると照れるね」
湯気の向こうでアディが微笑む。私もつられて笑顔になる。
壁際に設置された小さな噴水が流す水が、パシャパシャと心地よい調べを奏でた。
アディがいてくれてよかった( ; ; )
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