二人だけの山小屋
アルバ視点です。ラブラブな二人。
あっという間に城を離れて、いつのまにか俺たちは人里離れた山に登っていた。
「わぁ〜!!すごく高いわ!アルバここはどこなの??」
「……さぁな、わからん。ただ夢中で走らせたからな。ソウタ、ご苦労だった」
俺はソウタを労い、腕の中のオリガの髪に口付けた。
「あの巫女さんはよかったんですか?」
「ああ、心配はいらん」
「でもあの方、何か私の事を言ってたような気がするわ」
「ん?」
(……そうか、オリガには聞こえてはいなかったのか……)
「いや、全然言っていないよ。ほら、こっちにおいで……オリガ。先程の続きをしよう」
俺はソウタから降りて、眺めのいい場所でオリガをおろした。
「……?何か隠してるでしょう?アルバ」
「何も隠してない」
俺はオリガを抱きしめる腕に力を込める。
あいつら、やはりそれが一番言いたかった事か……
俺はオリガを愛している。だが城の馬鹿げたしきたりを守ることを強要したくはない。
俺はオリガに城では窮屈な思いをさせたくない。
「アルバまた怖い顔になってるー!!」
そう言って無邪気に俺の眉間に触れてくる。あぁもう!
「お前のことを思うとな、自然とこうなるのだ。お前が無邪気に俺の心をかき乱すから!」
「えっ!私かき乱してたの??アルバの心を?!」
悪戯っ子の目をしながらオリガはこちらを見ている。俺にこんな態度が取れるのは、オリガだけだ。
「ああ、自分でもびっくりするくらいにな。俺をこんなにさせるのはオリガだけだ」
そう言って俺はオリガの唇を俺のそれに重ねた。
ドンっ!!
「ぐふっ!!」
いきなりソウタが俺の背中をその頭で押して来たので、俺の顔がオリガの胸に押し込められてしまった!
「まあ、大丈夫ですか?アルバ!」
「大事ない、驚かせてすまないオリガ。ソウタお前……」
見上げたソウタが頭を激しく振っている。
「……?」
ソウタの視線の先を見ると、山小屋があった。なるほどソウタは小屋へ入れと案内していたのだな……いや、まこと賢い馬だ。
「ソウタ、お前は本当に賢いな」
ソウタのたてがみを撫でながら俺はオリガを抱き上げ、小屋に足を運ぶ。
「ん??アルバ、どこへ行くの?」
「……今は何もかも忘れてゆっくりしようか。ソウタも"馬"呼ばわりされて不快だっただろうしな」
(巫女どもめ、お前らの物差しで勝手に俺達夫婦を測ろうとするなよ)
その日は一日中城には戻らなかった。
冷たい山風の外で、小屋の中だけは二人のぬくもりがいつまでも寄り添っていたーー
まことソウタは賢き愛馬。
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