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わがまま王妃の奮闘記!  作者: 杉野みそら
第十四章

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過去のアルバ

アルバ視点です。

 朝、太陽が宮殿の高い窓から差し込む。彩色ガラスを通した光が、床に七色の模様を描き出す。壁には繊細なアラベスク模様が施され、絨毯の上を歩くたび、柔らかい感触と淡い香料の香りが漂う。


「おはよう、アルバ!」


 オリガの声が、まだ眠気を残す部屋に響き渡る。涼しい風がカーテンを揺らし、淡い光とともに室内に流れ込む。


「おはよう、オリガ」


 柔らかい絨毯の上で、オリガが眠そうに伸びをする。王宮の金箔で縁取られた木製家具や、香炉から立ち上る甘い香りに包まれ、昨夜の甘い時間の余韻がそっと心を温める。


「今日の朝食、何にしようか?」


 「私、オムレツが食べたいです!」


「そうか、料理長に頼んでみよう」


 二人で朝日の差す小さなテーブルに向かう。周囲の装飾タイルが光を反射して、まるで宝石のように輝く。窓の外では庭園の噴水が静かに水音を響かせ、鳩が石畳を歩く。


(オリガが幸せそうに笑っている)


「ねぇねぇアルバ!」


「ん?」


「私、アルバが大好き!!」


 そう言って、躊躇も恐れもなく俺の胸に飛び込むオリガ。


 俺はオリガの髪を撫でる。


「ふふ、あったかい……」


 そう言って俺の胸板に寄り添い、猫のように甘える。思わずこちらも微笑んでしまう。


 あの森の中に逃げていた頃には絶対に味わえなかった幸せを、オリガのおかげで噛み締めている。


「アルバ、アルバのおかげで私世界一幸せよ……!」


「ああ、俺もだ」


「ねぇアルバ、私はあなたの居場所になれてる?」


「ん?」


「私はあの森のように、アルバが安らげる唯一の居場所になれているかしら?」


 アルバが逃げていた、あの森の代わりに……


「オリガ、お前……」


 当たり前じゃないか。


 俺はもう一度オリガを抱きしめ、耳元で囁く。


「……当たり前だろ」


「嬉しいです」


 俺の腕の中でうっすら涙を浮かべて無邪気に笑うオリガの姿に、俺の心は穏やかに満たされる。


 ふと顔をあげた。

 その先に見えたのはーー


 子供の頃の俺が、あの森に逃げるしかなかった俺が笑顔で手を振っている。


【さよなら】


 と、聞こえた気がした。


(そうか……お前は、過去の俺)


 俺はふっと笑う。


 森に逃げていたあの頃の俺はもういない。

 今はもう逃げる必要も無くなったのだから……


(オリガ……)


 あの頃には決して得られなかった、幸せと共に。


アルバの過去の自分との決別回でした。

部屋の装飾や香料の描写が書きたかったので書けてよかったです。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

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