恋人同士な二人
アディ視点です。
一週間後、やっと二人が出てきた。
私はアディ。目が覚めたら私の部屋で、カミラが心配そうに覗き込んでいた。
「アディ、具合は大丈夫?薬の効果は抜けてるとお医者様はおっしゃってたけど」
「うーん……そ、そうだ!!オリガ様は!?」
「大丈夫よ、アルバ様がやってきてオリガ様を守ってくださいました」
「ああ、よかった〜!!それにしてもマテオのやつ、ムカつくぜ!!で、今はお二人は!?」
慌てて身支度を始める私を見て、カミラは言いにくそうにゴニョゴニョしている。珍しく歯切れが悪い。何か隠してる顔だ。
「どうしたの??カミラ。私ならもう大丈夫だよ、バラム国出身の体力を舐めたらいけないよ」
「ふふ、確かにそうね……。いや、違うの、私が言いたいのは……」
声を落とし、カミラはちらりと廊下を見やった。
「えっ!?お二人とも起きて来ないの?」
カミラが静かに、真剣に頷く。
(おお〜、ついに……)
私は心の中でにやりと笑った。
「それで?」
「アディには悪いんだけど、お二人のお世話を私に任せてくれないかしら?オリガ様に返し切れなかった恩を、今ここでお返ししたいのよ」
「……カミラ……」
長い付き合いだ。彼女の過去も、そこにある傷も知っている。だからこそ、その真剣な眼差しに胸が打たれた。
「長年の経験を活かして、お二人のお世話をしたいの。お願い!」
「カミラ、わかったわ。じゃあ私はオリガ様の部屋には誰も寄りつかないように警告しておく」
「助かるわ……」
あれから一週間……
「まあ流石に一週間もお籠もりになるとは思わなかったけどね。私も長年の侍女長生活初の事だわ」
ほほほ、とカミラが意味あり気に笑う。その顔には安堵感と達成感みたいなものが浮かんでいた。
「カミラ、あんたよくやったよ。あんただけだよ、隙を見てタオルを取り替えたり食事を運んだりできるのは」
「私だけじゃないわ。このバラム城のみんなのおかげよ」
「そう言えば巫女には?」
「……幸いまだ何も言われていないわ。城のみんなが口が硬いおかげでね」
「はっはっは!バラムの皆は男女関わりなく口が硬いからな!打っても叩いても響きゃしないよ!特に恩を感じているお方に関する事はね」
「そうね、ここの方の国民性には本当に感服するわ」
と、そこへ。部屋からやっと出てきたはいいけど……
「オリガ、もっとこっちへ来てくれ」
「もちろんよ、アルバ」
「アルバ、好きよ」
「俺もだ、オリガ」
なんだあの二人……まるで付き合いたてホヤホヤの恋人同士じゃないか……
二人は手をつないだまま廊下を歩き、しばらくして立ち止まると、今度はぎゅっと抱き合い始める。
オリガ様は頬を真っ赤にしながら微笑み、アルバ様はまるで少年のように嬉しそうだ。
「アルバ.....もう少しだけ、このままで」
「俺もだ、この小鳥の羽根のように柔らかい体を離したくない」
そう囁くと、そのまま額を合わせ、二人の世界に入ってしまった。
……はいはいはい、わかりました!
お二人とも大変仲睦まじいのは重々承知いたしました!
と心の中で思った矢先ーー
「オリガ、やはり部屋に戻ろう。二人きりの方が......」
「そうね。アルバ……行きましょう」
……って、戻るんかい!!
扉が閉まる音を聞きながら、私は思わず天を仰いだ。
「また部屋に戻っちゃったあの二人!!」
いや……そっとしといてあげましょう。
あのお二人は、幾度の苦難を乗り越えて、やっと夫婦になったばかりなのだ。
私はオリガ様にもらった靴の金糸の光を楽しみながら、まだ二人が戻らぬうちに部屋へ洗濯物を取りに行った。
アディ視点での二人の様子です。
バラムのみんなが動いているから国務は大丈夫な設定にしております。
※カミラは忍者のように密やかに動く事ができます。
最後まで読んでくださりありがとうございました。




