一体何をしてるの?
シリアスな話が続いたので息抜きというか、いい一区切りになったので小話でも……
「ねぇ、何をしてらっしゃると思う?ルイス」
新人侍女レティは、妙に真剣な顔で問いかけた。
「ああ?そりゃよー、ポーカーとかじゃねえのか??アルバ様は結構強いらしいぜ?」
一方こちらは新人騎士ルイス。相変わらず発想が脳筋だ。
「国王がただのポーカーで一週間も部屋から出ないって事があるかしら??」
レティにしては現実的な意見だ。
「そういえばオリガ様も城のどこにもいないらしいぞ!あの眩しい光が俺の唯一の癒しだったのに!」
「馬鹿ね〜!そう簡単にあえるわけないでしょ!この前のが奇跡だったのよ!」
「クソ〜!やっぱそうだよなぁ。……それにしても、今日はお前罰受けてないのな」
「失礼ね!いくら私が新人でも、いつもいつも罰ばっかり受けてないわよ!」
「俺も!今日は先輩方にこき使われて泥まみれになる事もなかったぜ!ほらこの鎧をみろ!ピッカピカだぜ?」
「そんな事自慢してどうするのよ!でも確かにこの一週間、異様じゃない?このお城……」
「俺も思ってた!なんか城全体が異常に静かだよな!なんというか、こう……張り詰めたような感じ!」
「はっは!あんたにしては難しい言葉を使うじゃない!」
「なんだそれ!失礼だな!」
「あんた達!うるさいわよ!何もする事がないなら掃除でもしてなさい!」
アディが呆れ声をあげて二人の前に現れた。
「あっ、アディさん!今アルバ陛下とオリガ様の事を話してたんすよ、あのお二人今はどこにいるんですか?」
「アディお姉様ならご存知よ!」
「さぁねぇ〜?あのお二人はいつも予測不可能だから」
(てかマテオの事知らないのかこの二人は……まあ確かに知らなくてもいい情報か)
「お二人とも一緒の部屋にいらっしゃるわよ。心配しなさんな」
「ええ〜!!一週間もお二人でポーカーやってるんですか!?いくらなんでも飽きない?」
ズコーッ!!
アディはずっこけ、石畳の上にしたたかに尻もちをついた。
「……アディお姉様、大丈夫?」
「え、ええ、ただものすごい変化球が来たから驚いただけよ……」
「でもそんな状態なら尚更心配だわ!お世話をしてる方はアディお姉様の他にいるのかしら?」
「その辺も大丈夫だよ、カミラが全部やってくれてる」
「ええ〜!!あの伝説の侍女長カミラ様が!?」
「伝説って……何が伝説なのよ」
アディはだんだんレティの妄想話に嫌気がさしてきた。
「カミラ様の手にかかれば、どんな事でも三秒で行えるって有名ですよ!皿洗いも、シーツの取り替えも、部屋の掃除もお風呂の掃除も食事の準備も!なんでも三秒!!それでついた二つ名が伝説の侍女長カミラ様!」
「あぁそう……」
「あれを見ろレティ!あの眼鏡をかけた女性がカミラ様か?確かにものすごく俊敏だ!」
ルイスの視線の先には何やらせかせかと盆の上に何かを載せてあっという間に走り去るカミラの姿が。
「ほぇ〜レティには到底できない芸当だな!はっは!」
感心するところがズレているルイスに、またもアディはずっこけそうになった。
(この二人、ほんとにオリガ様とアルバ様が一週間もお二人で部屋にこもってポーカーしてると思ってる?だとしたら相当なお馬鹿さんだわ)
「はっはっは!あんた達は可愛いな!初めてだよあんた達を可愛いと思ったのは!」
アディが大口を開けて笑う。
「???」
「???」
ルイスとレティは二人して顔を見合わせる。
「なぁ……本当はポーカーじゃないんじゃないか?」
「えっ?ポーカーじゃないなら何してるのよ?」
「うーむ、そうだ!ボードゲームだ!!」
「はっはっは!わはははは!」
アディの笑い声だけが、石造りの廊下に響き渡る。
「なっ、何がおかしいんですかアディさん!!」
「二人ともお馬鹿さんで結構!今日は特別に城下町で買い物に行く用事があるからついてきな!なんか買ってあげるわよ!」
「アディさん!」
「アディお姉様!」
二人は感極まって抱き合って喜んだ!
結局アルバとオリガが一週間部屋にこもって何をやってるかわからないまま……
なんだかんだで仲良しコンビ。プラスアディ。
小話のつもりが少し長くなってしまいましたすみません。
最後まで読んでくださりありがとうございました。




