目覚めた私
死にたくないオリガ姫の奮闘記です。一応恋愛ものです。よろしくお願いします!
「残念だったな! 貴様の考えはお見通しだ!」
その声と共に、私の首筋に熱い閃光が走った。
「まっ、待っ‥‥‥!」
ザシュッ!
熱が引き、代わりに冷たい闇が押し寄せる。私を斬ったのは——私の夫だった。
「いやぁぁぁぁぁ!!」
ーーーーそこで目が覚めた。
息が荒い。胸が苦しい。
(‥‥‥夢?)
だけど、あの首を斬られる感覚、肌を裂く刃の冷たさ、夫の瞳に宿っていた憎悪‥‥‥全部が生々しすぎる。夢にしては残酷すぎる。
(まさか、予知夢‥‥‥?)
私はオリガ。つい最近、バラム王国の王、アルバ王に嫁いだ侯爵家の娘だ。
この王国は香と絹と黄金が溢れる砂漠の都。日干し煉瓦の高い城壁、夜ごとランプが千の星のように灯る宮廷。
人々は新しい王妃を祝福し、蝶よ花よともてはやした。 私はその甘やかしに酔いしれ、やがて‥‥‥傲慢になった。
私はそのうち優しかった心を失い、我儘と高慢さばかりが肥えていった頃ーーーー人々は私をこう呼んだ。
《バラム一の悪女、オリガ姫》と。
ガバッと起き上がる。
「はぁ‥‥‥はぁ‥‥‥」
夢じゃない気がする。だって、私は確かに夫に殺されたはずだ。その時、ふと思い立つ。
(‥‥‥もしかして、神さまか誰かが、私にチャンスをくれた? 殺される前にやり直すための‥‥‥!)
「エミリア! エミリー!」
侍女を呼ぶ。私の侍女は何回か変わっている。何故かというと私が気に食わない事を侍女がしでかすたびにしょっちゅう侍女をやめさせていたからだ!
「オリガ様、申し訳ありません、私はエミリアではございません。私はアディです」
「えっ」
(侍女が代わりすぎて名前を間違えたわ!)
確かアディは何十回か侍女を交代させて生き残った一人だわ! しかもこのアディは‥‥‥
「オリガ様、差し出がましい事を申し上げますが、少々その‥‥‥わがままが過ぎますよ」
アディは他の侍女とは違い、ズバズバ物申す系の子だった! 私はそこが気に入っていた!
普段の私なら生意気だと速攻やめさせていたけれど‥‥‥、今ならアディの言う事がわかる気がするわ!
私が殺されるまでの記憶を夢で色々思い出していたのだけど‥‥‥アディの言う通り、過去の私はかなりわがままだった! 殺されても仕方のないほどわがままで、嫌われて‥‥‥
(きっと私の夫、国王アルバも、私のわがままに嫌気がさして私を殺すに至ったのだわ!!)
このままではいけないわ! 何より‥‥‥
死にたくない!!
きっと神様か誰かが私にチャンスを下さったのよ!
私が殺される前に気付いてやり直すチャンスを!
「オリガ様、失礼します。朝の支度をいたします」
侍女のアディの声がした。
普段の私ならここで私の許可なしに話しかけないで! とか言ってると思うけど‥‥‥
てかそんな事でキレてたの私??
穏やかに、優しくを心がけるのよオリガ! 優しい心を取り戻すの! 私がわがままになる前まではできてたのだから大丈夫よ!
《恨みを買って殺されないためにも!!》
「ええ‥‥‥入って」
わがまま姫は果たして死を回避できるのか!?純粋で優しかった頃に戻れるのか!そして気になるアルバとオリガ、二人の関係性は果たして‥‥‥?
※冒頭部分を少しだけ改稿しました!
ここまでお読みくださってありがとうございました。