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最後の祭壇と謎の隠者


1.二つの紋章石の共鳴、長老への報告と迫りくる危機

水鏡の祭壇での試練を乗り越え、二番目の「水鏡の紋章石」を手にしたアントたち。エリアがその蒼く美しい紋章石を、先に手に入れた風の紋章石と並べて持つと、二つの石は互いに共鳴しあい、清らかで力強いオーラを放ち始めた。その光はエリアの天空人としての潜在能力をさらに引き出し、パーティー全体にも精神的な安定と、穢れに対するより強い抵抗力をもたらしてくれたようだった。

「すごい…!二つの紋章石の力が、互いを高め合っているようですわ…!」ラーネがその現象を興味深げに観察する。

一行は、ウンディーネ・ガーディアンから得た最後の「地脈の祭壇」と「賢者」に関する情報を胸に、一度天空都市エアリア・テラスへと帰還し、エルデ長老にこれまでの成果を報告することを決定した。マザー・クリスタルの状態も気がかりであり、今後の作戦を練る上でも長老の知恵が必要だった。

エアリア・テラスに戻ると、エルデ長老は二つの紋章石の輝きを見て、その老いた目に深い驚きと、そして一筋の希望の光を宿らせた。「おお…まさか、これほど早く二つの祭壇の試練を乗り越えるとは…!あなた方は、まさに天が遣わした希望の使者なのかもしれん…」

しかし、その喜びも束の間、長老の表情はすぐに厳しいものへと変わる。マザー・クリスタルの「影の汚染」は、彼らの予想を上回る速さで進行しており、島全体の浮遊力も日に日に不安定になっているというのだ。残された時間は、もはやいくばくもないのかもしれない。

ジン爺さんとは、エリアが持つ通信機能付きのクリスタルで連絡を取り合った。スカイホエール号の修理は、天空人の優れた技術者たちの協力もあって順調に進んでいるが、完全に飛行可能な状態に戻るには、まだしばらくの時間が必要とのことだった。

2.最後の試練「地脈の祭壇」と、森の奥に潜む「賢者」の噂

エルデ長老から、最後の試練の地となる「地脈の祭壇」についての詳細な情報がもたらされた。祭壇は、アトモス・ヘイブンの北東部に広がる、古代から人の手がほとんど入っていない原生林「古のいにしえのもり」の中心、巨大な世界樹の根元に存在するという。そこは、島の生命エネルギー「マナ」が最も強く脈打つ聖地であると同時に、それゆえに「影の汚染」の影響も最も色濃く、そして直接的に現れている極めて危険な地帯だという。

「地脈の祭壇の守護者は、大地の怒りと生命の再生を司る、気まぐれで強大な『大地の古霊こだいれい』じゃ。その試練は、小手先の技や力だけでは到底乗り越えられぬ。生命そのものへの深い敬意と、大地との調和を真に理解する心が試されることになるじゃろう」

さらに、エルデ長老も、ウンディーネが最後に残した「賢者」の噂を認めた。

「古の森のどこか人知れぬ場所に、世界の成り立ちや古代の魔法、そして星の運行にさえ精通した『森の隠者』と呼ばれる者が住んでいるという言い伝えがある。もしその者に出会い、知恵を借りることができれば、マザー・クリスタルの浄化や、あるいは…お主たちのその『転生』という奇妙な運命についても、何か重要な手がかりが得られるやもしれぬ。しかし、その者は極めて気難しく、めったに人前に姿を現すことはないと言われておる…」

ラーネは、「ヌシ・オドロの涙」の宝玉と二つの紋章石の力を詳細に分析し、穢れを中和し、大地のエネルギーを安定させる効果のある特殊な軟膏や、物理的な衝撃から身を守るための軽量なプロテクターのアイデアを出す。ビバムとディグビーは、エリアから提供された天空人の工房の設備を借り、その製作に早速取り掛かった。アントは「お爺ちゃん賢者、どんな美味しいもの隠してるのかなー?」と、早くも賢者との遭遇(と、そこでの食料)に期待を寄せている。

3.古の森への旅立ち、そして賢者のいおりに響く声

数日後、万全の準備を整えたアントたちは、エルデ長老とエリアの仲間たち(今回はエリアも都市の防衛と情報収集のため残ることになったが、代わりに優秀な若手のスカイガード数名が護衛兼サポートとして同行を申し出た)に見送られ、最後の試練の地「古の森」へと、スカイホエール号の修理を待たず、陸路で出発した。

古の森は、これまでのアトモス・ヘイブンのどの場所とも異なり、天を突くような巨大な樹々が鬱蒼と茂り、地面には色鮮やかな苔や巨大なシダ植物がびっしりと生え、神秘的でありながらもどこか原始的で、近寄りがたいほどの威厳を漂わせている。時折、大地がかすかに振動したり、地熱で湯気が立ち上る場所もあり、まさに「生命の根源」と「大地の怒り」が同居する場所であることを感じさせた。

道中、穢れの影響で凶暴化した巨大な昆虫型の魔物や、意思を持ったかのように襲いかかってくる鋭いつた、そして大地そのものが怒っているかのような局地的な地震や地割れなど、新たな脅威が次々とアントたちに襲いかかる。しかし、これまでの数々の試練を乗り越えてきた彼らは、二つの紋章石の力、そして新たに開発した装備、そして何よりも仲間たちとの揺るぎない絆を武器に、これらの困難を一つ一つ着実に乗り越えていった。

数日間に及ぶ困難な探索の末、一行は森の最も奥深く、巨大な滝が流れ落ちるその裏手に隠された、小さな洞窟を発見した。洞窟の入り口からは、微かに数種類の薬草が混じり合ったような不思議な香りと、そして間違いなく誰かが生活している気配が感じられた。

「ここが…ウンディーネ様やエルデ長老様が言っていた、『森の隠者』の住処かもしれない…」ビバムが息を呑む。

アントが、持ち前の好奇心と食欲(薬草の匂いが何か美味しいものに繋がるかもしれないと思ったらしい)に突き動かされ、洞窟の入り口に向かって大声で呼びかけた。

「おーい!誰かいませんかー!僕たち、おっきな石さんを助けに来たんだけど、美味しい木の蜜とか、持ってませんかー!?」

そのあまりにも能天気な呼びかけに、仲間たちは一瞬呆気にとられたが、すぐに洞窟の奥から、ゆっくりとした、しかし確かな足取りが近づいてくるのが分かった。

やがて、洞窟の暗がりから姿を現したのは、奇妙な木の根を編み込んだような杖をつき、全身を苔と色とりどりの木の葉で巧みに編み上げたような衣服で覆った、性別も年齢も判然としない、小柄な人影だった。その人物は、顔の大部分が深いフードで隠されていたが、そこから覗くギョロリとした大きな丸い目は、まるで森のフクロウのように、アントたち一人ひとりを値踏みするかのように鋭く見つめていた。

そして、しばしの沈黙の後、しゃがれた、しかしどこか子供のような響きも混じった声で、その謎の隠者は一言、こう言った。

「……ふむ。騒々しいヒヨコどもが、ようやっとワシの昼寝の邪魔をしに来たか。それとも……運命の歯車を、その小さな手で大きく回しに来たのかえ?」

謎の隠者との出会いが、最後の試練、そしてマザー・クリスタルの未来にどのような影響を与えるのか。

アントたちの冒険は、いよいよクライマックスに向けて、さらに深く、そして予測不能な方向へと加速していく。


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