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揺れる浮遊島とマザー・クリスタルの謎


1.心を開く天空の守護者、そして明かされる島の悲鳴

スカイホエール号の船内で、アントたちの献身的な介抱によって意識を取り戻した天空人の女性パイロット、エリア。最初は鋭い警戒心と敵意を剥き出しにしていた彼女だったが、アントの屈託のない笑顔、ラーネの優しい手当て(「ヌシ・オドロの涙」の宝玉から放たれる清浄な光が、エリアの傷だけでなく心の強張りも和らげたようだ)、そして何よりも彼らが持つ不思議で温かいオーラに触れるうちに、徐々にその表情から険しさが消えていった。

「あなた方は…一体何者なのですか? その船も、あなた方の力も、私たちの知るものとはあまりにも異なっています…」

エリアの問いかけに、ビバムが代表して、自分たちが異世界からの転生者であること、様々な困難を仲間たちと乗り越えてきたこと、そして空飛ぶ船で新たな冒険と出会いを求めてこのアトモス・ヘイブンに辿り着いたことを、包み隠さず正直に話した。

エリアは、転生という信じがたい話にも真剣に耳を傾け、特にアントたちが様々な種族(元動物)でありながら強い絆で結ばれていることに、深い感銘を受けたようだった。

そしてエリアは、重い口を開き、アトモス・ヘイブンが現在直面している深刻な危機について語り始めた。

「このアトモス・ヘイブンは、遥か古代より、島の中央に鎮座する『マザー・クリスタル』の聖なる力によって大空に浮かび、独自の生態系と、私たち天空人の文明を育んできました。マザー・クリスタルは、まさにこの島の生命そのものなのです」

しかし、エリアによると、数ヶ月ほど前からマザー・クリスタルの輝きが原因不明のまま徐々に弱まり始め、それに伴い、島の浮遊力が不安定になって時折大きな揺れに見舞われたり、これまで穏やかだった気候が荒れて異常気象が頻発したり、島の動植物たちが元気を失い、中には奇妙な病にかかるものまで出始めているという。

「長老たちは、このままではアトモス・ヘイブンそのものがバランスを失い、崩壊してしまうのではないかと深く憂慮しています…。私たちは、それが外部からの何らかの邪悪な干渉によるものではないかと警戒し、島の防衛を強化していたのです。あなた方を攻撃してしまったのも、そのためでした…本当に申し訳ありません」

エリアは深々と頭を下げた。その美しい銀色の髪が、不安げに揺れる。

2.スカイホエール号の修理と、湖畔でのささやかなキャンプ

ジン爺さんとビバムは、エリアの話を聞きながらも、スカイホエール号の損傷状況を詳細に調査していた。翼の骨格の一部と、動力炉のエネルギー伝達ケーブルに深刻なダメージを受けており、飛行不能な状態だ。

「この修理には、この島特有の浮遊鉱石や、クリスタルエネルギーに耐性のある特殊な合金が必要になりそうじゃな…」ジン爺さんが唸る。

エリアはそれを聞き、「島の地質に詳しい者なら、修理に必要な鉱石のありかを知っているかもしれません。それに、私たちの工房には、あなた方の船の修理に役立つ工具や素材もあるはずです」と、協力を申し出てくれた。

ひとまず一行は、不時着した美しい湖畔に一時的なキャンプを設営することにした。そこは色とりどりの花が咲き乱れ、水晶のような透明度の湖水が陽光を反射してキラキラと輝く、まるで楽園のような場所だった。

オルカは早速湖に飛び込み、「ボフッ!ここの水は最高にうまいぞ!それに、見たこともない魚がたくさんいる!」と大はしゃぎ。ディグビーは、ビバムの指示で即席のかまどを土と石で作り上げ、アントは「お魚、早く焼けないかなー!ハチミツつけて食べたら美味しいかも!」と、早くも夕食の心配をしている。ラーネは、湖畔に自生する珍しい植物のサンプルを採取し、その薬効や繊維としての利用価値を熱心に調べていた。ホークは、一番高い水晶の岩に陣取り、鋭い目で周囲の警戒に当たっていた。

そんな彼らの、どんな状況でも逞しく、そしてどこか楽しげに生活するサバイバル能力の高さと、種族の違いを超えた仲間意識の強さに、エリアは改めて目を見張り、彼らの中に何か特別な可能性を感じ始めていた。

3.託される希望、いざ天空都市「エアリア・テラス」へ!

数日間、湖畔でキャンプ生活を送りながら、アントたちはエリアとの交流を深めていった。エリアは、アントたちの純粋さ、ラーネの知恵と優しさ、ビバムの豊富な知識と技術力、ホークの誇り高さと偵察能力、オルカの頼もしさと力強さ、そしてディグビーの陽気さと器用さに触れ、彼らがただの「異邦人」ではなく、このアトモス・ヘイブンの危機を救うための鍵となるかもしれない、という確信に近いものを抱き始めていた。

特に、ラーネが持つ「ヌシ・オドロの涙」の宝玉から放たれる清浄な浄化の力や、アントの【真・女王の勅命】のオーラが持つ生命力を活性化させるような温かい波動は、マザー・クリスタルの力の衰えに苦しむこの島にとって、まさに一縷の希望の光に思えたのだ。

「…あなたたちなら、もしかしたら…このアトモス・ヘイブンの危機を救うことができるかもしれません」

エリアは、意を決したようにアントたちの前に立ち、真摯な瞳で訴えかけた。

「私たちの都市、『エアリア・テラス』へご案内します。どうか、私たちの長老様にお会いして、そのお力をお貸しいただけないでしょうか?この島を…私たちの故郷を救ってください!」

アントは、エリアのその必死な願いに、いつものようにニカッと笑って答えた。

「もちろんいいよ!困ってる人がいるなら、助けるのが当たり前だもんね!それに、キラキラの大きなマザー・クリスタル、僕も見てみたいし!もしかしたら、ハチミツ味のクリスタルかもしれないしね!」

(…それは多分ないと思うけど)とビバムは心の中でツッコミを入れたが、仲間たちもまた、この美しい天空の島と、エリアの真摯な願いに応えたいという気持ちで一致していた。

エリアは、仲間のスカイガードに連絡を取り、スカイホエール号の不時着場所の安全確保と、アントたちを天空都市エアリア・テラスへと案内するための小型の輸送艇(スカイレイダーとは異なる、優雅なデザインの船だ)の手配を依頼した。

やがて、数羽の巨大な白い鳥に引かれた、美しいガラス細工のような輸送艇が湖畔に静かに降り立ち、アントたちはエリアと共に、天空都市エアリア・テラスへと向かった。

眼下に広がるのは、言葉を失うほど美しい光景だった。雲海の上に浮かぶ、緑豊かな大地と、そこに点在する白亜の建造物群。巨大な水晶の柱が天を支えるかのようにそびえ立ち、それらを繋ぐように優雅な曲線を描くガラスの回廊が陽光を反射して七色に輝いている。街路には色とりどりの花が咲き乱れ、空には小さな妖精のような光の粒が舞っている。

しかし、その息をのむほどの美しさの中にも、どこか生命力の陰りが見え隠れしていた。マザー・クリスタルの輝きが弱まっていることを示すかのように、都市全体を覆うはずの淡い光のオーラが薄れ、いくつかの建造物には細かな亀裂が走り、植物たちの緑も心なしか色褪せて見えた。

天空都市の長老との面会、そしてマザー・クリスタルの危機を救うための本格的な試練が、今、アントたちを待ち受けていた。


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