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空の洗礼! 謎の飛行機械と天空島の試練


1.アトモス・ヘイブン上空、突如現れた黒き翼

伝説の浮遊島「アトモス・ヘイブン」を目前にし、スカイホエール号の甲板が期待と興奮に沸き立つ中、その歓迎はあまりにも手荒いものだった。島の影から、まるで凶鳥の群れのように数機の黒い流線型の飛行機械――「スカイレイダー」とでも呼ぶべきか――が、鋭い金属音を響かせながら高速で飛来し、警告もなしに攻撃を開始してきたのだ。

「ピュン!ピュン!」

スカイレイダーの機首から放たれるレーザーのような光線が、スカイホエール号の船体を掠め、甲板の一部を焦がす。さらに、小型の追尾ミサイルが何発も発射され、爆音と共に船の周囲で炸裂した。

「ちくしょうめ、なんて手厚い歓迎じゃ!空の無法者どもめが!」

ジン爺さんが怒声を上げ、即座に戦闘態勢を指示する。

「ホーク、舵を取れ!敵の動きは速いぞ!ビバム、機関の出力を調整しつつ、敵機の分析を急げ!アント、ラーネ、ディグビー、オルカは甲板に出て迎撃じゃ!このスカイホエール号の本当の力、見せてやるわい!」

ジン爺さんの言葉と共に、スカイホエール号の船体各所から、彼が密かに仕込んでいたいくつかの防御機構が姿を現した。スカイクリスタルのエネルギーを利用した簡易なエネルギーバリアが船体を薄く覆い、甲板の数カ所からは圧縮された空気を撃ち出す旋回式の砲塔がせり上がってきた。しかし、本格的な戦闘を想定して作られた船ではないため、その武装は心許ない。

ホークがジン爺さんから操舵桿を奪い取るように握り、「任せろ、爺さん!こいつら、俺様の敵じゃない!」と叫びながら、巧みな操船で敵の攻撃を紙一重で回避していく。ラーネは【運命の編み手】で強靭な糸を張り巡らせ、飛来するミサイルの軌道を逸らしたり、敵機の動きをわずかに制限しようと試みる。オルカはその巨体と怪力で、甲板に降り注ぐ残骸や小さなレーザー光線を弾き飛ばし、仲間たちを守る盾となる。

「僕のスカイホエール号をいじめるなーっ!」

アントは、船が攻撃されることに本気で腹を立てており、飛んできた小型ミサイルの一つを、なんと素手で掴み取ると、「えいっ!」と敵機に向かって投げ返そうとした(もちろん、ミサイルは途中でビバムが遠隔操作した小型アームで回収され、安全に処理された)。

ディグビーは、スカイレイダーの攻撃で損傷した甲板の一部に、即席で「固まる土」と船の予備資材でバリケードを作り上げ、仲間たちの盾となる場所を確保した。

2.反撃の狼煙! 撃墜、そして明かされる襲撃者の顔

スカイレイダーの攻撃は執拗かつ正確で、スカイホエール号は徐々にダメージを蓄積していく。特に翼の一部が大きく損傷し、船体が危険なほど傾き始めた。

「くそっ、このままじゃジリ貧だ!奴らの弱点はどこだ!?」ジン爺さんが歯噛みする。

ビバムが、敵機の編隊飛行のパターンと、時折見せる急旋回の際の僅かな挙動の乱れから、ある法則性を見つけ出していた。

「ジン船長!敵機は編隊で最も外側を飛ぶ機体から攻撃を仕掛けてくる傾向があります!そして、急旋回時に一瞬だけ、機体下部の冷却ユニットらしき部分が無防備になるようです!」

「よし、そこを狙うんじゃ!」ジン爺さんが叫ぶ。「ホーク、あの突出してきた一機を狙え!オルカ、アント、船のバランスを立て直せ!ディグビー、あの損傷した翼を一時的にでもいい、固定できんか!?」

その時、ジン爺さんは覚悟を決めたように、動力炉の制御盤に手を伸ばした。「奥の手じゃ!スカイクリスタルのエネルギーを一時的に過剰放出させ、衝撃波を放つ!敵の編隊が乱れた瞬間を逃すなよ!」

ジン爺さんがレバーを引くと、スカイホエール号全体が眩い光に包まれ、次の瞬間、強力なエネルギーの衝撃波が周囲に放たれた。スカイレイダーの編隊は、その予期せぬ衝撃波によって大きく体勢を崩し、数機がコントロールを失ってきりもみ状態に陥る。

「今だ、ホーク!」

ホークは、この一瞬の好機を逃さなかった。【絶対空域】で狙いを定め、編隊から離れてバランスを崩した一機のスカイレイダーの、ビバムが指摘した機体下部の冷却ユニットを、渾身の力で引き絞った弓から放たれた矢で正確に射抜いた!

矢は見事に命中し、スカイレイダーは黒い煙と火花を吹き出しながら、コントロールを完全に失い、アトモス・ヘイブンの広大な森の中へと錐揉みしながら墜落していった。

残りのスカイレイダーは、仲間の撃墜とスカイホエール号の予想外の反撃に動揺したのか、あるいは命令系統が乱れたのか、一時的に攻撃の手を緩め、島の上空へと後退していく。

「やったか…!?」ディグビーが息を弾ませる。

「いや、まだだ。だが、墜落した奴の様子を見に行く必要があるな。それに、この船もかなりやられた。どこか安全な場所に着陸して修理を急がねば」ジン爺さんは、安堵の表情を浮かべる間もなく、冷静に状況を判断した。

3.不時着のアトモス・ヘイブン、そして新たな出会いと謎

スカイホエール号は、翼の損傷と動力機関の一部不調により、もはや安定した飛行を続けることは困難だった。ジン爺さんは、ホークの偵察情報を元に、アトモス・ヘイブンの比較的平坦で、森に囲まれた隠れやすい湖畔への不時着を決断する。

激しい衝撃と共に、スカイホエール号は湖畔の草地へと不時着した。幸い、乗組員に大きな怪我はなかったが、船体の損傷は深刻で、修理にはかなりの時間と資材が必要となりそうだった。

不時着した場所は、見たこともないような色鮮やかな花々が咲き乱れ、巨大な水晶のような岩が点在する、神秘的で美しい森の中だった。空気は澄み渡り、どこか甘い香りが漂っている。

「まずは、墜落した敵機のパイロットを確保するぞ。何か情報を聞き出せるかもしれん」ビバムの提案で、アント、ラーネ、そしてオルカが墜落現場へと向かった。

墜落したスカイレイダーは、大破して黒煙を上げていたが、幸いにも爆発はしていなかった。コックピットの中から、気を失っている搭乗者の姿が見える。その搭乗者は、人間とよく似た姿をしていたが、長く尖った耳を持ち、肌は青白く、銀色の美しい髪をしていた。身に纏っているのは、体にぴったりとフィットした、見たこともないような滑らかな素材の飛行服だ。

「これが…この島の住人…天空人、なのかしら…?」ラーネが息を呑む。

アントたちがそのパイロットを慎重にスカイホエール号へと運び込み、ラーネが「ヌシ・オドロの涙」の宝玉の力も借りながら応急手当を施すと、やがてパイロットはうめき声を上げて意識を取り戻した。

目を開けたパイロット――若い女性の天空人だった――は、見慣れぬ者たちに囲まれていることに気づき、最初は鋭い敵意を剥き出しにしたが、アントの屈託のない笑顔や、ラーネの献身的な治療を受け、そして何よりも自分たちが「客人」として扱われていることを理解すると、徐々にその警戒心を解いていった。

彼女は、自分はアトモス・ヘイブンの「スカイガード」と呼ばれる守護隊の一員であり、名は「エリア」であると名乗った。そして、彼らがなぜスカイホエール号を攻撃したのか、その理由をぽつりぽつりと語り始めた。

「あなた方が、私たちの聖なる島を脅かす『外部からの侵入者』だと誤解していました…。最近、このアトモス・ヘイブンの力の源である『マザー・クリスタル』の輝きが弱まり、島全体が不安定になっているのです。長老たちは、それが外部からの邪悪な干渉によるものだと考えており、私たちは島の防衛を強化するよう命じられていました…」

「マザー・クリスタルの力が弱まっている…?それは一体…」ビバムが眉をひそめる。

ラーネが言っていた「賢者」や「世界の理の外の知識」が、この天空の島の危機と、そしてその解決に何か重要な関わりを持っているのかもしれない。

アントたちの新たな使命が、この美しい天空の浮遊島「アトモス・ヘイブン」で、静かに始まろうとしていた。


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