少女の憧れ
私は両親から見捨てられている。
母親は呑んだくれになった父親と私を見捨て、自宅を出ていって未だに帰ってきていない。
もう一生帰ってこないと幼心に判っていた。
父親は仕事から帰ってくるなり、私の頬を強く叩いたり殴ってくる。
私は拒みもしなかった。
酷い時には酒瓶が飛んできたりもする。
近所の子供らからもいびられていて、居場所がなかった。
今日も父親は酒に酔って赤ら顔で、よろけた脚で、私に近づいてきて屈んだ。
屈んだ父親が私の片腕を掴んで、自宅の外へと投げ飛ばした。
私は何箇所か身体を打ちつけ、呻いた。
「うぅぅ……お父さん、やめて」
「なんだァフリューサ……俺に口答えする気か?あぁん!」
私は地面に倒れたまま父親が近づいてくるのを逃げられずにいると、遠くから怒号のような叫び声が聞こえてきて、近づいてくる。
「少女に手を挙げるなんてどんな悪辣野郎だぁああぁぁっっっ!!!」
叫び声をあげていた少女が、父親の頭部に回し蹴りをして、父親を気絶させていた。
「うぅぅ……れだぁ」
少女は私に片腕を伸ばし、差し出した。
「大丈夫かい、キミ?」
「はい……」
私は父親を倒した少女に立たせてもらい、立って返事をした。
酔っているとはいえ強い父親が一発で倒れるとは、驚きだ。
私達のもとに駆け寄ってきた少年が父親を倒した少女に狼狽えた様子で声を掛けていた。
「エゼレット、いきなり走り出すから何かと思ったじゃないか!どうしたの?えっ、倒れてるおじさんが居るけど……攻撃したんじゃないよね?」
「ルウェーラさん、あのおじさんが彼女を攻撃しようとしたから助けたくて」
「え、そうなの!?うぅ〜ん、こういう場合はどうなんだろ……」
ルウェーラと呼ばれた少年が驚いて、唸って腕を組む。
「エゼレットさんでしたか?貴女に弟子入りしたいです!!私を仲間にしてくれませんか?」
「私はエゼレット。弟子入り……私に?」
「そうらしいよ」
「私は良い。ルウェーラさんは彼女の弟子入りに賛成?」
「僕はどっちでも良いけど……保護者はなんて言ってるの、キミ?」
ルウェーラという少年に聞かれ、私は返答した。
「私はいらない子だからどうなったっていいんです。お願いです、弟子入りさせてください!!」
「いいよ。私はルウェーラさんのお世話になっているの。ルウェーラさんの命令は私の命令と同じ。良い?」
「わかりました、エゼレットさん」
私は父親を倒してくれたエゼレットとルウェーラの仲間に入らせてもらった。
憧れの少女に忠誠を誓った私だった。




