次の街へ
僕はエゼレットが待つ集落の宿屋に戻った。
「ただいま。はい、エゼレットの分。今日は此処で休もう」
「おかえりなさい。ありがとうございます。はい……」
僕とエゼレットは宿屋で休んだ。
僕は小鳥の囀りで目を覚まし、起床した。
太陽は昇り始めて間もない。
起こすには早い。
僕はベッドから降り、伸びをしながら欠伸を漏らす。
「ふぁあぁぁ〜っっ。これからどうしよう……」
呟きながら、片手で顎を撫でる。
「奴隷だったか……奴隷。僕より苦しい思いをしてきたんだろうな……」
エゼレットを見下ろし、彼女を思い、呟いた。
此処って、馬車は通るんだろうか?
軋む床を歩いて扉を開けて、起こさないように扉を閉める僕。
階段を降りて、宿屋を出ていき、起きて仕事をしている人に訊ねた。
「おはようございます。あのぅ、此処って馬車は通りますか?」
「決まった時間に通るとかはないな。それがどうした?」
「あぁいえ、どうかなと気になっただけで……」
僕は話題を切り上げ、宿屋に戻った。
客室に入ると、ベッドの上で寝息を立てて寝ているエゼレットだった。
まだ起床していない。
ぐぅぅ、と腹の虫が鳴った。
エゼレットが起床するまでベッドで身体を休めよう。
「ルウェーラさん、起きてください!起きてください……」
「はうぇっ!なぁっなに?」
僕は身体を揺すられ、起こされた。
いつのまにか寝ていた。
「お腹空いたの?」
「……ぅはい」
頬を赤らめ、恥ずかしそうに返事をしたエゼレット。
「朝食を食べに行こう」
「はいっ」
宿屋のカウンター席で朝食を食べ、宿屋を後にした。
集落の入り口まで歩いていく僕たち。
「エゼレットはどこか行きたいとこってある?」
「ありません……すみません、海を見てみたいです」
「良いよ、謝らなくて。海か……僕も行ってみたくなった。行ってみよう、海……いろんなとこへ行こ、エゼレット!!」
片腕を空へと伸ばした僕だった。
「はい、行ってみたいですルウェーラさん!」
彼女が満面の笑みを浮かべ、元気に応える。
僕たちは街道が通る場所まで歩いていき、馬車を待つことにした。
二時間程待ったら、一台の馬車が通り掛かり、片手を振って存在を知らせた。
馬車は停まり、扉が開いた。
「どこまで行きたい、アンタら?」
「まだ決めてなくて……」
「なんだそりゃ、めちゃくちゃな旅だな。俺らはドゥルーヴァを目指しているがそこで良いか?」
「構いません。乗せてもらえますか?」
「良いぞ。さっさと乗んな!」
重装備をした中年男性に促されるままに、馬車に乗り込んだ僕ら。
扉が閉まると、馬車が進み出した。




