街を出る支度
翌朝になり、宿屋にエゼレットを残し、彼女が所持していたスキナーナイフを売り、彼女の扱いやすい武器を見繕う。
早朝から何人かの冒険者が駆けてすれ違う。
「昨日の娘はまだみつかんねぇのか!?さっさと見つけねぇと酒が呑めねぇぞ!!」
「それがある時間から姿を見かけねぇと」
「知り合いはいねぇだろ、その娘ィ!!」
エゼレットをお探しの冒険者だった。
武器屋に赴き、昨日の店主が親しげに挨拶をしてきた。
「おぉう、おはようさん!今日はどういった用件だい、坊主?」
「あぁ、おはようございます。今日はこれを買い取ってほしくて」
鞘に収めたスキナーナイフを店主の前に出した。
「こりゃ〜スキナーナイフだな。坊主のじゃないよな……?誰かから盗ってきたのかい、この得物?」
「盗ってきたもんじゃない!!仲間になった娘の得物だよ、ある事情で連れてきてないけど……それで幾らになります、おやっさん?」
「そうだな……このスキナーナイフは……ってぇ嵌め込まれてる石は輝石じゃないか?宝武具には嵌ってるっていう……そうなりゃ63080ユルでどうだい」
「そんなにか。それで良いよ、少女が扱いやすい長剣か短剣をその買取額で足りるのはここにあるかな?」
「少女が扱いやすい長剣か短剣ねぇ……」
カウンターから店主が出てきて、陳列してある武器を見ていく。
カウンターに戻ってきた店主が持っていたのは、長剣にしては短く短剣にしては長い赤を基調とした長剣だった。
「普通の長剣からすれば軽量化してある長剣だ。魔法が扱えるなら魔力を注げば炎を出せる得物だ。34780ユルだ」
「あっ軽いですね……これにします」
店主から渡され、持つと一般の長剣より幾らか軽かった。
「おう、毎度あり。オレには迷惑かけるなよ」
武器屋を後にして、寄り道をせずに宿屋へ戻った。
借りた客室に入るとエゼレットが「おかえりなさい」と迎えた。
「ただいま。これが君の武器だよ、どうかな?」
彼女に赤を基調とした長剣を渡して、感想を聞く。
「あっ、軽いです。私のためにありがとうございます」
「そう、なら良かった。これからここを出て、依頼を受けるためこの街を出る。良いね?」
「はい、ルウェーラさんに従います」
首肯した彼女だった。
「まずエゼレットが宿屋を出るんだ、従業員にバレずにね。そのあとで僕が出ていく」
「わかりました」
彼女が長剣を帯刀して、客室から出ていく。
彼女が階段を下りていく物音が聞こえ、宿屋の扉が開いて閉まる物音が聞こえてから怒鳴り声なりが聞こえてこないのを確認して、階段を下りていく僕。
階段を下りきって、一人の従業員に感謝を告げて、宿屋を出た。
僕はエゼレットを見つけ、街を出るために駆け出した。




