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19.魔女と猪人

・泉 ソル


 ソルは森で泉をみつけた。水を飲もうと水辺に近づいた。と、水に人間が入っているのに気がついた。

裸の女だ!「うわっ。」つい声をあげてしまった。女もソルに気がついて、驚いた顔をしている。

「うわわっ。」あわてて、その場を逃げ出した。

はぁ、はぁ。しばらく走って、立ち止まって息をととのえた。もうしばらく、あの場にいたら、女を襲ってしまったに違いない。もう、考えるな。ソルは頭を振って歩き出した。


 「今日は何も穫れなかった?」手ぶらのソルを見たフローラが聞いてきた。

「うん。すまない。」がっくりした感じで答えた。

「何かあったの?」

「あぁ。泉に女がいた。」顔を反らして答えた。

「悲鳴をあげて逃げたとか?」

「オレが悲鳴をあげて逃げた。」

「それは災難だったわね。」フローラが笑った。

「ちぇっ。笑うなよ。」睨みつけた。

 「ごめん、ごめん。ねぇ、その泉へ連れて行って。」

「えっ、なんで?」

「水をくみたいし他にも、ね。その女の人なら、もういないはずだから、戻っても大丈夫よ。」

「そうだな。」猪人を見た女が逃げないわけがない。ソルはのろのろと歩きはじめた。

フローラは泉で水あびをはじめた。しかたなくソルは離れた所で食事の準備を始めた。



 翌日、森の道中でソルは歩みを止めて耳をそばだてた。

「人間がどなってる。後から来てくれ。」荷物を置いて先を急いだ。

フローラが声をかける間もなかった。

 ソルは相手に気づかれずにかなり近づいた。男二人が女に言いよっている。

「丁寧にお願いしている間に言う事を聞いたほうがいいぞ。」どうやら、男二人で女を脅しているらしい。

 「おい、困り事か?」木に姿を隠したまま女に声をかけた。

「何!?」「誰だ!?」男達の方が反応した。

「通りがかりの護衛だ。そいつらを追い払ってやってもいいぞ。」

「護衛だと?」「一人か?こっちは二人だ。痛い目にあう前に、いなくなりな。」

ソルは姿を晒しながら「まぁ、二人でも何とかなるだろ。もうすぐ相棒も追いついてくる。」

 「猪人!?」

「猪人が人間の護衛をするのか!?」

「あぁ、相棒と時々やってるよ。それより、二人がかりでやってみるか?」

「あっちは一匹だ、勝てるだろ?」

「勝てるだろうが、無傷じゃすまないだろ。俺はやめとく。」一人が後に進みだした。

「おい、一人じゃ無理だって。ちっ、魔女が猪人を従えたか。近々、退治してやるからな!」二人は逃げ出した。


 「おみごと!格好いいー!」フローラが歩いてきた。

ソルは振り返ってあきれた。「いるんだったら教えろよ。2対2だったら余裕で勝てたのに。」

「今、来たとこよ。お待たせ。」

「あっちを頼む。」女の方を向いた。

 女はさっきから、目を見開いて動きを止めてしまっている。

「あぁ、大丈夫よ。ソルはあなたを襲ったりしないから。」

「ソル?」女がややうわの空で答えた。

「そう、私はフローラ。二人で護衛をしてるの。」

「護衛?」

「そういえば、何も約束しなかった。」ソルは頭をかいた。フローラから仕事をする時にはお金をもらう約束をするように言われていたのだった。

「ただの人助けでいいわよ。」フローラは笑った。

 「あなたは、泉で会った猪人ね?」女は正気をとり戻したらしい。

「そうだ。やっぱりなぁ。」

「やっぱりって、わからなかったの?」フローラが不思議そうに聞いた。

「水浴びしてたから、慌てて逃げ出したんだ。」顔をそむけた。

「どおりで。ソルのほうが逃げ出すわけね。」フローラは手で額を押さえた。


 「あの、たいした事はできませんが、お礼がしたいので家へ来ていただけませんか。」女が割り込んだ。

「オレが一緒でもいいのか?」ソルが女へ振り向いた。

「もちろん。あなたが助けてくれたんだから。ありがとうソル。私はミレディ。」

 「オマエは魔女なのか?」

「魔女ですって?」フローラが怪訝そうに聞いた。

「うん。男の一人がそう言ったんだ。」ソルがミレディを指さしながら言った。

「ただの悪口よ。森の中の小屋で薬草を煮込んでいると、そう見えるかもね。ソルは魔女が本当にいると思うの?」ミレディが答えた。

「いいや、猪人の子供でもおとぎ話だけのものだと知っている。」とソル。

 「あら、魔女のでてくるおとぎ話があるのね。」フローラが関心した。

「あぁ、あるぞ。」

「そのうち聞かせて欲しいわ。さて、せっかくだから、ミレディさんの家にお邪魔させてもらいましょ。」

「そうか、魔女の小屋を見てみたい。」

「それじゃあ、ついておいで。いーひっひひひ。」ミレディが口に右手をあてつつ左で手招きした。

「すっかり、魔女きどりね。」フローラは苦笑いした。


・森の小屋 ソル


 「なんだ。前に住んでたところと、大して変わらないな。」ソルがミレディの小屋を見て言った。

「森の小屋はどこも、こんなものなんでしょ。」フローラが笑いながら言った。

部屋の一つは、摘まれてきた草がところ狭しと置かれていた。

「お、薬草でいっぱいだな。」ソルが微笑んだ。

「あら、わかる?」ミレディが喜んだ。

「ソルは薬草を良く知ってるのよ。」フローラは自慢げだ。

「オヤジさんから少し教わっただけだ。」ソルがニガニガしく言った。

「私も教えてもらえるとありがたいけど難しいわよね。」ミレディは本当に残念そうだ。

「明日、森に入ってお互いに教えあえばいいんじゃない?もちろん私も付いてくから。」

フローラがミレディに言った。


ソルはミレディと見合った。

「オレはいいけど、オマエはいいのか?そっちの方が詳しそうだぞ。」

「ぜひお願い。いろいろ教えて欲しいわ。ぜひ明日もここへ来て。」ミレディはにこやかに答えた。


 「その件だけど、家の横あたりにテントを二つ張ってもいいかしら。」フローラが割り込んだ。

「かまいませんが、なんでテントを?」

「村に入れなくなったからだな?」ソルがフローラに言った。

「そう。前にもあったから、わかるわよね。」フローラが答えた。

「前にもあったんですか?」ミレディがフローラにたずねた。

「村の手前の森で猪人を襲っている人間を追い払ったから寄るのをやめた。殺されに行くようなもんだろ?」ソルがミレディに答えた。

「つまり、さっきの男達を追い払ったから。村に行けなくなったという事?私のせい??」ミレディは動揺したようだった。

「悪いのは奴らよ。二人で悪党の巣へ乗り込むのは、まずいでしょ?」フローラが笑いながら言った。

 「成る程。」ミレディはあたりを見渡して、少し考えこんだ。

「ここを片づければ、一人は寝れると思うんですけど。薬草の臭いにまみれてますが。」

「いえ、いつもテントで寝てますので、気にしないで。」フローラが手を振って断った。

「オマエだけでも、ベッドで寝たほうが良い。そのほうが体が休まるだろ?」ソルが首だけ回して言った。

「いいの?」

「オレは頑丈にできてる。」

「ありがとう。」二人はしばし見つめ合った。

 「じゃ、ソルはテントを張ったら料理をお願いね。」フローラが微笑んだ。

「えっ。オレが!?」ミレディも驚いている。

「ミレディと私はここを片づけるから。それとも、私が料理する?」

「オレが料理をする。」ソルはそそくさとテントを張りに出た。


 翌日、ソルはミレディと薬草を教えあった。ソルは傷に効くものを、ミレディは病気に効くものをより知っているようだった。

三人で薬草を抱えて小屋の近くまで戻ってきた。ソルが歩みを止めた。

「小屋の前に昨日のヤツらがいる。」薬草を置いて、急ぎ足で小屋の前に出た。

昨日の男達の他に一人、強そうな感じの戦士がいた。


 「へぇ、ホントに猪人が現れたな。」戦士が言った。

「まだいたな。」「やはり、魔女には猪人がつきものだな。」昨日の二人も戦士の後ろから声をかけてきた。

「オレを英雄扱いしたって、ミレディを渡したりしないぞ!」ソルは二人に拳をむけた。

「何、言ってんだ?」「誰が英雄扱いしたんだ?」

「魔女に猪人のおとぎ話って言ったら、魔女を守る人間をやっつけ、かけられた呪いを解いて村に連れて帰って英雄になる。ってヤツだろ?」

ソル以外の全員が固まった。

 フローラがいち早く気をとりなおした。「ソル。人間のおとぎ話では、魔女を守るのは猪人なのよ。」

ソルは自分を指した。「えっ、それじゃオレが悪者じゃないか!」

ぐるっと男達に振り向いて腕を振り上げた。「何でオレが悪者になるんだよ!」

「ソル。敵に悪口を言われたからって怒らないで。落ち着いて戦わないと、やられちゃうわよ。」フローラが後ろから声をかけた。

「悪口?そうか。悪いのはアイツらだよな。」ソルはたいぶ気持ちがおさまった。

「ミレディを困らせる悪者め!オレが許さないぞ!」あらためて戦士を睨みつけた。


 「この猪人は、あんたの物なのか?」戦士がフローラに尋ねてきた。

「違う!!」ソルは相手をさらに睨みつけた。

「ソルは私の相棒よ!」フローラも答えた。

「相棒ね。今の正義の味方気取りのセリフはあんたが仕込んだんじゃないのか?」

「セリフを仕込んだって?オレは劇なんかやってないぞ!」ソルは戦士がなんで劇の話をしだしたのか、わからなかった。

「ソルは自分の意志で、そっちの悪者達から私を守ってくれてるわ!」ミレディが戦士へ訴えた。戦士は後ろの二人に振り返った。

 「彼女は、お前らを悪者だと言ってるぞ?話がおかしくないか?」

「あんたは猪人と戦うだけでいいと言ったはずだ。」「前金を払ったぞ。」

「猪人を連れた悪漢に捕らわれた女を助けるというから引き受けたんだ。これじゃ、あの猪人をやっつけても”ありがとう”とは言われないじゃないか!」

「ヒーローになりたかったのね。」フローラがつぶやいた。

「話が違う、俺はやめた。見物に回らせてもらう。」戦士はソルと対峙するのをやめて脇へどいた。

 「ここまで来てそれはないだろう!」「前金かえせ!」

「契約内容に偽りがあったんだから、ぶん殴られないだけでもありがたいと思え。不満なら、相手になるぞ。」戦士は二人を睨みつけた。

「くそう。」「金と礼ならするから、頼むよ。」

「やなこった。それより、あっちがしびれをきらしてるぞ。」戦士がソルを指した。


 「どうやら、2対2になったようだな。昨日は逃がしてやったけど、今日は許さないからな。」ソルは剣に手をかけた。

「わ、よせ。」「ちきしょう、女剣士だけならなんとかなるのに!」

それを聞いたソルはニヤリとした。「やめとけ、死ぬぞ。コイツはオレより強いからな。」

ソルを除く全員の驚愕の視線を受けてフローラがソルに叫んだ。

「同じくらいの強さでしょ!私がとんでもなく強いみたいな言い方しないで!」

「同じくらい強いんですか?」ミレディが横からきいた。

「同じくらいよ!」フローラはムキになって答えた。

「猪人と同じくらい強い女剣士だって?」「とんでもなく強いじゃないか!」

「本当なら、すごいな。」戦士も関心している。

フローラはだまってしまった。


 「お前、よけいな事言うなよ!」「同じ事考えてただろ!?」二人はさらに言い合っている。

「どうすんだ?オレと2対1でやるのか?」ソルがあきれながら訊いた。

「俺は逃げる。」「俺も逃げる!」二人は背中を見せて走り出した。

「まったく、なさけない悪者達だな。じゃ、俺も退散するよ。」戦士も歩きだした。

「ありがとう。あなたは正義の人だわ。」ミレディが声をかけた。

戦士は振り返り丁寧にお辞儀をして、再び歩き出した。


 「あいつらが又、来るとわかってたんだな!?」ソルがフローラに訊いた。

「わかってないわ。念のためと思って泊めてもらったのよ。」

「そんな。私、代金も払ってないのに。どうしましょう。」ミレディがうろたえ始めた。

「ただの人助けでいいって、言ったでしょ?」

「それでは、ほどこし過ぎです。」

「では、薬を少しと食料をもらうわ。それでいいでしょ?」フローラはソルに確かめた。

 ソルはミレディをじっと見た。「オレの子供を産んでくれないか?」

ミレディは身を固くした。しまった、嫌かな。

「ごめんなさい。私は今、他の人と約束があるの。」

ソルはがっかりした。

「そうか。こんな良い女にはとっくにいるよな。」

「ソル。友達になって。」

「あぁ。」ソルは微笑んだ。


 「ところで、人間のおとぎ話では、猪人が魔女を守るのか?」

「そうよ、猪人のおとぎ話では人間が魔女を守るの?」フローラが答えた。

「魔女にそそのかされた人間達だ。何で違うんだ?」

「それは、やっぱり人間と猪人が敵対しているからでしょう。」

「そうか、人間と仲が悪いからか。」がっくりして、顔をふせた後フローラをチラっとみた。

「大丈夫よ。私達はこれからも仲良くしていきましょ。」フローラがソルに微笑んだ。

「うん。そうだな。」ソルがフローラに笑顔を向けた。


 ふと二人の様子をじっと見るミレディに気が付いた。「どうかしたか?」

「二人が時々、相棒と言うよりももっと親しい仲に見えるのよ。そう、姉弟みたいな。」

「なんでだ?」ソルが睨んだ。

「そうねぇ、愛おしさを感じるのよ。昨夜、聞いた話では恋人ではないということだし。」

「オレがテントに入った後でそんな話をしてたのか。でもどうして、いつも半日とか一日でバレるんだ。」

「やっぱり、愛おしさがにじみ出るから、じゃないかしら?」フローラが笑った。

「うー、そぅなのかぁ。」ソルは頭をかかえた。

「あの、バレるって?」ミレディがフローラへ訊いた。

「私とソルは実の姉弟なの。続きは家の中で。」フローラが二人を小屋へ促した。


 翌朝になって、ソルはミレディの荷物を持ち上げた。

「これだけでいいのか?」

「えぇ、今はソルがいるけど、帰りは自分で持たないといけないから。」

「そうね、着いた先で買い足すかもしれないし。」フローラも頷いた。

 ミレディはしばらくの間、別の村で過ごす事にした。いつ又、あの二人が荒くれ者を連れてくるかわからないからだ。

 突然ソルは驚いて目を見開いた、「馬が来る。・・・一頭?」

「馬!?」女性二人が顔を合わせた。

三人は急いで外へ出た。白馬が軽い駆け足で近づいて来るところだった。

「あの方は!?」ミレディが声をあげた。

 馬がソルを警戒して立ち止まった。

「アマエもミレディを困らせに来たのか!?」ソルが怒鳴りつけた。

「えっ!いや、そんなつもりは・・・。」馬上の男がひるんだ。

「ショーンさん!」ミレディがソルをさしおいて男にかけ寄った。

「あっ、おい!」ソルはあわてた。

「ミレディさん、あの猪人は?」

「嫌がらせに来る男達から守ってくれたんです。」

「猪人があなたを守ってくれたんですか?」

ソルの横に来ていたフローラが頭をかるく下げた。「護衛をしているソルとフローラです。」ソルもあわてて、頭を下げた。

ショーンが馬を降りた。「ショーンです。」

 頭を下げた後ミレディに向いた。「護衛を雇うなんて、よほどひどい目にあったんだね?」

「ソルのおかげで、ひどい目にあわずにすみました。」

「それはよかった。」

「馬で駆け付けるなんて何かあったのですか?」

「もちろん、君を迎えに来たんだよ。約束しただろう?」

「本当に?こんな身よりのない女を?」

「言っただろ?父の事業がうまくいっただけで、家柄は特にないって。母もおばあさまも、君のようにしっかりした人なら大歓迎と言っている。」

「まぁ。そんな。」

ショーンはソルとフローラをちらっと見てから、ミレディに向き直って。

「ミレディ。僕と結婚してください。」

「はい。」


 「二人だけで話がすすんでるぞ。」ソルがフローラにつぶやいた。

「プロポーズのお手本を見せてもらったのよ。」ソルに答えてから、二人に向き直った。

「おめでとうございます。」

「ありがとうございます。」ミレディが赤くなりながら答えた。

「オマエ達は今、結婚したのか?」ソルが二人を指してきいた。

ミレディはショーンへ問いかけるように振り向いた。

「結婚式は後日、僕の村でどうでしょう。よければ今から我が家へ数日泊まりがけで、打ち合わせさせてもらえませんか?」

「ちょうど夜逃げするところだったんです。喜んで。」

「夜逃げだって?そうなのか?」ソルがフローラへ訊いた。

「そうね。後で説明するから、今は荷物を持ってきましょ。」


 ソルは家の中にあった薬草を一束、荷物と共に持って出てきた。

ショーンに「馬の名前は?」

「ホワイティだ。」

「ホワイティにオレは怖くないって言い聞かせてくれ。」

ショーンがホワイティをなでながら言い聞かせているところに

「よろしくな。」薬草を口元に差し出した。

ホワイティはソルの手元から薬草を食べた。

「この子がこういう草が好きだなんて知らなかった。」ショーンは意外そうだ。

「馬が好きな草を持ってきた。気に入ってよかった。」ソルはほっとした。


 ソルはホワイティになんとか荷物をつけた。

「ありがとう。猪人が馬や人間と仲良くなれるなんて知らなかった。」

ショーンがソルに手を差し出してきた。

ソルは手を握って。「あぁ。ミレディとも友達になった。」

「そうか。それなら、新居をかまえたら、遊びに来てくれ。妻の友達なら歓迎する。」

「そうする。」ソルがうなずいた。


 フローラとミレディが揃って家から出てきた。

「ソル。私をホワイティに乗せて。」ミレディが両腕を差し伸べてきた。

ソルはぎょっとしながらも、ミレディを抱えて乗せた。

「それじゃあ。」ミレディが二人に微笑んだ。

「白馬の王子に迎えにきてもらうなんて、素敵だわ。」フローラが微笑んだ。

「えぇ。おとぎ話みたい。」

 「女は白馬で迎えに来るのがいいのか?」ソルがフローラにきいた。

「まぁ、あこがれかしらねぇ。」

「オレ、馬に乗れるかな・・・。」ソルは不安に思った。

「ソルは馬に乗らなくても、かっこいいから大丈夫よ。」フローラが笑った。

「オレはカッコイイか?」

「悪者達を追い払った姿はとてもかっこよかったわ。」ミレディが馬上から答えた。

「そうか、かっこいいか。」ソルは照れた。

 「さぁ、行こう。」ショーンがミレディに言った。

「はい。」

「お幸せに。」フローラが手を振った。

「又、会おうな。」ソルも手を振った。


 二人が見えなくなってから、フローラがソルに合図して歩きだした。

「おとぎ話みたいな仕事だったわね。」

「なぁ、女剣士と猪人だとどうなるんだ?男の剣士と猪人なら殺し合うに決まってるけど。」

「私も知ってるおとぎ話は男の剣士ばかりで女剣士はないわねぇ。私達は仲良く護衛をしていけば、いいんじゃない?」

「そうだな。」ソルとフローラは微笑みあった。


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