『孕 ま せ て』と想定外(ミア視点の話)
◆◇◇◇
さて式を終え、飯を喰らい、後は……そう、子作り!
今まで散々お預けされていたこのほとばしりそうな熱いパトス!
とりあえずいつも通り寝室で待機を命ぜられたのでさっさと日々の作業と化している強化の魔術を掛けておく。
さて、こちらの準備は万全だ。
早く来てくれないかな、ごちそうよ。
わくわくしながら待っているとノックの音が聞こえる。
入室の許可を出すと、サリアがウェディングドレスのままでやってきた。
うん、かわいい。
「お待たせ、あなた」
「あぁ、待ってたよ。もう少し『待て』しておいた方がいいかい?」
「フフッ……そうね、もうちょっとだけ待ってね」
こういうと、サリアはメイド服の時のようにウェディングドレスのパーツを外していく。
Aラインドレスのトレーン(引き裾)部分を外す。
スカート部分を外しガーターストッキングが丸見えに。
今日のショーツは白か。
胸部分を外し、ブラとコルセットがお出ましになる。
コルセットを外し、きめ細やかな素肌が月の光にさらされる。
ホッと溜息をついている所を見ると、やはりきつかったんだな。
ただし、ベール、グローブ、ティアラは外さず。
ガーターストッキングもそのまま。
多分オフィーリアとチェリーさんの入れ知恵だろうが、脱ぎつつもウェディングドレスの痕跡を残す……流石分かっているな。
「あなた……」
ゆっくりとわたしに近づき、頭をわたしの胸に押し付け、抱きしめてくる。
サリアの頭を撫でつつ抱きしめ返すと、顔を上に向けキスをしてくる。
式の時に負けないくらいケダモノのようなキスを続け、やっと唇を離すととろんとした眼を向けてくる。
しなだれかかりつつもわたしの方を見て、サリアはわたしをケダモノに変える言葉を発する。
「あなた、つい先日からわたしの体温が上がってきております」
サリアの身体的には準備万全ということだな。
「この数週間食事は精力料理メインにしておりますので、あなたの子種も元気になっているかと……まぁ、私もですが」
確かにいつも以上に股間が元気になっている。
……普段から無駄に元気とか言わないでくれ、自分でも分かってる。
それと、終わりに恥じらいつつも正直に教えてくれるサリアが可愛い♡。
「また、継続的に強化魔術をかけているわよね?」
当然だな。今頃我が子種のイメージは筋肉をいじめ倒したマッチョな感じとなっているだろう。
……イメージだぞ? リアルでマッチョな子種なんて流石に無いからな?
「最後に、本日二度目の結婚式を行いました」
ああ、覚えている。
牧師役のケインの前で愛を誓い、熱烈な(矮小な表現)キスを行ったことも。
その際にサリアが足がガクガクになるまで喜んでくれたことも。
「いや、そこはとりあえず置いておいて」
よいではないか。
可愛かったぞ。
「っ……//////」
おぉ、照れてるな?
「そ、それは置いておいて、式を挙げるということは本日私たちが全力で子作りすると明言することと等しい。もっと言えば『今回で絶対孕ませる!』もしくは『絶対孕む!』という宣言を行うこと」
……あっ!
今までも何度も子作りして孕まなかったことはあの場の面々は皆知っている。
それなのにわざわざ二度目の結婚式なんてするのは……。
「簡単に言えば、覚悟の問題ってことですよ」
そうだ。
ミアやラルフ達の尽力で滞りなく準備が完了し、魔王様をはじめ周りの皆さまが盛大に祝ってくれた。
今更行う必要なんぞ全くない自己満足しかない結婚式に。
それは、皆がわたしたちの悩みを理解し、受け入れてくれたから……。
「わたしの夫はここまで舞台を整えてもらって尻込みするヘタレじゃないわよね?」
……全く、サリア、君はどこまでわたしを煽るんだい?
「だから、今日は今までを越えるくらい私を抱いて。そして……」
わたしはサリアの言葉を受け入れ……。
「 孕 ま せ て 」
暴走する。
最後の言葉を聞いた直後から純白のタキシード&ワイシャツを引きちぎり、上半身裸で突進。
流石にサリアにタックルはしないが、お姫様抱っこの体制となりベッドに全速力で運び込む。
その後は……今まで一番頑張ったと言っておこう。
まぁ、後日化け物扱いされるのだが。
◇◆◇◇
お か し い
いつもの『二泊三日』を越えるのは結婚式に参加した全員が推測していた。
いやむしろいつも通りで終わったらそちらの方が驚きだ。
とりあえず皆『四泊五日』まで行くか『三泊四日』あたりで落ち着くのかと見ている。
なお、賭け率は『四泊五日』が半数を占め、『三泊四日』が四割。
残り一割の大半はいつもと同じ『二泊三日』となっていた。
わたしですか?
わたしミアは『四泊五日』に、夫のラルフは『三泊四日』にしてどちらになっても当たるように賭けております。
で・す・が。
既に『四泊五日』の朝になりましたが、いまだに暴走されております。
というか、終わる気配が無いんです。
どんだけバケモンなのですか、あんたらは。
それと……食事を運ぶ際に『二泊三日』後から淫気対応装備として対毒用ガスマスク装備A-2を利用しておりますが、どうも効果が思わしくなく一部の侍女が淫気に当てられ、顔を赤らめて大急ぎで自室に隠れることが増えてきました。
多分吸収量を越える淫気が蔓延しているのでしょう。
……自室に隠れてナニしているかは追及しないで上げてください。
急ぎケイン殿と相談し最高ランクのガスマスク装備A-3を侍女全員分確保しましたが、流石に呆れられてしまいました。
当然呆れる相手は私ではなく、いまだに腰を振り続けているマルコ様とサリア様に対してです。
そういえば、賭けで四名だけぶっ飛んだ選択をした方がおられましたね。
宰相様とチェリー様が『六泊七日』
魔王様とオフィーリア様が『七泊八日』
まさか……当ててしまうのですか?
明日、最終回投稿します。
七章説明回も用意いたしますので、二話投稿となります。