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二度目の結婚式


◆◇◇◇

 

 

 さて『待て』を覚えたわたしに隙はない。


 大人しく夕方まで静かに過ごしていた、というか流石にサリアが色々仕込もうとしているのを邪魔する気はなかった。


 

 まぁ、皆仕込むのを隠す気が全く無いようで、


「奥様、このレースは?」


「オフィーリアに渡して。今祭壇の準備しているはずよ」


「こちらの花束は?」


「チェリーさんが入口あたりにいるはずなので、そちらに持っていって」


「奥様、プレーンヴィッジ殿から取れたての海産物が届きました!」


「料理長に渡して。結構量があるのなら、皆の食事にも出せるかもしれないわ!」


「「「やった~!!」」」



 ……うん、これで何も仕込んでいないなんて言えるはずないよね。


 とはいえ、『祭壇』か。


 二度目の覚悟をするべきなんだろうな。


 サリアに恥をかかせないようにしなければ。



 ある程度落ち着いたのか、ラルフが着替えを持ってきた。


 予想通り、純白のタキシード。


 チラッとラルフを見ると、めっちゃ楽しそうな顔をしてやがった。


 お前、結婚式でガチガチだったじゃねぇか!


 右手と右足を同時に出してミアに近づき、キスしようとして前歯をぶつけあって二人して涙流してうずくまってたのまだ覚えているからな?

 


 それに比べればわたしたちは二度目。


 今さらお前のように無様なことはやんねぇよ、へっ!


 そんなことを思いつつもタキシードに着替える。


 

 ……まぁ、後でこのことを思い出して赤面することになるのだが。


 ……本当に、言葉に出さなくてよかった。


 

 さて、色々準備を終わらせ魔王城の一角、祭壇のある部屋の前まで連れられてきた。


「なぁ、ラルフ」


「なんでしょう? ビビっておられますか?」


 なにそんなに煽ってくるんだよ?


 

「なんとなくだが、中に精霊女王方がおられるのではないか?」


「流石に気づきますか。そのとおりですよ」


「ならば、精霊王達も呼ばないと拗ねる気がするのだが?」


「……あ!」


 ……おい!

 


「お前はいったん中に入り、サリアと精霊女王たちに中で呼べばいいのか事前に呼んでおくべきか確認取ってこい」


「はい!」


 大急ぎで確認して戻ってくると、事前召喚を希望された。


 

「精霊王達よ出でよ!」



「遅い!」


「なにぼんやりしてるんだよ、もっと早く呼んでくれよ!」


「「ねぇ、もう飽きたんだけど……」」


「帰っていいか? 妻がいないうちにのんびりしたいんだが……」


 ……想像通りではあるが、精霊王達から文句を言われまくっていた。


 って、風の精霊王ダバスは?


 

「あ~! 貴様何している! 今日この時だけは逃げるなとお前の妻から言われなかったのか?」


「バカ、シーッ、シーッ。いいじゃねぇかよ。こいつの結婚式って同じ相手で二度目だぞ? 今さら何を見るっていうんだ?」


「そんなのこっちだって分かっている! でもここで逃げたら確実に女王たちからボコられるだろうが! 連帯責任とか言って我ら全員がつるし上げられるんだぞ!」


 バクラトに叱られているダバス。


 あぁ、精霊王たちの家庭での立場の低さがにじみ出ているようだ。


 まぁ、勝手気ままにやらかしているから立場を上げるのはまず無理だろうが。


 

「あー、王達よ、すまんがさっさと終わらせたいのなら中に入って待っていてほしい。ここで騒げば騒ぐほど解放までの時間がかかるぞ?」


 早く終わらせたい気持ちが勝ったのか、グチグチ言いつつも中に入っていく。


 

「……なぁ、ラルフ」


「……なんでしょう?」


「今までの会話、中に全部聞こえているよな?」


「でしょうね。むしろ聞こえなかったら驚きですよ」


 ……精霊女王たちが戻った後に王たちを調教するのでしょうね。


 二人して王たちの未来を想像し、溜息をついた。

 

 

 改めて、祭壇の部屋の扉を見て昔を思い出す。


 一度目の結婚式は、正直式とは呼べないものだった。


 魔王様とオフィーリア、ケインとわたしたち。


 ボロボロな服を着て簡単に結婚の宣言をしただけのあの日。


 今と比較して何も持っていない、魔王国も存在しない、そんな頃。


 わずかな友に祝福されたあの興奮。


 サリアと共に歩いていくと誓ったあの感動。


 あの頃を思い出しているところで、ラルフが扉を開ける。

 

 

 ワッ!!!

 

 

 ヴァージンロードの左右に用意された席にはラルフたち王宮エルフの面々、近衛の三部隊の各メンバー、副団長のジャシーリ殿、チェリーさんを筆頭にサキュバスメイド部隊。精霊王たちと精霊女王たち。


 そして、魔王様 inside into オフィーリア。


 ……ここでも胸元に入り込むのかよ。


 まぁ魔王様らしいけど。


 

 正面の祭壇前にはケインが牧師役についていた。

 

「……あまり驚いでねようだね」


 ケインがつまらなさそうに声を掛けてくる。


 

「……あれだけ大声で準備していたら、そりゃ何が起こるか推測できますよ」


「んだな。女性陣がやる気出しすぎでね。あの熱気には逆らえんよ」


「そうですね。逆らったら……うん、考えるのやめましょう」


「んだな……」


 二人で溜息をついていると、再び扉側で騒ぎが起こっているようだ。



「サリア! ビクビクしてんじゃないわよ! あんたのアイデアでしょ!」


「だってミア、やっぱり不安なんだもの!」


「一度挙式してるんでしょ! いまさらビビらないで!」


「あの時はほとんど人いない式だもの! 今回結構人いるわよね?」


「そりゃいるでしょうねぇ。魔王様にオフィーリア様、宰相様にチェリーさん、近衛の皆さん、精霊王たちに精霊女王たち。メイドに侍従がたんまりと。王宮内だけで済ませているのでこの程度で済んでますが、本気でやったら各種族代表も来るでしょうし、それに比べればチョロいもんですよ」


 まぁミアの言っていることは事実だが……手加減なしで叱っているな。


 スゾッキィー隊長、笑ってくれるな。


 自業自得とか言わんでくれ。


 

「ほらサリア殿、マルコ殿もお待ちでしょう。そろそろ参りませんか?」


 あれ? タイバーン殿?


 ……あぁ、父親役でエスコートしてくださるのか。


 ほんと申し訳ない。

 

 

 その後、やっと覚悟を決めたのか扉が開きサリアがタイバーン殿に連れられわたしの隣に向かう。

 


 ウ ェ デ ィ ン グ ド レ ス


 

 一般的に言うところの花嫁衣裳。


 稀に淡い水色や淡い桃色のカラードレスもあるが大抵白系で統一されており、今回は純白で統一されている。


 形状もAラインやマーメイドライン、プリンセスライン、エンパイアライン等複数あるが、今回はAラインを選択したようだ。


 ティアラ、ベール、グローブ等小物も純白で統一。


 二度目であっても新婚気分が味わえてしまう逸品だ。



 ただし、このウェディングドレスはオフィーリアが関わっているはず。


 流石に魔王様や近衛騎士たちがいるところでいやらしいところを見せることはないだろうが、メイド服のように色々パーツが取れるタイプと推測している。


 が、あのオフィーリアがどれだけ怪しいアイディアを考えたのかを想像するだけで……。


 

 おや、サリアもタイバーン殿も怯えているようだが?


 もしかして、わたしのよこしまな感情に反応してしまったのだろうか?


 うむ、式をちゃんと終わらせるためにもこの想いを抑えなければ。

 

 

 こちらが感情を抑えたところで怯えも消えたのかサリアがわたしの隣に並んだ。


 タイバーン殿に礼を言い、牧師役のケインの方を向く。


 ヤレヤレといった表情だが、神前式を始めてくれる。


 

「マルコ、汝健やがなるどぎも病める時も、サリアを愛し敬いともに助げ合いその命ある限り真心尽ぐすこど誓うすか?」


「誓います」


「サリア、汝健やがなるどぎも病める時も、マルコを愛し敬いともに助げ合いその命ある限り真心尽ぐすこど誓うすか?」


「誓います」


「せば、誓いの口づけを」



 普通、こういう時は軽くキスするだけでいい。


 だがしかし、『待て』を覚えたわたしであっても少々待ち時間が長すぎると思うのですよ。



 な・の・で。



 少しだけですがおイタをしてしまいましょうか。


 大丈夫ですよ、そんな時間は掛けませんから。


 わたしなりには……ですがね。

 

 

 ということで、誓いの口づけベロチューver開始!


  

(口づけ直後)

 アッカーメ:「おー、いきましたねぇブチュっと」

 インミラー:「きゃ~!」(といいつつガン見)

 スゾッキィー:「……あいつ、暴走してないか?」


 スゾッキィー隊長、よく気づいたな。


 それと、インミラー嬢は恥ずかしがるなら目も隠せよ。



(一分後)

 ジャシーリ:「……若いですのぉ」

 タイバーン:「いや、あなたの方が若いんですが」


 ジャシーリ殿、変にしみじみと言わんでください。



(三分後)

 ガルム:「なぁ、普通こんな長いのか? サリア様、足ガクガクしてるが?」

 フリック:「あのお二人が普通だとなぜ思った?」

 スゾッキィー:「あきらめろ、あいつら的にはあれが普通だ」

 

 お前ら、減給な。


 

(五分後)

 チェリーさん:「あらあら、サリアったら目がとろんとして」

 オフィーリア:「まだまだね。もっと楽しまないと」

 

 そんなことできるのはあなたたちだけです。

 

 

 五分と十数秒で唇を離すと唾液で糸を引く。


 サリアは惚けた表情をしつつわたしにしなだれかかる。


 サリアを支えつつ牧師役のケインの方を向くととても呆れた表情をされてしまった。


「どうした? 呆れているようだが」


「呆れねはずがながるべ? こんた時まで暴走しおって。参列者の大半が呆然どしてらぞ。まぁ、流石『二泊三日』の男どでも思ってらがもしれねが」



 いやぁ、止まんなくて。


 チラッと参列者の方を見ると怯えているのが何割か。


 そして興奮しているのがサキュバスメイドたちと一部の女性。


 ……あなたのことだぞ、インミラー嬢。


 オフィーリアとチェリーさんはサキュバスメイド側にカウントされるからな。


 

 その後、食事会を開催すると近衛騎士たちがイナゴのように食い散らかしていった。


 これ、子作りのための精力料理なんだけど、君たち精力発散のお相手は?


 特にヘタレていた第二部隊の面々、この後娼館一直線なんじゃないの?


 ちゃんと自費で行くんだよ?

 

inside into の使い方ってこれでいいんだろうか?

違ったとしてもスルーしていただけるとありがたいです。

英語だけじゃないけど苦手だったもんで。

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