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事前準備中とサリアの悦びと恐怖(サリア視点の話)

◆◇◇◇


「さて、あなた?」


 な、なんでございましょう?


「流石にもう少し信じてくださいまし。一万年以上一緒にいても不安ですか?」


「……言いたいことは分かる。でも、やっぱり不安ってのはいつどこからでも湧いてきてわたしを怯えさせるんだ」


 そんな単純にわりきれないんですよね。


 わたしから見たらサリアは最愛でも、サリアからみたらわたしは最愛になれているのかいつでも不安になります。


 まぁ、だからこそ全力で愛するために『二泊三日』という必殺技?を覚えてしまったのですが。


 

 わたしの情けない感情を吐露したところでサリアが呆れつつも微笑みを浮かべ――


「全く……あなたはわたしにとっていつでも最愛ですよ(チュッ)」



 ――一番欲しかった言葉と共に頬にキスされた。


 

 これは、もう『二泊三日』待ったなしですね!


 むしろベッドなんて行かずに今ここでおっぱじめてm


 

 ドスッ!!


 ……グラッ……ガクッ。


 

 ……なんということでしょう。


 ……みぞおちにとてつもない痛みが走ったかと思ったら体が痺れ息ができなくなり、足に力が入らず膝をついてしまいました。

 

 

「ねぇ、あなた」


 なぜかここが氷室にでもなったかのような寒さが……。


「執務室でお休みのタイミングをずらすと宣言したわよねぇ?」


 ちょ、落ち着いて……。


「なぜここで『二泊三日』しようとしたのかしらぁ?」


「すいません!!(ガコッ!!)」


 即刻ドゥーゲザーの体制に移行、頭を床にぶつけると流石に許された。


 やはり、床を割る勢いで頭をぶつけるのが大事なんだな。


 

 それから数日、いくつかやることが発生した。


 魔王様を侮辱したプレーンヴィッジ殿の奥さんの処分の話にて、奥さんの殺処分とブラックドラゴン族から正式な謝罪を受けたこととか……。



 ヘデリがやってきて王宮エルフと白無能族を元のエルフ族に戻そうといわれたとか……まぁ断ったけどね。


 めんどいし。



 白無能族の名称がやっぱ嫌ということで、名称変更したい~と駄々こね始めたとか……まぁ断ったけどね。


 議会で話すべきだし。


 そんなことをしつつ、穏やかな日々を過ごしていた。



 なお、食事は以前に試した一部が元気になる料理に加え、海沿いから牡蠣、うなぎ、あさり。果樹園からアボカド、レモン。


 うちの料理人が全力で調理してくれた。


 うまかったのは事実だが、なぜか我が家の侍従侍女たちも夜間訓練(意味深)が活発になったようだ。


 わたしはお預けくらってるのに……解せぬ。


 それと、この間にサリアがオフィーリアやチェリーさんとよく相談をしていた。


 何を企んでいるのかはわからないが、楽しそうなので邪魔しないでおこう。


 

 そして十日後、執務室にて。


 宰相たちも席を外して今はサリアと二人きり。


 ……近衛騎士たちもいないのはどういうことだ?


 

「ねぇ、あ・な・た♡」


 サリアが猫なで声ですり寄ってきた。


 何を企んでいるのか図りかねてはいたものの、拗ねられるのは困るので抱きしめ頭を撫でつつ答える。


「どうした? わたしの奥さん」


「今日の夜から『二泊三日』始められるわよ?」



 ガタッ!


 

 驚きと喜びに打ち震えながらも念の為確認をする。


「本当かい? 大丈夫なのかい?」


「大丈夫、問題ないわ」



 ふむ、お預け解除か。


 ふむふむ……ふむぅ。


 

 盛 り 上 が っ て ま い り ま し た ぁ ! ! !

 

 

「あ、それと」


 ちょ、ちょっとこのタイミングで割り込みは勘弁してほしいんですけど!


 

「今日の夕食前にちょっと着替えてほしいの。詳細はラルフに説明してあるから、指示に従ってね」


「あ、あぁ。それくらいなら」


 ……何考えてる?


 サリアがわたしに嫌がらせするとは全く思っていないが……。


「なぁ、もしかしてわたしを暴走させたいのか?」


「あら、なぜかしら?」


「以前海で水着を買ったときのような雰囲気があったんだが……」


 サリアよ、なんだいその『チッ、ばれたか……』みたいな反応は?

 


「暴走するかはあなた次第だけど、現時点で私たちがやれること一通りやっておきたいの……後悔したくないから」


「サリア……」


 サリアを優しく抱きしめる。


 今まで子供を孕めていない不安、悔しさ、悲しみ……それらが混ざったような状態なのだろう。

 


 夫としてサリアの心を慰めきれなかったことに情けなさを感じつつ、何とか挽回しようとわたしの気持ちを伝える。


「サリア、ごめんな、不安を解消してやれなくて。自分の不甲斐なさを痛感しているよ」


「あなた……」


「だからこそ、サリアの想いに全力でこたえたいと思う」


「え……?」


「サリアが不安なんて考える余裕がないくらいに愛したい!」



◇◇◆◇



「サリアが不安なんて考える余裕がないくらいに愛したい!」



 夫のこの発言を聞いたとき、最近のサリアが愛された記憶を思い出した。


 魔改造して娼館で着るようなレベルにまでいやらしくした『メイド服』。


 前は修道女、後ろは尻丸出しな痴女っぽいにしか見えない『修道服』。


 夫が乗ってくれて母乳プレイ一歩手前までイった『バニースーツ』。


 本来ホタテ貝で隠していた部分をシジミに変えた『変態紐水着』。


 夫の新しい性癖を作り上げてしまった『園児服』。


 珍しく私から襲い掛かる形となった『ナース服』。


 恥ずかしがって真っ暗闇の中で無茶をさせた『童貞を殺すセーター』。


 

 どれもこれも思い出としてはうれしいものではある。


 なんせ、とてもとても激しく愛してもらえたからだ。


 妻として、夫に全力で愛されるのは幸せとしか言いようがない。


 

 ただ……。

 

 

『童貞を殺すセーター』で暴走したとき、いつもの『二泊三日』では終わらなかった。


『二泊三日』最終日の朝が普通だったのが、私はその次の日までダウンしていた。


 夫自身は最終日の夕方には起きたようだが……。


 

 そして、今回の仕込みは過去最大級にヤバいものを選んだ。


 オフィーリア、チェリーさん、ミア、三人とも夫が暴走すると自信をもって答えてくれた。


 そう、『童貞を殺すセーター』を越えると明言されてしまった。

 

 

 この仕込みから推測するに、夫は『二泊三日』を確実に超えてくるだろう。


 なんとなくではあるが『三泊四日』は確実だろう。


 もしかすると『四泊五日』までたどり着いてしまうかもしれない。


 

 私は……私は夫の愛を受けきれるだろうか?


 インキュバスが恐れ慄く夫の『二泊三日』。


 これを確実に超えてくるであろう今夜からの日々。


 

 私は夫の愛情が真実であることをわかっているからこそ……悦びと恐怖が混ざったような感情に翻弄されていた。

 

サリアの攻撃:ソーラープレキサスブローをイメージしてます。

上記攻撃が不明の方は”ソーラープレキサスブロー”か”ハンマーナオ”で検索すると詳しい説明が出てきます。

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