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わ・た・し・を・た・べ・て?

◆◇◇◇


 食後、とっとと寝室に向かい自己強化の魔術をかけようとすると、一点まずいことに気づいた。


 本日は新月だった。


 つまり、月明かりを光源とすることができない。


 ほとんど何も見えない状態でサリアとイチャイチャすることになってしまう。


 ……だが、先ほど頼まれた約定を破ることはしたくない。


 行動に大きすぎる制約が課されてしまったが何とか進めていこう。



 今回は今迄の生命力、幸運、速度、攻撃力、防御力の五種類を強化する。


 さてさて、どれだけ強化されるかな? 『○意に目覚めた精子』とかなるのかな?


 それと、オフィーリアはサリアに何渡したのかだが……ちょっと想像つかんな。



 そんなことを考えていると、サリアが部屋にやって来た。


 なぜだろう、今回シーツ姿ではなく衣裳着た状態で来ている。


 廊下の灯りのおかげで逆光ではあるが服装が目に入った。


 女は度胸! とかオフィーリアに言われたのかな?


 

 童 貞 を 殺 す セ ー タ ー



 オフィーリアの戦闘用衣装(比喩表現)をここで持ってきたか……。


 タートルネック、ベアバック(背中が大きく開いた服)、ケーブルニットのセーターではあるが、本当に童貞に必中確殺するわけではないのであしからず。


 なお、個人的には童貞であろうとなかろうと心にHITしたらそれでいいと思う。


 丈を長めにしてスカートなしでも着れるようになっている。

 


 確かこの衣服には二つの意味があり、その時により意味を変えつつ進化してきたと聞いている。


 今回はエロ一直線、童貞の心臓をパイルバンカーでぶち抜くタイプだろう。

 


 オフィーリアのは魔王様の出入りの為に胸元が横に開いていて胸の谷間が見えていたがこちらも踏襲しており、まだ背中側は見えていないが尻の割れ目が半分ほど見えていた記憶がある。


 なお、洞穴(比喩表現)までは見えていなかったことをここに記す。


 さて、サリアはどこまで……?

 

 

 わたしが頭の中で色々考えているとサリアは部屋の扉を閉めた。


 想像通り何も見えない。


 その割にサリアはベッドに危なげなく近づいてくる。


 なぜだ?


 まさか、自分だけ『暗視』の魔術を使っているとか・


 もしかして『わたしだけ』目隠し状態を求めているのかな?

 

 

 サリアは近づきわたしの胸にしなだれる。


 流石にこれだけ近づけば、わずかに見えるようになった。


「あなた、今まで積み上げてきた強化を全て使うって言ってたわね?」


「ああ、既にかけているが?」


「こちらも、今まで調査した食事を食べ、偶然だけど今日は体温も当たりやすい状態なの」


 ほう、それはつまり……。


「多分、今までで一番当たりやすい状態だと思うの。なので……」


 

「あなたも覚悟してね?」


 そう言って少しわたしから離れるとサリアは人差し指をわたしの心臓に当てて言った。


「童貞卒業していても殺してあげるから♡」


 恥ずかしいのであろうが、顔を赤らめつつも目を逸らさずに言ってくれた。


 ここまでお膳立てしてもらって元気(比喩表現)にならないはずがあるか? いや、ない!


『インキュバスより一部がタフ(比喩表現)なエルフ(オフィーリア談)』


『ベッドの上での必殺技が本当に相手を殺しそう(ケイン談)』


 と称された者として期待に答えねばなるまい。


 

 心が高揚した(ムラムラともいうが)ままサリアを抱きしめ、脱がせるために左手を首の後ろに、右手を股の間から侵入させると……右手側の感触がなんか違う。


 諸兄姉が勘違いしないよう明示するが、ショーツの感触でも素肌の感触でもない。


 いや、個人的には穿いてなくてもOKなのだが。



 なぜだろう、毛糸のふわふわな感触が手に残る。


 ま、まさか、伝説の『毛糸のパンツ』か?


 白竜を連れた伝説の女性冒険者が履いていたと言うあのパンツか?


 

「なんか、ものすごく勘違いしているみたいだけど……」


 サリアの目が冷たい気がする。


「ちゃんと、脱がしてごらんなさい♡」


 この言葉でハッとした。


『童貞を殺す云々』のもう一つの意味は『一見して構造を把握しにくいデザイン』だったはず!


 となると、エロ一直線だけでなく脱がすのが難しいタイプも併用したものか。


 

 色々と試行錯誤しつつ、また気分転換に乳や尻をなでて手をはたかれるとかあったが未だに脱がせていない。


 その大きな理由として……

  


 灯 り が 欲 し い


 

 いや、切実なんだこれが。


 多分サリアも理解した上で寝室の灯りを消せと言ったんだと思うが、特に本日新月だから月明かりも無くて本気でわっかんねぇんだよ!


 たぶん、月明かりがあっても無理ゲーじゃね?


 普通に灯りがあればすぐにわかるレベルの物なのだろうが……。


 

 うん、これはもう自力で答えは見つけられないだろう。


 なので、別の方法で答えを出してみようか。

 


 サリアの右の胸に手を触れる。


「アンッ」と軽く喘いでくれる。


 表情は見えないが……この辺りではないな。


 サリアの顔を見つつ右の胸から左の胸へ徐々に移動していく。


 元々胸の上あたりで横に開いている形なのでその縁に合わせて指を少しずつずらしていくと、サリアの雰囲気が緩んできたように感じる。



 ほぅ、そこまで我慢ができないか?


 まぁ、わたしもだが。

 


 胸の谷間辺りでサリアの雰囲気が変わった。


 何というか、『そこそこ、そこだからさっさとしやがれ!』という焦りが感じられる。


 すこしいじわるのつもりで左胸側へ動かすと、『チッ』と舌打ちされてしまった。


 ……そこまでする?


 ということは、身体の中心線に合わせて脱ぐためのボタンか何かがある?

 


 胸の谷間(一応ここも体の中心線)周辺で指を動かすとわずかではあるが段差があるように感じる。


 ボタンにしてはコンパクトだが……。


 サリアの雰囲気がわたしを応援しているような感じがする。『そう、そこよ! もう少し、ほら頑張って!』という視線……というか、眼力(?)を送ってくる。


 こちらからは目が見えないがここまで強く睨まれると流石に感づいてしまう。


 何というか……『策士、策に溺れる』と言う舞台を被り付きで見ているようだ。


 いや、見えないんだけどね。

 


 段差のある部分で左右に指を動かすと僅かながら重なっているように感じる部分がある。


 ケーブルニットの為に気づきにくかったが、もしかしてブラジャーのホックみたいな感じか?


 過去に何千何万と外してきたブラジャーのホックと同じように外してみる。



 プチッ。


 

 小さな音とともにセーターが左右にわずかながら開く。


 サリア、めっちゃほっとしてるだろ? 雰囲気が分かりやすすぎるぞ。


 ……本当に面倒な服作ったな、オフィーリア!

 


 まぁ、システムが分かれば後は何とでもなる。


 サリアの身体の中心線に指を這わせてホックの位置を確認すると、後五か所残っている。


 ……え、これ、全部外すの?

 

 ……もう面倒だから引き裂いちゃっても良くない?

 

 ……というか、どうせ暴走すれば服なんて破るだけの飾りでしょ?

 

 ……あ、だめですか、そうですか。



 サリアの雰囲気から『作業の効率化(比喩表現)』は許されないという固い意志を感じ、やむなく一つずつホックを外す作業に戻る。



 ……うっわぁ、めんどくせぇ。

 

 ……目的と手段が入れ替わってるぞ、サリアよ。

 

 

 どれだけ時間がかかったのだろうか、やっと残り五か所のホックを外し終わるとサリアの方からとてもイライラした雰囲気が伝わってくる。

 

 サリア……気持ちは分かるが、こんな目隠し状態では急ぐことはできないよ。

 

 これでもかなり早い方だと思うんだがなぁ。

 

 

 まぁ、やっと次の段階である『裸の突き合い(誤字に非ず)』に移れるとホッとしつつコスチュームを脱がせようとすると――


 ズッ……

 

 ――あれ?

 

 スパーンと脱げないんですけど?

 

 何が引っかかってるの?

 

 え、上のホック全部外したよね?

 

 後はショーツなんだから普通に脱がすだけでは?

 

 よくよく調べてみるとショーツ部分がセーターと一体化していてセーター前面のホックだけでは脱がせないようになっていた。

 

 先程、伝説の『毛糸のパンツ』かと勘違いしたのも一体化させる必要からセーターと同一素材である毛糸で作られているからか!

 

 指を這わせて調べてみると、こちらもわざわざショーツ部分を半分に切った後にホックで繋げるようにしたみたいだ。


 ……本当に、本当に面倒な服作ったな、オフィーリアァァァ!



「ねぇ、あなた?」


 声をかけられてサリアの顔の方を見ると何となく恥じらいの雰囲気が感じられる。


 ……なお、後日当人に聞いたところ赤面しつつ手ブラしていたそうだ。


「もう、我慢できないの……」


 いや、こっちもこれだけお預けされたら暴走しそうなんだぞ?

 

 理解してるか?


「だから、はやく……」


 あまり煽るなよ?


 こっちは既に限界なんだからな?


「わ・た・し・を・た・べ・て?」

 


 ぷっちぃぃぃん!


  

 そこからはほとんど覚えていない。


 最期(誤字に非ず)の言葉を言われて暴走したのだろうと言うことは想像している。


 その直後にサリアから『やばっ、ハンドリングミスった!』と聞こえた気がするが、時すでに遅しとしか言いようがない。


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