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洞穴(比喩表現)探索

最終第七章始まります。

章名の〇の部分、何が入るかバレバレかと思いますが一応このまま進めます。

◆◇◇◇


 あのナース服との激しい闘い……改め『文武発表祭』が終わって三か月ほど経過したとある日。

 

 ぽかぽかと気持ちの良い暖かさを感じていた所に外から落雷の如き音が響き渡った。



「魔王様、おるか~!!!」


 

 がはっ!!!


 皆一斉に耳をふさぎ、音響兵器とでもいうレベルの衝撃に耐える。


 呪いのかかった身体は、無駄に脂身が震えている。


 ……魔王様の身体もこの轟音のおかげで波打ってやがる。


 オフィーリア、魔王様を使って遊ぼうとか考えるなよ?


 

 何とか衝撃に耐えきれたわたしは這うようにして執務室の窓から外を見てみると、レッドドラゴンが暴走しかけていた。

 

 あれってスターフィード殿では?



「スターフィード殿!」


「お、おぉ、マルコ殿! すまんが力を貸してほしい!」


「少し時間をもらってからになるが、よろしいか?」


「急ぎなのじゃ!!」



 げはっ!!


 先程より衝撃力は低いが、それでも結構なダメージを受け片膝をついてしまう。


 周りも皆立ち上がるのに苦労している。


 

「スターフィード殿、声を落として!」


「だ、だが、妻が!!」



 ぐふっ!


 だからちょっと待てと……。


 

「ちょっと黙ってくれ! こちらの面々がスターフィード殿の大声でダウンしているのだ! 話を聞く気はあるからちょっと落ち着け!」



 やっとこちらの現状を理解したのか、焦りつつも騒ぐのを止めてくれた。

 

 それから十分後、フラフラしつつも庭に移動し、スターフィード殿の所に皆が集まった。


 魔王様もスターフィード殿に気づいたようで、オフィーリアの乳から離れ胸元から顔を出す。


 ……さっきの衝撃も身体が波打っただけでダメージなしかよ、魔王様。


 

「おぉ、そこにいたか魔王様! すまんが力を貸してほしい!」


「どうしたの~?」


「妻が、妻が卵を産みそうなのだ!!」


「おめでと~、って奥さんのところにいなくていいの?」


「だが、卵を産めないのだ!」


「「「???」」」



 皆で落ち着かせつつ話を聞くと――


「整理すると、奥方が産気づいたけど卵を産めない。理由が分からないので助けを呼んできてくれと言われた、で合ってます?」


「そ、その通りだ! 急ぎ協力を願いたい!」



 魔王様から命令が下る。


「マルコ達、アクレス連れて対応してきて~。後必要なら呪い解除もいいよ~」


 アクレスは以前わたしが幽体離脱した際に診察してくれた医師だ。


 あれ以降、幽体離脱も起こらず炎症も消えたので安心して暴走(?)できるようになった命の恩人でもある。



 急ぎアクレスを呼びスターフィード殿の奥方がいる洞窟へ向かうが、その間にアクレスからドラゴンの体について講義を受ける。


 簡単に言うと……


 ・ドラゴンは卵生。


 ・卵を産むのは尻の穴から。つまり鳥類と同じ総排出腔を持つ。


 これに加えて今回は産卵したいが卵を出せない。


 可能性としては、


 ・卵を排出するルートに異物がある


 ・卵を排出するルートの筋肉が緊張して卵が通れない


 あたりが有力。

 


 ……うん、医学について素人のわたしでも分かる説明ありがとう。


 でもね、なんかとても嫌な予感がするんだ。



 具体的に言うと……アクレス殿、あなた魔術ほとんど使えないよね?

 


 どうやって異物の有無を確認するの?


 どうやって筋肉の緊張をほぐすの?



 相手はドラゴンだよ?


 ドラゴンに聞くレベルの薬ってあるの?



 そして……アクレス殿よ、なぜわたしに『頼む!』なんて言ってくるの?


 そして……サリアよ、なぜわたしを見て吹き出しそうな表情しているの?


 ねぇ、だれか答えて?


 わたしの不安を拭ってほしいな?




 それから洞窟に入り奥方と対峙するが、白雪の様な鱗をしたホワイトドラゴンだった。


 苦しそうではあるが何とか会話可能なようで、スターフィード殿より落ち着いて説明をしてくれる。


 大体はスターフィード殿の説明で合っていたのだが、産卵の痛みとは別に下腹部にキュッと締め付ける様な痛みを感じるそうだ。


 それを聞き、アクレス殿は異物ではなく筋肉の緊張によるものと判断、わたしに作業を指示し始めた。

 

 

 さて、今回のミッションだが


 一:洞穴(比喩表現)からわたしが入り込む。


 二:卵のある方へ身体を移動し途中狭くなる辺りまで進む。


 三:到着後魔術を使い周辺の筋肉を弛緩させる。


 四:卵を見つけるまで二と三を繰り返す。


 と言う感じになる。


 

 ……まず誤解を解いておきたいが、洞穴(比喩表現)に体から入り込むのを良しとする性癖はわたしには無い!


 治療の為! 治療の為なのだ! 勘違いするなよ!


 

 ……それと、まとめると簡単に聞こえるけど滅茶苦茶難しいぞこれ。


 入り込むのは、まあどうにかなるだろう。


 だが、卵のある方へって勘でやれってか?


 それと、弛緩させるのは何とかなるかもしれないが、その後はどうやって戻るんだ?


 そして、のんびりしていたら別のルートから(詳細は伏せるが)別の物が出たりしないのか?

 


 アクレス殿に問うと、流石に無茶を言う気は無かったのか対策を提案された。


 卵のある方については、お腹側に向かって進めばよいとのこと。


 迷路を抜けるための左手法(左手を壁に着けたまま進めばいつかは出られる)のイメージで対処できるはずと言われた。


 戻り方は足に縄付けて魔術による合図(精霊経由で外に伝える)があったら外から引っ張り出すので一緒に中からも抜け出るように動いてほしい。


 そして別の物については、『……ガンバ♡』とのこと。

 

 

 最後最重要なんですけどねぇ!

 

 つーか、アクレス殿のハートマーク入りのコメントなんかいらねぇよ!

 

 そういうのはサリアにやらせなさい!

 

 

 

 色々愚痴ったがスターフィード夫妻の愛の結晶を救うため未踏の洞穴(比喩表現)に向かった。


 外部連絡には洞穴(比喩表現)内の光源として強制連行する光の精霊王ルーミエを使い、筋肉弛緩については水の精霊王ディダストの力で体内の水分の流れを操りほぐす方向で調整済み。


(嫌だけど)覚悟も決めたし、やってみますか!

 

 

 暗く深い洞穴を進み……って、グネグネ動かないの!


 地面(にあたる部分)があまりにも揺れ動くので進みづらいこと甚だしい。


 海上で水上歩行の魔術をかけたらこんな感じか?


 何とか卵へ向かう分岐点までたどり着いたが、ここまで二十分。


 常時匍匐前進とはなんとキツイことか。


 騎士たちは普段からこのような訓練をしているのだろう。


 その苦労に頭が下がる思いだ。


 

 ただ……このミッションって魔術使える騎士、できれば細身の騎士を連れてきたらよかったんじゃね?


 わたしのような文官タイプ、かつ現在呪いのために肥満状態の者より効率的に進んでくれると思うんだけど……。


 光の精霊王経由でサリアとアクレス殿に提案してみたら


  

『『……あっ!』』


 

 ってなんだよそれ!

 

 

 愚痴りつつも卵に向かって進んでいくと想定通り塞がっていた。


 ディダストに筋肉をほぐす魔術をかけてもらうと少し進みやすくなっていく。


 これを繰り返していくと、突然! 白い壁が現れた! って壁?


 もしかしてこれが卵?


 

 念の為アクレス殿に確認すると『それ、それです!』とのこと。


 ディダストに慎重にほぐしていくよう指示し、ルーミエ経由で引っ張り出す準備を指示するが……魔力が足りないだと?


 わたしの呪いを解いたら余裕ができるか?


 なら解くからその魔力を使って周辺一気にほぐしてくれ!


 長時間緊張していたのかほぐすのに苦ろブフェ!


洞穴(比喩表現)の意味が分からない方。

その純粋さを忘れないでください。

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