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淫気な朝(ミア視点の話)


◇◆◇◇


 紳士淑女の皆様方、お初にお目にかかります、ミアと申します。


 エルフ族でそれなりにお二人と接点がありましたので、メイド長なんて立場をいただいております。



 多分、奥様の自爆テロの状況がお知りになりたいかと思い、旦那様が暴走しているうちに少々この場を使わせて頂こうかと思い参上いたしました。


 

 とは言え、全力かつ詳細に状況を記載してしまうと、いわゆる『夜の世界』に攫われてしまうと言う問題点がございますので……ものすごくふんわりとした形になるかと思われますが、ご了承頂ければと思います。



 奥様が「ご・主・人・様・♡」と旦那様の心の急所に『どくばり』をぶち込むが如き所業をされた後、想像通りおいしく頂かれております。


 ええ、昼夜関係なく。



 一応、水とサンドイッチ等の簡易的な食事を定期的に届けに行っておりますが、こちらの仕事なぞ知ったことではないとばかりにお励みになられております。


 なお、二日目朝はまだ言葉らしきものを喋れておりますが、二日目夜には獣のようなうめき声と判定していいのか悩む声が聞こえております。


 この調子だと、予定通り三日目朝にはお二人とも気絶した状態で発見されることでしょう。


 ご帰宅されたところで『二泊三日』という単語が会話に出てきたと思いますが、私どもの中で、初日夜から三日目朝まで子作りし続けてるという行為をこのように呼んでおります。

 

 なお、このようなイカれた行動は、あのお二人にしかできません。


 エルフ族……いや、魔王国に属するどの種族もこんなことできません。


 可能性があるとしたら……魔王様とオフィーリア様くらいでしょうか。



 おや、あれは?



「ああ、よかった。まだ起きておられましたか。夜分申し訳ありません。ちょっとご相談がありまして」


 サキュバスメイドの統括役であるチェリーさんが珍しくこんな時間に来られましたが、なんでしょうね。



「最近入った新人メイドの研修をこちらでご協力お願いできないかと思い、伺わさせていただきました」


「えっと、もしかして……?」


 イヤな予感がするのですが。


「えぇ、まだ現実を理解していない子たちで、こちらでちょっと高くなった鼻をへし折っていただければと――その、そちら『二泊三日』中なのでしょう?」



 推測ではありますが、その新人たちは魔王様や副宰相夫妻がどれだけ危険な存在なのかまだ理解できていないのでしょう。


 それゆえチェリーさんとしては、このタイミングで『二泊三日』を経験させておくことで心をへし折るつもりなのでしょう。



 ですが、疑問もあります。


「確かに、ちょうどいいタイミングかと思います。ですが、魔王様の方もいつも通りオフィーリア様とお楽しみ中なのでは?」


『そっちでも十分できるだろう?』という意味を込めて聞いてみますと、そこを把握したうえでこちらに依頼してきたとのこと。



「おっしゃる通りなのですが、新人メイドの人数が四名なのです。魔王様側に二人、副宰相様側に二人つけて、まとめてやってしまった方が楽かなと」


「あぁ、納得ですが……四人も入られたのですか?」


「えぇ、それも全員『目指せ玉の輿』状態でして」


 はぁ、現実を知らないと言うのは恐ろしいものです。

 

 

 魔王様の玉の輿なんて絶対無理なのに。

 

 たかだか二桁年程度しか生きていない者がオフィーリア様を押しのけて?

 

 絶対無理です。

 

 オフィーリア様はこの蛮勇を褒めだすかもしれませんが、魔王様が確実にその者たちを消しますね……。

 

 実際過去にもありましたしね。



「夢持ちすぎな方々なのですね。承知しました。ご協力させていただきます」


「本当に助かります。では明日朝一番から一週間、こちらでお願いいたします」


 まぁ、新人さんたちにサキュバスとしての誇りが少しでもあるのならすぐに逃げ出すでしょうが。



 時が経ち、『二泊三日』最終日の朝となりました。


 快晴と言ってもいいくらいに雲がほぼ無い良い天気でございます。


 ……まぁこれからすることを考えると天気なんてどうでも良くなってしまいますが……。


 チェリーさんのところからも新人二名とお目付け役一名も到着しております。



「皆さん、おはようございます。本日から、魔王様メイド部隊から二名新人さんが参加されます。それとお目付け役の方が一名。一週間一緒に働いていただきますのでよろしくお願いします」



 ……やはり新人二名は舐め切ったツラしてんなぁ。


 ……そのツラ即刻ぶち壊してやっからなぁ?


 ……あぁ、お目付け役さん、そんな恐縮されなくても大丈夫ですよ、割とよくあることですので。



「皆、作業内容に変更ありません。予定通りお願いします。新人さんたちはまず、旦那様達の寝室対応からとなりますので一緒についてらっしゃい。装備はA-2になります」



 通達してさっさと旦那様達の寝室前に移動します。


 なお、A-2とは対毒用ガスマスク装備のランクでございます。


 Aは最高レベルの防毒性能を持つもの、後ろの2は毒物を吸収できるランクとなります。大体中間レベルの吸収量ですね。


 

 なぜガスマスクなんてつけるかといいますと、お二人はその……夜に頑張りすぎてしまうもので、周囲の魔力を変質させ『淫気』と呼ばれる性的興奮をもたらす空気ができてしまうのです。


 

 ちなみに、これを吸ってしまうと……サカった猿人族のようになります。


 体から水分が無くなっても色々アレな行動が止まりません。


 

 なお、魔王様&オフィーリア様も『淫気』放出してます。


 ていうか、この二組だけです。


 他の魔王国民は建国以来こんなもの出したことございません。


 

 なお、サキュバス族やインキュバス族ではこの『淫気』を『ちょっとエッチな雰囲気になる』なんて勘違いが多く見受けられます。


 そんな甘っちょろいものではないのですが、いくら訂正しても理解しない方はどの種族にでもいるようで、定期的にチャレンジされる方が湧いて来られます。


 まぁリトライするような猛者はいないんですけどね。

 

 

 関係者全員揃ったところで、予想通りではありますが新人さんたちは装備を用意してませんでした。

 

 ……やっぱりですか。


 一応尋ねたところ――

 

「だ~いじょうぶですって、私たちサキュバス族ですからちょっとやそっとのエロいニオイ程度問題ないっすよ」


「そうそう、私たちも慣れてますしね。たかがエルフの淫気程度、ちょっと香ばしい匂いがする程度ってなもんです」


 ――なぞと自信満々にほざきますが、古代エルフ語で言う所の『旗』ってやつなんでしょう。


 まぁ、すぐに回収されますが。


 

「ふむ、ではお二人は装備なしで作業していただきます。装備必要な面々、装備、着装!」



 皆、すぐに装備を付け始めます。


 新人さんたちに哀れみの視線を送っていた者たちも一部おりましたが、着装指示を聞いた途端急ぎ作業を開始しました。

 

 他者を哀れんでいる暇があったら自分の身を守ることに注力しなければならないことを思い出したのでしょう。

 

「「「「着装よし!」」」」



 寝室の入口周辺に結界を張ることで被害の拡散を防ぎます。

 

 これが無いと屋敷に淫気がばらまかれて阿鼻叫喚の地獄絵図になってしまいます。

 

 料理を作っている最中に『淫気』を吸い込んで絶頂後気絶なんてされても困ります。

 

 特に火を扱っているときにそんなことになったら火事になってしまいますからね。

 


「結界発動!」



「632146A」


「イゾラメント デラリトーシ(結界)」


 

 結界担当者が空気遮断を完了しました。


 これで被害は抑えられるでしょう。

 

 

「結界発動よし!」


「さて、お二人さん、扉を開けていただけますか?」


 新人二人に地獄の扉を開いていただきましょう。

 

 あぁ、周りの面々、哀れまないように。

 

 自分たちで選んだ道なのですから、見届けてあげましょう。

 

 ……それが自滅の道であっても。


「「は~い。せ~のっ!」」



 バタン!


 バタン!


 チョロロ……。



 一つ目は扉を乱暴に開けた音。


 メイドなんですから、もっと静かに開けなさい。



 二つ目は新人二名が気絶し倒れた音。


 だからA-2装備つけろと言ったでしょうに。



 三つ目は新人二名が粗相した音。


 やっぱりこうなったか……。



「お目付け役さん、新人二名の介抱をお願いします。他の者は予定通りに」


 指示出してすぐ寝室のカーテンを開け、窓を全開にします。


 その後結界担当者の邪魔にならぬようすぐに退き、作業のための空間を用意します。


 なお、お目付け役の方は申し訳なさそうに引きずって行かれました。

 


 結界担当者は『淫気』を寝室のニオイと共に窓から庭へ捨て去ります。


 その結果、目の前の庭で植物や虫や鳥が狂ったようにサカり始めます。


 植物たちはそこかしこに花粉をまき散らし、虫たちはメスをみつけられたものは命を縮めつつ子種をまき散らしパタパタと死んでいくのでしょう。

 

 メスを見つけられなかったものは……分からないとしておきましょうか。

 

 ちなみに、生命の危険に晒された際に生物は全力で子孫を残そうとするそうです……相手を問わず。

 

 まぁ、これ以上は皆様の好みの問題もありますでしょうからこのあたりで推測を止めておきます。



 花粉をまき散らすということは、周辺の樹木や花卉にじゅせ……改め受粉する可能性があります。

 

 特に虫たちもそこかしこでサカっているはずなので、身体中に付けた花粉をそこらの植物になすりつけてくれるでしょう。


 これらの『淫気』の影響……被害? のおかげでこの庭では果実がたっぷり出来上がります。



 果実が豊富にできるのは喜ばしいことです。


 ……実際、原因に目を向けなければかなりおいしい果実です。


 納得はいきませんが、味が全てなので。


 

 さて、危険物は除去致しましたので、奥様をお起こししましょうか。



「奥様、奥様、起きてください」



 軽く肩をゆすると快楽の拷問から脱出できたかのように慌てて起き上がられました。

 

 身体中キスマークつけまくってますが、そんなこと気にせず自身が生きていること、物事を考えられるかをすぐに確認を始められました。

 

 うつろな目をしながらブツブツと記憶のチェックをされるのが正直見てて怖くもあるのですが、まぁ、毎度のことなのであまり気にしても仕方が無いと割り切っております。



「大丈夫ですか?」


「ええ、普段より激しかったけど、何とか壊れてはいないようよ」


「それはなにより。ちなみに、狙った通りに行きましたか?」



 この質問をしたところで奥様は挙動不審な行動をとられました。


 ……なぜでしょう。


 この質問はそこまで危険な質問ではないはずなのですが、奥様が震えておられます。


 恐怖にしては表情が蕩けているのが少々気になりますが……。

 


「……イキ過ぎたかも……♡」


「え゛」


 な、何言ってるんです?


「なんというか……入れちゃいけないスイッチを入れちゃった感じ?」


「……ちょっと奥様、落ち着いてからで結構ですので詳細な説明を求めます。オフィーリア様と作戦会議をしなければ……とりあえず、今は旦那様をお願いします」



 本気?


 うちの旦那様は本当にエルフなんでしょうか?


 

 インキュバスとのハーフとか言わないですよね。


 いや、インキュバスでもここまではできないと聞いてますし……。


 生命の神秘?


 

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