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Two nights tonight……

◆◇◇◇


 村の後始末を任せ、王宮に戻ると夕方になっていた。


 ……昼飯食い損ねたじゃねえか。


 スターフィード殿をねぎらい、魔王様と共にケインのいる執務室へ向かう。



「ケイン殿、ただいま戻りました」


「おお、皆ご苦労様だす。問題はねがったがな?」


 王宮待機だったケインもホッとした様子でなにより。


「少し気になることはありましたが、瘴気の方は問題なしですね。なので、魔王様はお休みいただいてよろしいかと」


「ふむ。では魔王様、お疲れさまだす。オフィーリア、魔王様どご頼む」


「かしこまりましたぁ♡。さぁ、ぼくちゃん。夕ご飯食べに行きましょうねぇ♡」


 ケインから退出許可を得た魔王様とオフィーリア。


 魔王様が夕飯を楽しみにしてウキウキしているのに対し、オフィーリアは……。


 あぁもう、夕食後ナニするのか分かっているけど、今ここで舌なめずりするのは止めなさい!



 二人が部屋を出たところで、真面目な顔になったケインから――


「さで、『少し気になるごど』とは何だね?」


 ――問われるがままに現場の村で猿人族の兵士長がやらかしたことについて報告する。


 まぁ、隠しても仕方ないしね。

 


「はぁ、そえだば配置転換必要だな」


「えぇ、正直まだこんな行動をする奴がいると思わなかったもんで、こちらも注意はしておきましたが……何となくですが問題がどこにあるのか理解してなさそうです」


 ケインと一緒にため息をつく。



「過去さ幼児化しだ魔王様さ自部族さ都合のえおねだりして王宮混乱さ陥れだ輩がいだごども忘れでらのがもしれねな」


「たかだが三百五十年程度の話なのですがねぇ」


 本当に、忘れるのが早すぎますよ。

 

 若年性の健忘症ですかね?

 

 

 そんなことを二人で話していると、


「あ、あの……お二人とも?」


 サリアが何か言いたそうだが、なんだろう?



「大半の部族は百年どころか五十年程度のことも忘れる可能性がありますわ。王宮を含めた長寿種族の常識は短命種族の非常識。注意しなくてはなりませんわよ」



「あ……」


「……またやってしまったみだいだな」



 長寿命種族の思い上がりと他種族から言われても仕方がないレベルでまずいな……。


 いかんいかん、これは反省しなくては。

 

 

「とりあえず、配置変換ど兵だぢへの再周知徹底させる。その際さ原因どなった話もう一度説明する流れでえべがな?」


「「問題ないかと」」


 反省しつつもケインと再周知、再教育について整理する。



「さで、お二人も疲れだべ、こぢらで後は処理しておぐがらゆっくり休んでおげ。いづも通り『二泊三日』でえべがな?」


 ケインの言葉に少々照れながらうなずく。


 サリアも顔真っ赤だ。



 ケインと別れ、自分たちの区画に移動する途中で、王宮の連絡口でスゾッキィー隊長とアッカーメ隊員に会う。


 隊長には軽くあいさつしただけで済んだが、初めて呪いを解いた姿を見たアッカーメ隊員は愕然としていた。


 普通のエルフの姿だぞ?


 そこまで驚くか?


 朝より驚いてないか?

 


「「おかえりなさいませ」」


 ラルフとミアが出迎えてくれた。


「ただいま。いつも通り瘴気対処後の休みを貰って来たよ。『二泊三日』だ」


「かしこまりました。全員周知してありますので、普段通りにどうぞ」



 こちらでラルフと話していると、サリアがミアと話していた。


 内容はわからないが、妙に二人とも顔が赤い。


 なんだ?


 今度は何を企んでいる?



 食堂に向かい、二人でイチャイチャしながら食事をとる。

 

 本日の料理はローストビーフとかぼちゃを丸ごと使ったグラタン。


 酒は……『ブラが好き』にした。


 すっきりしてクセのない味に淡麗でキリっとした飲みやすさがたまらない。


 サリアの首筋に少し赤身が出ているが、酔ってしまったかな?



 デザートにマジパンで動物を形作ったお菓子。

 

 それと、茶菓子に『マゼルナ焼』をチョイス。

 

 クルミ入り白あんを生地で包んだものだが、なぜか飽きがこず繰り返し食べたくなる一品だ。


 サリア、ハムハム食べてると、つい頭を撫ぜたくなるんだが……わたしを悶絶させるつもりかい?

 

 

 食後、紅茶を楽しみまったりとしたところで、わたしはサリアに声を掛ける。


「サリア、一緒に部屋に戻ろうか?」


「あ、あの、ごめんなさい」



 …… 世界が崩壊する音が聞こえた ……



 ラルフに後で聞いたところ、『ケイン様より死体らしい』ように見えたとか。


 いや、ケインはまごうことなき死体だからな?

 

「その、ちょっと着替えてから部屋に行くので、先に部屋で待っててね(チュッ♡)」



 …… 世界に祝福の歌が響いた ……


 

 ミアに後で聞いたところ、『呪い解けているはずなのに気持ち悪い顔で笑ってた』とのこと。


 サリアにキスされて喜ばないわたしがいるだろうか、いや、ない。



 サリアの言葉に従ってウキウキと寝室に向かい、ワクワクしつつサリアが入ってくるのを待つ。



 ……十分経過。


 ……二十分経過。


 ……三十分経過。



 遅い、遅すぎる!


 なぜサリアは来ない!


 まさか、ミアがサリアを寝取った?


 サリアを貴様になんぞわたさ(コンコン)……「はい」


 

 ……ノック後、サリアがモジモジしながら寝室に入ってきた。


 なぜかシーツで頭も体も隠している。


 サリアよ、かなり怪しいぞ?


 まさか、裸族化?


 それなら一向に構わん!



「あ、あなた。あのね、その……オフィーリアとミアに相談して、色々準備したの。たっぷり愛してもらいたくて……あ、いつもが手抜きしてるとかじゃないの。その……」



 サリアよ、既にめちゃめちゃ愛したくて仕方がないのに、これ以上何を求める?


 鼻血での水芸か?


 今ならできる気がするぞ。



「オフィーリアから、あなたにたっぷり興奮してもらって、シてもらったら子を宿せないかって提案されて……それで、こんな格好したら、興奮してくれるよって……ミアと二人で全力で作ってくれたの……」



 そう言いながら、サリアはシーツを取って全身を見せてくれた。



 

 メ イ ド 服



 

 シンプルな紺のロングドレスにフリル付きのエプロンドレス。


 合わせてフリル付きの白のカチューシャ。


 華美さを排し機能性を追求した王宮で仕事をしているメイドたちの共通の制服。



 確かに素晴らしい。


 サリアが着ているので五倍増し(五割増しにあらず)に素晴らしい。

 

 

 ただし、こうも思ってしまうのだ。



 こ ん な も の な の か ?



『魔王様のママ』の座をほしいままにし、むしろ『魔王様に性教育以外教えてないのでは?』なんて疑惑を持たれるほどの『性欲魔神』オフィーリア。


 わたしたち夫婦をフォローしつつ、それでいてわたしたちを実験台と位置づけ、その結果を元に子作り情報を共有しようとする『腹黒メイド長』ミア。


 この二人がタッグを組んでこの程度で済むはずがあろうか、いや、ない!


 絶対にわたしを狂化させるネタを仕込んでいるはず!



 じっくりサリアのメイド服姿を見ていると、


「その、ミアがこの服改造してくれたの。ちょっと待ってね」


 といい、数か所いじっていく。



 くるぶしまであったスカートは外れ、ひざ上十センチのミニスカートへ。


 長袖タイプだったのが取り外され、ノースリーブへ。


 ウエスト周辺も取り外され、上半身はビキニタイプに。


 それでもこの場の守りは譲らんとばかりにエプロンとカチューシャは継続して装備。


 

 オフィーリア、そしてミア。


 GJ!


 

 改造後の姿を見せてくれたサリアは最後にわたしを……


「そ、その、私をたべてください、あなた♡。あ、いや……」


 わたしの心を……


「ご・主・人・様♡」


 殺しに来た。



 困ったことに、あの後のことは夢心地と言おうか、現実と夢の境界があいまいとでも言おうか……。


 何となくは覚えているのだが詳細に語るのが難しい。


 まあ、ものすごく幸せな時間だったとだけは言わせてもらおう。


本作をお読みいただきありがとうございます。

本日の連続投稿はこれにて終了です。

また、キーワードに『二泊三日』/『コスチュームプレイ』を追加致しました。

今後も本作をよろしくお願いします。

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