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まさかの近衛騎士団副団長決定


◆◇◇◇


 幽体離脱から時は過ぎ、魔王国代表定例会議開催の時期がやって来た。

 

 といっても、運よく(?)【害悪】案件が無く、喜びたいのだが……。

 

 なに、この【必要】案件の物量の多さは?

 

「ケイン殿、この【必要】案件についてですが突然こんな大量に発生している理由をお教えいただけませんか?」


「すまんが、それについでは答えようがね。おいも昨日の夜に一斉に届いて困惑してらどごろだ」


 ケインと一緒に頭抱えていると、チェリーさんが執務室にやって来た。


「すいません。案件追加の連絡が入りました」


「どれどれ?」


 えーと、どこかで見たような案件に見えるんだが?

 

「どれどれ、これって既に受けて……いや、違うな。別種族が似たような案件を出したのが。あれ、でも他にも見た気が……」


 ケインの呟きにサリアが反応する。

 

「あの、まず類似案件の整理しませんか? かなり類似案件がありそうですし」


 わたしとケインの間で目と目で通じ合うと、案件整理が始まった。



 結果、以下の案件にまとめられた。


 1、王宮側文官のここ最近の過重労働について


 2、各部族と王宮の連絡不行き届き



「えと、こいだげ?」


 ケインが困惑しつつ確認してくる。


「気持ちは分かりますが、各部族や各王宮部署が同時期に一斉に案件出したらこうなったのでしょうね」


 サリアがため息をつきつつコメントする。


「ちなみに、まさかとは思いますが1と2も一つにまとめられるとか……」


「「……」」


 ……ありえそう。


「とりあえず、このまま二つの案件として調査すべ。そして重なる部分がねが確認ということでいががだべ?」


 ケインがまとめ、特に異議もないので調査開始する。

 

 

「失礼する。宰相殿、今よろしいか?」


 ノックされた扉から、タイバーン殿が入って来た。

 

「構わねぁよ。どうなされだがな?」


「近衛に入った新人のお披露目についてなのですが」


「あぁ、あの方だすか。新人と言うすが、どさ属するごどになったがな?」


「属すると言うか、近衛騎士団の副団長になっていただくつもりです」


「……はぁ?」



 ケインは困惑の表情をしている。


 まぁ、わたしもサリアも驚いているのだが。

 

「副団長ですか?」


「ええ、既に実力を確認するために試験しておりまして、近衛の皆納得しております」


 うわぁ……。


 それって納得と言うか、畏怖してるんじゃないのか?

 

「皆が納得しているのであれば問題ないでしょう。では、今回の会議で最初にお披露目しては?」


 わたしから提案するとケインも納得する。


「かしこまりました。では当日参加させますので、よろしくお願いいたします」


 タイバーン殿は入って来た時と同様礼儀正しく退出していった。



 足音が離れていくのを確認した上で、ケイン、サリア、わたしで集まって話し合う。


「……って、副団長って」


「いや、噂に聞く実力なら確がにあり得そうだげども」


「タイバーン殿が近衛騎士の選別に手を抜くはずがないですわ。なら、現隊長殿たちを負かしたのでは? ねぇ、アッカーメ殿?」


「は、はい!」


 そう、本日の執務室守備担当はアッカーメ君だった。


 まぁ、今この場においては生贄でしかないのだが。



「試験って、見学されました?」


「はいっ! すごかったっス! スゾッキィー隊長がサッカーボールのように扱われてて、蹴られ続けてましたっス!」


「「「え゛?」」」


 サッカーボール?



「後、第二部隊のガルム隊長が、速度て引っ掻き回そうとしたみたいっスけど、むしろやり返された挙句、愛玩犬にされてましたっス!」


「「「……」」」


 狼人族の獣人だよな?


 それが、愛玩”犬”?



「そして、第一部隊の「ストップ」……って、いいんっスか?」


「あぁ、十分だ。説明ありがとう」


 こちらが礼を言うと、アッカーメ君は照れつつも会釈した。



 三人とも視線が語っていた。


(((この話題やばすぎる!)))



 仕事終わり、サリアと帰る途中で偶然スゾッキィー隊長に会う。


「おう、仕事終わりか?」


「ああ……大丈夫か?」



 心配すると、引きつった表情を浮かべだす。


「知っちまったか……」


「ああ……」



「まぁ、サッカーボールのように扱われても生きてたならよかったよ」


 できるだけ明るく答えたつもりだったが、わたしは甘かったようだ。



「サッカーボールだけじゃないんだ……」


「え?」


「蹴られた後、今度はバスケットボールのようにドリブルされたんだ……」


「え、えぇ?」


「それも拳で」


「え゛?」


「何度も拳、地面、拳、地面。これを繰り返し受けてたら気絶していた」



 うわぁ。


 いや、それ以上の言葉が出てこない。


 むしろ、それだけボコられてよく生きてたなぁ。

 

 普通死ぬんじゃね?

 

 

「第二部隊のガルムの結果は聞いてるか?」


「……愛玩犬化したとか聞いてるが」


「ああ。素早さに自信があったから引っ掻き回そうとしたんだろう」


 あぁ、ガルム殿の素早さは大半の者は対応できないしなぁ。


「訓練場のそこかしこに全速力で移動し、一旦立ち止まって相手を探そうとするんだ」

 

 ふんふん。


「すると後ろからポンって肩を叩かれる」


 え゛?

 

「後ろを見ると相手がとてもイイ笑顔を向けてくるんだ」


 ひぃ!


「それに驚いてガルムは急いで別の所に移動し、安心できる場所に来て立ち止まると、後ろからポンって……これを繰り返し続けさせられた結果、腹ばいになって撫でてもらいたいと身体全体で表現しだすまで心を折られた」


 あぁ……。

 

 この話を聞いて天を仰ぎ手で目を覆ってしまった。

 

 そりゃ心折られるわ。


「はたから見ている者たちはガルムの動きが見えないのに、やっと見つけたと思ったら後ろに……あんなもん何度も見させられれば普通の隊員たちは誰も戦いを見れなかった……痛ましくて」


 そりゃそうだろうよ。

 

 特に第二部隊の隊員たちは絶望しただろうな。

 

 ガルム殿の実力をよく知るからこそ、その強さを簡単にへし折り隔絶した実力を見せつけられたら……。


「正直、あいつの心の傷が癒えるまでかなり時間かかりそうだ。そして……」


 まだ……ってことは、第一部隊のフリック殿か?


「……どうした?」


「第一部隊隊長フリック、奴は」


「どうした?」


「昇天しかけた」



 うぇ?



 第一部隊隊長フリック殿は不死族。


 ケインが不死化させた人物で、現在デスナイトになっている。それも、デスナイトは大半が大剣使いなのだが、彼は珍しい大鎌使いだったよな?


 って、昇天したら死んじまうだろう?


 いや、既に死んでいるとかは置いておいて、この世に残れないだろう?



「あの攻防について、理解が足りていないのは分かっている」


 いや、お前で理解が足りないって……。


「分かっているのだが、なぜあの人は……人指し指で相手を指したら変な光が出て不死族を昇天させられるんだ?」


 なんだ、そのでたらめな力は!

 

 というか、光がでるってなに?

 

 訳が分からんよ!



「ちょ、ちょっと待て! フリック殿は?」


「大丈夫だ、生存してるよ。流石に昇天完了してたら俺だってこんなに落ち着いて説明できんよ」

 

 そりゃそうだな、でもなぁ……。

 

「ちなみに、どうやって昇天回避したのだ?」


「団長がM・B・Cの歌を歌い始めたらフリックの昇天が止まって、その後昇天しかけたのに気づいた所で怯えつつ全力で逃げ出したよ」


「「ぶふぉっ!」」


 サリアも一緒になって噴いていた。


 なんでもありかよ、M・B・C!


さて、誰が副団長なのでしょう?

まぁ、ここまで読んでいただいた方からすればバレバレなんでしょうけど。

なお、フリックを昇天させた技は『積〇気冥界波』をイメージしてます。

まぁ、技を出した人はのりP語とか使いませんが。

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