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夜の対局の後片付けとイカまみれの海岸

◆◇◇◇


 次の日の朝、少々風が強い曇り空、魔王様とオフィーリアが起きてこない。


 念の為、街長のメイドたちには近づかないように注意しておいたが……。


 たっぷり夜の対局したんじゃねぇのか?


 

 サリアと一緒に様子を見に行くと、予想通り淫気が扉から漏れ始めていた。


 二人でため息つきつつも、風の精霊に頼み淫気の回収を進める。


 ノックし扉を開けるとそこには予想通り夜の対局後の二人が絡み合っていた。


 こちらも淫気の回収を行い、光と闇の精霊に街の人がまだいないのを確認してもらった上で風の精霊に頼んで果樹園一帯に淫気を拡散する。


 ……多分今年は豊作となるだろう。


 

 淫気の拡散放出が終わった頃に魔王様とオフィーリアが目覚めたようだ。


 ちょっと、本気で怒らないとな。


「あー、おはよーっ」


「おはよーっ、じゃねぇよ!」


「「へっ?」」


「そ・こ・に・す・わ・れ! 二人ともだ!」


 魔王様ののんきな朝の挨拶に怒鳴り声で返答する。


 流石にこちらが本気で怒っているのが分かったのか、いそいそと正座する。


 あ、魔王様はオフィーリアの膝の上です。


 

「昨日はたっぷり夜の対局してたんですよね?」


「ええ、いつも通りにたっぷりと♡ 受けも攻めも楽しんでまいりましたわぁ♡」


 サリアの怒り交じりの問いにオフィーリアが煽るように答える。

 

 オフィーリアめ、こっちが我慢してるってのに全力で惚気やがって。

 

 

「で、夜の対局時に淫気が発生するのは認識してますかぁ?」


「「あ……」」


 サリアの追及に魔王様とオフィーリアがまずい状態であることにやっと気づく。

 

 気づくのが遅すぎんよ……。



「部屋から淫気が漏れてましたがぁ?」


「「(ガクガクブルブル)」」


「魔王様、国民の精神が壊れても構わないとぉ?」


「い、いえ、そんなつもりじゃぁ」


「オフィーリア、魔王様が国民の精神を崩壊させるのを助長させるつもりぃ?」


「い、いや、その」


 サリアの三連続追い打ちに魔王様もオフィーリアもタジタジとなっている。

 

 まぁ、これ以上追いつめても時間の無駄だしさっさとカタつけるか。


「久しぶりではありますが……()()()()


「「ヒィッ!!」」


 そこまでビビるか?


「王宮にとっとと帰れとはさすがに移動手段が無いので言わないし言う気もない」


 ほっとした顔の二人だが、それで終わると思うなよ。


「だが、王宮に戻るまで夜の対局禁止!!」


「「かしこまりました!!」」


 敬礼しそうな勢いで返答してくる。


 そうなる前に夜の対局我慢しろよ。



 人命にかかわることだから久しぶりに叱ったが……本当に反省してるのかねぇ。

 


 朝食後、皆で沖合のクラーケンが戦闘している辺りまで飛んでいくと、罵声が聞こえてくる。


「邪魔だ!」


「ざけんな! スーリーさんに手を出そうとすんじゃねぇよ!」


「アキテウシス姐さんに抱きしめられるのは俺だ!」


「ばかやろう、イディオちゃんのロリィな可愛さを理解できない奴は引っ込んでろ!」



 ……何これ?


 魔王様やサリアたちを見てみると、皆無表情になっている。



「話を聞いてる限りぃ、女性の取り合いなんでしょうかぁ?」


 オフィーリアが馬鹿な男どもをあざ笑うかのような口調で問う。


「そんな感じがするわね。下らないわぁ」


 サリアが氷点下の視線で睨みつつ、汚らわしい存在に関わりたくないと言うような口調で返答する。


 

 え、これって、落ち着かせるのに誰も手伝ってくれないパターン?


 魔王様は、ってオフィーリアの胸元に潜り込みやがった!


 

 皆にそっぽ向かれて心で泣きつつわたしはクラーケンたちに声をかけてみる。


「あー、こらこら、君たち。ここで暴れるのはよしなさい」


「うっせえ! 引っ込んでろ!」


「いやいや、そんな簡単に引っ込むわけにはいかないんですよ。おとなしくできませんかねぇ?」


「うっせえなぁ、邪魔してんじゃねぇよ! お前から先にひねり潰すぞ!」


 ほぅ?

 

 やれるというのかな?



「ははっ。君たちにそんなことできる力があるわけないじゃないですか。最終通告です。暴れるのをやめなさい」


「馬鹿かお前? やめなさいと言われて止めるバカがどこにいるんだ! 殺さないでおいてやるからさっさと消えろ!」


 全く、おとなしく言うこと聞いてくれれば面倒臭くなかったんですけどねぇ。



「664MKMP623KK」

 

「ヴィアジャセンブレ(氷結)!」

 

 

 見える範囲まとめて白い氷原にしてみましたがいかがでしょう?


 あ、涙流そうとして凍り付いてやがる。


 ざっと見た感じ全員氷漬けにしましたが、まだ生きてますかねえ?


 

 ん~ちょっと見ると氷漬けの中で動こうともがいているようなので、少し熱で溶かしてみましょうか。


 

「2SK2SK6MP6LP2LK8KK」

「ソレセルヴァッジョ(灼熱)!」

 


 氷漬けにした状態で燃え盛る炎に包まれ、十本の足で暴れ始めてますねぇ。


 確か、人間の国々のルンパリ国辺りでこいつらの小さいやつ――確かイカというんじゃなかったかな――が炙るとうまいと聞いたんだが、こいつらもうまいのだろうか?


 

「「「うぁあ~ちっち~!!!」」」


「「あ~っちぃ~!!」」


 そりゃあ、熱いだろうねぇ。


 まぁ、あきらめろ。

 

 夏の太陽がさせたことだから。


「ちょ、ちょっと、止めてくれ! 死んじまうじゃねぇか!」


 たっぷり焼け死んでくれ。

 

 遠慮するな。



「な、何なんだよお前らは!」


「魔王様ご一行ですが、何か?」


「「「え゛?」」」


 クラーケン共の時が止まった。

 

 イカの焼いた臭いがこのあたりに充満しているが……継続して焼かれて大丈夫か?

 

 返答無いと焼き続けるよ?

 

 

 ……

 


 こちらに魔王様がおられることを伝えると、クラーケンたちも現実を理解し始めたようだ。

 

「「「す、すいませんでした~!!!」」」

 

 いや、もっと早くおとなしくなってほしかったんですけどね。

 

「あなた方の中で代表は誰ですか?」


「一応、俺っすかね。発起人のような立場ですんで。ヤリ―って言いま~す」


 一匹(?)が説明し始めたが、発起人?


 なんじゃそりゃ?


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