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NTRな人たち参戦

◆◇◇◇


「人間の国々の使者としで来られだスヴェン・フォレスター殿と教会の使者としで来られだアイゼン・イスターク殿だ」


「「え゛?」」


 ん?


 勇者側の女性陣だけが変な反応したぞ?


 なんでだ?


 勇者と同じで分からないと思ってたのだが……。

 


「ご紹介にあずかりました『人間国家群対魔王国合同外交連盟』交渉部門担当のスヴェンと申します」


 こう言っちゃなんだが、蛇人族の血でも入っているのか、ねちっこそうな雰囲気が……。



「さて、どこの国からも勇者認定されてないあなたたちが、なぜ勇者のふりをして魔王国に潜入したのかご説明いただけませんかねぇ?」


 うわぁ……舌なめずりしながらいうところが、今のわたしたちより魔王っぽい……とか思っていると、もう一人の方も挨拶し始めた。


 

「わたくしもご挨拶を。『人間国家群対魔王国合同外交連盟』宗教部門担当のアイゼンと申す」


 こちらは、なんというか、固そうな……ゴーレム系?

 

 というか、二人とも通称である『NTR』を使わないんだなぁ。


 人によっては大喜びで通称を使うんだがなぁ。


 人間って面倒だ。

 


「魔王国との宗教的なやり取りは全てわたしたちの部門を通してのやり取りを行うよう通達を行っておりますが、ヨタバール教はわたくしたちを無視し、あまつさえ魔王殿を弑しようとした」


「そんなの知るかよ。最高司祭様の命はお前たちの戯言より重要なんだよ!」


「当然だな。貴様らの発言何ぞ知ったことか」


 自称勇者――トトだったか?――と戦士は文句言っているが、いつまでその状態でいられるかな。


 それと戦士、足プルプル震えているぞ。


 

「これは、人間国家群と魔王国の間で取り決められた条約から逸脱しており、その罪は重い」


「お、重いってなによ」


「う、嘘よ、そんな大したことないじゃない」


 僧侶と魔術士が怯えつつ騒ぐが、どうも目が泳いでいるなぁ。


 お前ら、やっぱり何か知ってるんじゃねぇの?

 

 

「そなたたちはこれ以降人間として扱われない。ヨタバール教も同じだ」


「「ひぃっ!」」


「お、おいお前ら、なにびびってんだ?」


「そそそ、そうだぞっ。あいつらの戯言に付き合う必要はないっ!」


 女性陣がビビッて、男性陣が安心させようとするが……どう見ても何か知っている女性陣と何も知らない男性陣に見えるんだよなぁ。


 それとも女性陣もわかってはいないけどなんとなく感づいているってやつか?


 それと戦士、どう聞いても怯えからくるヒステリックな声になっているの気づいてる?


 勇者トトだけだな、怯えてないの。

 

 理解していないのが正しいのかもしれないが。



「そして、ヨタバール教に関わるもの皆、この世から消し去る。当然お前たちもだ」


「ふん、そんなたわご……おい、お前らどうした?」


 自称勇者は強気だが、女性陣は気絶してしまったようだ。


 やっぱり、これからどうなるのか把握してんじゃね?



「さて、魔王国の皆様と人間国側の許可を得ずに魔王国内への侵入、魔王様への襲撃、これらは人間側国家の威信をかけ厳正に処罰いたします」


 スヴェン殿、ちょっと落ち着いて。

 

 蛇人族どころか、うちの魔王様より怖いから。


「また、この者たちの背後にいるヨタバール教については早急にアジトを確認し関係者全員殺処分といたします」


 スヴェン殿は疲れた表情をしつつも今後の対処について滔々と説明し、私たちの方を向き謝罪してくる。


「ご迷惑かけて誠に申し訳ありません。この事態の関係者を洗い出し厳正に処分いたします」


「なんも、今後も互いに協力し合ってこれらの犯罪撲滅さ協力でぎればで思うす」


「ありがとうございます」


 スヴェン殿とケインが水飲み鳥の如くペコペコ頭を下げ合っている。

 

 キツいっすよね、中間管理職って。


 アイゼン殿はうちの近衛騎士たちと自称勇者たちを運んでいる……って、アイゼン殿結構力強いんですね。


 運んでいる戦士、結構重そうですよ。

 

 

 スヴェン殿がケインとの会話が終わったところで、わたしも少し相談する。

 

「スヴェン殿、取り調べの際に僧侶と魔術師――女性陣ですね――を重点的に取り調べていただきたい」


「ん? 重点的にとはなぜでしょう?」


「謁見の間に入ってから勇者と戦士――男性陣ですね――は、あまり事態を理解できていない発言でした」


 理解する能力がないとも言いますが。


「ですが、女性陣はどうも自分たちの行動が人間国家群の方針に反していると理解したうえで行動していたように見えました」


 そうじゃないと、途中であれほどびくつく理由が説明できない。


「それと、勇者が攻撃を仕掛けた時点ですぐに逃走しようとしていたので、元々勇者と共に戦うつもりはなかったのではないかと……」


 スヴェン殿は顎に手を添え少し考えて、

 

「なるほど、では男性陣は完全にヨタバール教の信者となった者の扱いで取り調べをしましょう。そして女性陣は信者の扱いより詐欺師、反逆者のような扱いの方が口が軽くなるかもしれませんね」

 

 にこやかな(個人の意見です)表情を浮かべて対処を確約してくれた。

 

 ……確かその表情、人間の国で『口の端を吊り上げる』と言ってた記憶が……。

 

 ……やっぱり、魔王様より怖いよ?

 

 

 

『NTR』のお二人は自称勇者たちを引きづりつつ、人間の国へ帰って行った。


 タイバーン殿も念の為騎士たちに指示を出しに行っている。


 

 見送りを終え、謁見の間に戻ると魔王様が昼寝から覚めたようだ。


「ん~。おはよ~」


「あらあら、魔王様起きちゃったぁ?」


 オフィーリアが相手しているが……ママモード入ってないか?

 

「あれ~、確か今日勇者が来るんじゃなかったっけ?」


「んだ、来だがさっさど捕まえでお持ち帰りしてもらってら」


 ケインの説明に魔王様は


「あっそ~。なら問題ないね~。ケイン、マルコ、サリア、オフィーリア」


「「「「はい」」」」


「ご苦労様。いつもありがとね」


「「「「はっ」」」」


 わたしたちにお褒めの言葉をかけられた。

 

 ……オフィーリア?


 うれしいのはわかるが、ヨダレ拭け。


 それと寝室に連れ込もうとするな。


 まだヤルような時間じゃない。

 

 

 後日、人間の国々から報告が届いた。


 自称勇者たちは処刑。


 ヨタバール教は可能な限り潰したが、最高司祭やその側近は逃げられた模様。


 継続して調査するとのこと。


 

 な~んとなくだけど、またなんかちょっかい出してきそうなんだよなぁ……。


 これが『旗』って奴か。


 古代のエルフはよくこんなこと気づいたな。


 

 何万年も前に生きたご先祖の知恵に驚きを隠せないまるこ(誤字に非ず)であった。

 

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