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縄とセクハラと偽乳

◆◇◇◇


「ブレイク・ザ・……」


 勇者はわたしに向かって駆け出し、槍を突き出す!


「ヒ――」



 バキッ!


 くぱぁ!


 

 タイバーン団長が横から割り込み、何か技名を叫ぼうとした勇者トトを剣の一振りで叩き斬る!


 手加減したのかトトの槍を切り落とすだけで済ませている。


 ……本気ならトトの腕ごとぶった切っていただろう。


 

 なお、『バキッ!』の後の『くぱぁ!』はタイバーン団長の持つ<魔剣クパァ>の力によるものだ。


 その能力は……切ったときに『くぱぁ!』という音がするだけ。


 切るときの強さにより音が大きくなったり小さくなったりする。


 

 詳細はここでは省くが……魔王様とオフィーリアの悪乗りが原因とだけ言っておこう。


 賢明な方なら大体想像つくだろうしね。

 


 それと他のメンバーは……戦士っぽい恰好したサイアンはフリック殿の大鎌で殴られている。


 こちらも手加減していたのだろう、刃ではなく近づいて柄で殴っていた。


 

 僧侶と魔術師は……って、あれ?


 なんで固まってんの?



 お前らもヨタバール教の信者なんじゃないの?


 勇者と一緒に戦うのかと思ってたんだが。


 

 僧侶はガルム殿が首元に爪を押し付けられて動きが取れない。 


 魔術師はなにかしようとしてたみたいだが、スゾッキィー隊長とアッカーメ隊員に捕まっている。


 隊長の魔術無効化光線の範囲内では魔術師は役立たずになるからなぁ。


 

「皆様、この者たちはいかがいたしましょうか?」


「後で掃除が面倒なので血を流さぬようにすべ。捕らえでもらえるべがな?」


「かしこまりました」


 ケインの希望に応じタイバーン団長が騎士たちに指示を出し縄をかける。


 

「あの、失礼。ちょっと調査したいのですがよろしいでしょうか?」


 僧侶を取り押さえていたガルム殿が調査の提案をしてきたが……なんの調査だ?

 

「妙な臭いがしたもので……」


 妙な……へんな液体でも持ってきたか?

 

 よくわかったな、さすが狼人族。

 

 ガルム殿に許可を出し調査してもらうと、僧侶と魔術師から複数種の臭いがすると報告があった。

 

 血の臭いとかではなく、小麦っぽい臭いと汚臭……というか腐敗臭に近い臭いが二人の上半身から発しているとのことだが……。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!」


「女性の胸触るつもり! ヘンタイ!」


 僧侶と魔術師が大騒ぎするが、ガルム殿は悠然と「人間のメスなんぞに関心は無い。むしろ勃たん」と言い出した。

 

 いや、気持ちは理解できる。

 

 わたしも同意見だ。

 

 だが、言い回しを考えろ。

 

 その言い方は種族問わず女性陣に嫌われるぞ。

 

 サリアにオフィーリアに……チェリーさんまで睨んでいるがいいのか?

 

 

 ケインやタイバーン殿とアイコンタクトで了解を取り二人の服を脱がすよう指示する。

 

 面倒だからかガルム殿が爪で着ている服を裂こうとしたところで、チェリーさんが「あっ!」と声を上げガルム殿を止めようと手を伸ばす。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!」


 だが、すでに遅く二人の服を縦に裂くと……って、何あれ?

 

 湿気たパン?

 

 微妙に汚れた下着?

 

 なんでそんなものが?

 

 

 男どもが困惑しているとチェリーさんがちょっと呆れつつも説明してくれる。

 

「多分ですけど、そこのお二人は胸にコンプレックスでもあったのではないでしょうか? で、誤魔化すために詰め物としてパンや下着を使ったのではないかと……」


 皆(勇者側も含めて)誰も二人に視線を合わせようとしない。

 

 当人たちは天を仰ぎ血の涙を流す。

 

 衣服を破ったガルム殿は滅茶苦茶居場所がなくなって小さくなっている。

 

「あ~インミラー嬢、アッカーメ殿、ガルム殿と代わってその二人の取り押さえを頼む。ガルム殿はこちらに来てくれ」


 流石に空気が気まずすぎるのでメンバー変更を指示する。

 

 各員ほっとした表情を浮かべさっさと仕事に取り掛かる。

 

 インミラー嬢もアッカーメ殿も手際よく僧侶と魔術師の胸を隠すため適当な布の服を用意してくれた。

 

 そのままにしておいて『魔王国は女性を脱がして放置するような輩が王宮にいる』なんて噂が広まってしまうのは避けたいからな。


 

 ……あれ? 

 

 スゾッキィー隊長、本読みながら縛るって何やってんの?


 ん? チェリーさんに借りた本?


『初めてでもカンタン! 芸術的縛りの基礎知識 第一巻』?


 確かサリアも借りてたし、少し見させてもらったな。


 それは背面合掌縛りって奴だろ?


 お前の性癖がバレるぞ。


 オフィーリア、魔王様ともっと特殊なプレイしている癖にうらやましそうにするな。



 ちなみにその本を借りて読んでいたサリアに――


「そこにある縛りをした場合、わたしの『二泊三日』を受け流せる、もしくは受けきれるようになるのか?」


 ――と聞いたら読むのを辞めてたな。

 

 可哀そうだが子を成すための優先順位を考えたらこう指摘するしかないんだよなぁ。


 いや、子を産む確率が上がるのならいくらでも縛ってくれて構わないのだが。



 数分ほどで全員捕縛されたところで、ケインが宣言する。


「さで、自称勇者殿だぢはこれがら法により罰せられるす」


「ざけんな! 魔王国の奴らが人間側のやり方に口を挟むな!」


「ええ、だすから人間の国側の法なら問題ねぁな?」


「はぁ?」


 ケインはお客様を連れてくるように指示を出す。


 少し経って来られたのは……。


 

「なぁ、だれこのおっさんたち」


 勇者トトは想像通り、分からなかったか。

 

 戦士も分かっていないようだ。


「人間の国々の使者としで来られだスヴェン・フォレスター殿と教会の使者としで来られだアイゼン・イスターク殿だ」


【ブレイク・ザ・ヒーメン】


勇者トトが繰り出そうとした技。

最後まで言おうとしたが、タイバーンに割り込また結果、何をしようとしたのか魔王国側では分からないままとなった。

元ネタは「処女膜破り」を英語っぽく直した「ブレイク・ザ・ハイメン」。

やってることはただのダッシュ突き。

勝手に名前を付けて悦に入っているだけ。


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