女の一生
伯爵家に生まれたナミビアという女の子でした。この子は望まれた子ではありませんでした。
しかし、万が一にも何処から“子供を冷遇している”という噂が流れたら大変です。その為、伯爵達は表面上は愛している娘として扱いました。
しかし、ナミビアも薄々感ずいていました。けれど、見て見ぬふりをした。傷つきたくなかったからです。
そして、ナミビアに転機が訪れます。
第一王子と婚約することになったのです。
第一王子がナミビアに笑顔を見せてくれた時にナミビアに春が訪れました。
王子に恋したのです。
恋した理由はいたって簡単。王子だけが違和感のない笑顔を向けてくれたからです。
それをナミビアは本当の笑顔と認識したのです。
しかし、それは誤解で王子の隠し方が上手いだけだったのです。
けれど、そんな事はナミビアには分からず、恋した人に尽くそうと勉強やら何から何まで一心不乱に努力しました。
勉強する必要がなくなった程に賢くなったナミビアに王子が頼んだのは、“ナミビアが悪役を演じて王子に批判が向かないようにしてほしい”というものでした。
ナミビアは“王子の頼みならば”と快く了承しました。
そうして、悪役を演じているうちにナミビアには悪い評判が、王子には良い評判がつきました。
これに対して王子は大満足。ナミビアは王子が大満足でうれしくなりました。
次に王子が頼んだのは“ナミビアの手柄を王子に渡す”というものでした。
これもナミビアは了承し、王子の評判はますます良い物になりました。
最後に王子が頼んだのは“好きな人が出来たが平民なのでナミビアが虐めてそれに耐えながら王子を愛を育んだ美談にしたら貴族達も渋々認めるだろうからその人を虐めている演技をしてほしい”というものでした。
これもまたナミビアは了承。王子の言われた通りに虐めた振りをしました。
そして、
「ナミビア!お前の行動はもはや看過できない!よってお前を打ち首にする!」
「ウマイヤ様、ナミビア様が私を睨んでくるわ。怖いわ。」
「あんな奴に様なんてつけなくてもいいんだ。」
「でも、様を付けないと暴力をふるってくるんだもの。」
「大丈夫だ。ナミビアはもうすぐいなくなるからな。
おい!コイツを処刑台に連れて行け!」
「「っは!」」
処刑台に行く、ナミビアに投げられる言葉は恨みの塊でした。
けれど、ナミビアは進みます。王子に悪意が向かないように
石を投げられてもナミビアは進みます。愛する人の願いを叶える為。
死に際にナミビアが思った事はただ一つ
(王子、名を呼ぶ事さえ許されなかった私は、王子の、愛する人のお役に立てたでしょうか?)
ザシュッ
ナミビアの首はとうとう落ちてしまいました。
ナミビアの守りが無くなった王子がどう生きていくのかは神のみぞ知ることです。
これは一人の男に尽くした女の物語