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under 500 Ⅱ

泡立て器

「ケーキ作ってよ」


棒つきあめ玉を、しゃぶり尽くしている娘。


そんな娘に、斜めうしろの背中を向けられながら、言われた。


最近、笑いかけてくれなくなった。


今日はママが、地方で羽を伸ばすというか、羽を取り外している日だ。



僕は、ボウルと泡立て器と、小麦粉を探した。


レシピはもう、適当だ。


なんとかなる、なんとかなるさ。


見つかったボウルに、たまごを入れて、とりあえず泡立てた。


小麦粉は開けっぱで、傍らに置いておいた。



その時、後ろで僕を呼ぶ大声がした。


集中していたせいだろう。


娘がいたのが、まったく分からなかった。



僕はこけて、ボウルのたまごを被った。


そこに、小麦粉が降ってきた。


真っ白になった。


その後、ついつい職業の癖で、泡立て器を、マイクのようにしてしまっていた。


「売れないビジュアル系バンドのボーカルかよ」


娘が、微笑みながら言ってきた。


久々に、笑ってくれた気がする。

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