1,午後のティータイム
こんにちは、えだまめです!!ようやく出せました、春の推理!大変だった・・・
お楽しみいただけたら幸いです。
私の家の庭には桜の木がある。
大きくて、立派な木だ。毎年春になると、綺麗な桜の花を咲かせる。それはもう綺麗でうっとりしてしまう。鮮やかなピンク色で香りもとてもいい。私は毎年乳母が桜餅を作ってくれるのを楽しみにしている。
我が家について説明しよう。
私の家は代々伝わる名家で、ドがつく田舎にある大きすぎる家にすんでいる。家族3人と召し使い10人が住むには広すぎる家だ。時々、なんだかこの世には私しかいないように感じてしまうときがある。ここら辺一帯の山は全て我が家の山だ。どこまでも続いていそうな家の塀は村の人々から「沈丁花の塀」と呼ばれている。理由は恐らく、塀の外側に沈丁花が植えられているからだろう。昔から習い事に忙しかった。茶道に琴、生け花等、書き方・・・。全ては嫁いでくる男性に恥ずかしくないようにするため、と言われているがやりたくなくなった事も数えきれないほどあった。もちろん、端から辞めることなど許されてはいないが。小一の時は友人と放課後遊ぶことは愚か、友人も選ばれ、制限されていたほどだ。正直ものすごーくうんざりしていたが、それが愛情ではない、と理解できないほど私はお子ちゃまではないという事だ。
まあ、こーんなハイスペックな環境においてくれたことで、私はそれなりに頭はよくなっていた。(これだけの環境で馬鹿だったら終わっているが)
「お嬢様、何かお考えですか」
「いえ、紅葉。桜が綺麗だな、と思っていた所よ」
「そうですね。今年も綺麗に咲いたと奥様も喜んでおりました」
紅葉は私が小さい頃からの乳母だ。
次の日__________
「お嬢様、桜餅お作りしました」
「ありがとう、紅葉」
「ささ、早速縁側でお召し上がりください」
綺麗なピンク色の生地に、鮮やかなくすんだ緑の葉っぱで巻いてある。
「誰が作ったの?」
「阿善様と作りました」
阿善とは家のコックだ。
料理の腕は日本一と言われるほどの料理上手だ。
「そう」
「一応、味見はしましたが問題は無さそうです!」
そう言って、にっこりと笑う紅葉を眩しげに見る。
普通の家庭っていいよね。別々に妬ましい訳じゃないけど、うらやましい。私も外で怪我も気にしないで、服が汚れるのも気にしないで、浴衣なんか脱いじゃって、下駄も脱いで裸足で、Tシャツ短パンで、駆け回りたい_______いや、駆け回りたかった。もう小6年だ。いくら何でもこの年で駆け回るのは無理だ。
そんな、どうしようもないことを考えていると縁側についてしまっていた。
縁側に腰掛け、桜を見る。
さっきまで暗い気持ちだったのに、その気持ちが綺麗な桜で洗われるような気がする。
少し桜に見入ってから、いれたてのほうじ茶を一口口に含む。
それから桜餅を食べた。桜の良い香りが鼻をくすぐる。こってりとした甘さの桜餅にさっぱりとしたほうじ茶が素敵なハーモニーを口のなかで奏でる。
しばらく絶品桜餅に舌鼓を打ち、桜を楽しむ。
こうして午後の幸せなティータイムは終わった。
次の日の事だった。
事件が起きたのは__________
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