袋男の噂
「次の袋男は貴方だ。」占い師の言葉。この街にはある噂が広まっている。それは袋男の噂。12月のある夜。深夜になると煙突から男が侵入してくる。そして子供を袋に詰め込み、拐ってゆくという。そのため、この街には少し奇妙な習慣がある。それは鍵付きの暖炉。寝る時は必ず暖炉に蓋をして鍵をかける。一説には残り火が家に飛び込まないようにという話もあるが鍵は不要だろう。しかしある日、僕は体験してしまった。北風の吹き荒れる眠れない夜。それはやって来た。ガリガリガガリ。ザッザッ。何かが煙突から入って来た音。明らかに鳥やネズミではない。ドンッ。それは蓋を叩く。ドンッドンッドドンッ。南京錠は悲鳴をあげる。怖くて目を強く瞑る。するとまた占い師の言葉が頭の中に響く。「次の袋男は貴方だ。」そして僕はゆっくり目を開ける。するとそこは。チュピチュピチュチュピ。鳥の静かな歌声が鳴り響く朝だった。僕は暖炉の鍵を開ける。そしてソッと蓋を持ち上げた。するとそこには。袋に入った人形が置いてある。僕の背筋は凍りつく。実際に袋男は存在していた。もし鍵を閉め忘れていたらゾッとする。僕は恐る恐る煙突の上方を除く。ガリガリガガリ。そこには…