双子の兄弟
ある街外れに貧乏だけど優しい双子の兄弟がいました。その兄弟の性格は対象的。頭が柔らかく賢い兄。頭が固く単純な弟。二人はとても仲良し。ある日、二人の元に一人の男がやって来ました。コンコン。兄はドアノブを回す。髭を生やした男はこう言います。「お前ら二人に金貨をやる。その金貨を優しい知人の家の煙突に投げ込め。入れることができたら最高の幸福をやろう。」そしてその男はフッと消え去ります。頭を傾げる兄弟。ゆっくりと顔を見合わせる。弟はドアを閉める。すると手の中に違和感。恐る恐る兄弟は同時に手の平を開く。そこには金貨が1枚。輝くそれは二人を魅了しました。兄は言います。「この金貨を売れば裕福になれる。」弟は言います。「煙突に投げ込んで最高の幸福を得よう。」弟はその金貨を知人の煙突に投げ込みます。そして見事に煙突の中にチャリン。すると、さっきの男は現れます。「見事だ。暖炉の中を覗きなさい。」そこには干してあった靴下に金貨が山のように入っていました。兄は喜ぶ弟を尻目に笑みを溢しながら静かに外に出ました。そして曇った姿鏡とコインの溝を掘ったドアノブを回収しました。この街にはそんな暖かい噂話が広まるのでした。