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現代もの・短編

スカーレット姫とその同居人

作者: 篁頼征
掲載日:2019/05/03

 空色のカーテンを開けると、目に飛び込んできた光が網膜を焼き尽くす。季節はもう夏に入っていて、何もしなくても早起き出来るのはありがたいのか、残念なのか。お気に入りの赤色のボトムスを履いて、Tシャツを被る。折角の休みの日だ。窓からは地下鉄のレールが見える。本当はゆっくり朝寝していたいけれど、相棒のスカーレットがそれを許してはくれない。

「朝餉を持て」

 舌足らずで高らかな声に、思わず頬が緩む。

「いつものでよろしゅうございますか、スカーレット姫」

「うむ」

 重々しく肯いて見せるのは、最近彼女が気に入っている時代劇の真似だ。鳥籠の餌箱に用意しておいたスカーレットの食事を入れる。それから玄米ご飯に納豆と味噌汁だけの簡素な朝食。

「美味であった」

 そんなところまで真似なくてもと思うのだが、心持ち胸を張ってふんぞり返った様子は如何にも時代劇の殿様のようだが、やっているのがヨウムとくれば愛らしい以外のなにものでもない。

「スカーレット姫、本日は何をなさいますか?」

「うむ。今日は朝寝をするぞ」

 どうも少し寝不足なところを勘付かれていたらしい。彼女の優しさは独特のものだけれど、相手のことを思いやる気持ちは、本当にすごいといつも思う。

「はは。かしこまりました。それでは朝寝をいたしましょうぞ」

 そして一緒に昼までぐっすりと眠りこんだのだった。

割とこのお姫様は気に入ってたりします。

ヨウムは全体的に灰色な鳥ですが、尾の一部の鮮やかな色が印象的なので、機会がある方は是非ご覧になって下さい。

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