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切実  作者: あああああああああああああ
1/1

 目が覚めた時から、風邪なのがわかった。時計の針は11時を回っている。あまりベッドから離れたくなかったが、それ以上に喉が渇く。グラス一杯の水を飲み干し、冷蔵庫から作り置きしておいたサラダを取り出して食べた。簡単な食事を済ませた後、薬を切らしていたことに気が付いた。しかし、薬を買いに行こうにも、車で30分近く掛かるから、しょうがなくまたベッドに横になった。体は重く、鼻の奥が熱い。何気なくスマホを起動すると、一時間前に青野から着信が来ていた。青野は大学で知り合って以来の友人だ。実は、今住んでいるこの家も彼の紹介あってのものである。行く当てがなく、フラフラしていた私に「山の方で少し不便だが、もし良かったら使ってほしい。父親が生前よく籠ってた別荘だが、今となっては買い手も居ないから持て余している」と安値で売ってくれた。私としても、それは有難い提案だった。着信に気付いた私はすぐに掛けなおした。トゥルルル、と4回くらい鳴った所で繋がった。

「もしもし、青野。さっき電話くれたみたいだけど。」

「ああ、悪いな。実はちょっと色々あって・・・。少し頼まれてくれないか。」

 彼が頼み事とは珍しい、そう思いながら

「うん、どうしたんだ。」

「電話だと言い辛い話なんだ。直接、話せないか。」

「だけど、今俺風邪引いててさ、熱っぽいし、もしかしたらインフルかも。だから・・・。」

 遠まわしに無理だと言った。すると10秒くらいの沈黙の後

「それでも、ほんの少しで良い。何なら今から車で行くから。」

 と返ってきた。

 彼の所から私の家まで、だいたい3時間は掛かる。にもかかわらず来ると言われては了承せざるを得ない。結局、大丈夫と返事をしてしまった。

 いつも冷静な奴なのに、何があったんだろう。

 そんなことをぼんやりと考えながら、今度こそベッドに横になった。

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