僕の壊れた日常
その後家が僕たちと少し離れている真名斗と別れ、僕はつばめと一緒に帰り道を歩いていた。
ぼくとつばめの家は幼馴染だけあってお隣さんだ。
「ねぇ来斗」
なぜか少し顔を赤くしてつばめが話しかけてくる
さっきの漫画の件でも思い出したのかな?
「どうかした?」
「さっき言ってたこと...ホントに本当よね?」
やはり漫画のことだったか...ここでさっきの事が嘘だと言ってしまえばつばめは恥ずかしくて爆発するかも知れない。
ここは僕がまた犠牲になってあげるとしようか。
「本当だよ!特に僕はピンク髪のキャラが好きであの子の入浴シーンとか特に
「ちっっっっがぁぁうわよ!その話はもう忘れて!彼女はいないって話よ!」
あ、なんだそっちの話か。
勘違いしちゃったよ。
「ああ、それならもちろんいないよ」
彼女に関しては欲しいとは思う。
そんな人がいたら毎日が楽しそうだしね。
「好きな人とかもいない?」
「今は特にいないかな」
「気になる人ぐらいは?」
「強いて言うならつばめかな」
「ええっ!?」
つばめの顔がぼっと赤くなる。
なかなかかわいい。
「なんであのマンガをつばめが読むのかなぁーって気になってるんだよねぇ」
「その事はもう引きずるなぁぁぁ!」
「ごめんごめん。ちょっとからかいたくなっちゃって」
さらに赤くなってぽかぽかと叩いてくる。
またこれもかわいい。
「まぁ....いないって解釈でいいのよね」
少し落ち着いてそう言ってくる。
が、また段々と顔を赤くしてこちらを見てくる。
「あのね来斗....私、あなたにずっと伝えようとと思ってたことがあるの。でも全然言えなくて、言った後どうなるかも怖くって....今まで胸の中に秘めてた事」
さすがに僕でもこの後なにが起こるか分かる。
つばめの気持ちには気づいてた。ずっと前から。
そして僕も同じ気持ちだった。
でも怖かった。今までと関係が変わってしまうのが。
「私ね、ずっと前から
もう良いんじゃないだろうか。新しい関係になっても。
僕たちならきっとうまくやっていける。
...でも今かなり恥ずかしい。
落ち着くためにミルクティーでも飲もうか。
そう思い袋から取り出したがそれは
「ずっと前から来斗の事が
「激辛!鷹の爪よりは辛くないラーメン」だった。
「あぁぁぁぁぁっ!!」
「ひゃぁ!?」
僕はわざとらしく声をあげた。
「ま、間違えて真名斗の袋を持って来ちゃったみたいだ!真名斗の夜ご飯らしいから急いで届けてくるよ!先帰ってて!」
早口でそう言って半ば逃げるようにその場を後にした。
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恥ずかしさが絶頂に達して逃げて来てしまった。
つばめには悪いことしたな...勇気出して言ってくれただろうに。
....今の事の謝罪も込めて今度は僕から伝えよう。僕の気持ちを。
とその前に真名斗にこのラーメンを届けなきゃいけないな。今頃困ってるだろうし。
そう思い真名斗の帰り道へ足を進めていった。
しばらく歩くと路地裏に差し掛かった。通学路とはいえ真名斗はこんな不気味な道をいつも通っているのかぁ。
路地裏を少し歩くとうちの学校のカバンと袋からこぼれ落ちたミルクティーが床に転がっていた。
「これ...真名斗の...だよね」
背筋にゾッと寒気が走った。
ここで真名斗になにかが起こった。どこかへ消えた。
もしくはー
そう考えながら路地裏の出口をめがけて走っていると
「うっ!?」
何かに掴まれたように足が動かなくなった。
足元を見るとドス黒い影のようなもので足が覆われていた。段々と体を侵食していっている。
もがくことすらままならない。
真名斗もきっとこれに....
なんなんだよこれは!
このままじゃ危ない...!
視界の光も段々暗くなっていく中、僕を追いかけて来たのかつばめの姿がうっすらうつる。
「え?来斗ちょっと!なによそれ!大丈夫なの!?」
やめろつばめ!
くるんじゃない!
そう叫びたいが口は一向に動かない。
やがて僕を侵食しているのと同じドス黒い影がつばめをも襲い始めた。
「ちょっ!なによこれ!?やめなさいよ!うっ!?あっ....」
つ、つばめ....
僕の意識はそこで途切れた。