僕の普通だった日常③
放課後
予定通り僕らはコンビニに来ていた。
真名斗は夜飯選び、僕はブラブラと飲み物コーナーを見ていた。
ちなみに僕はミルクティーが好きだ。
あの甘くて舌に残る上品な味。ミルクティーを飲むと心まで上品になった気分になるよ。
肝心のつばめはと言えば雑誌コーナーの前で困ったようにうろうろしている。
「どうかした?週刊少年シャンプー買わないの?」
「あー....ど、どこに週刊少年チャンプーがあるか分からなくて」
と週刊少年シャンプーを手に持ちながら申しておりますね。あと名前間違えてるよつばめ。
「つばめが手に持ってるのが週刊少年シャンプーだと思うんだけど」
「えっ、あ、あー本当ね!私ったら少しうっかりしてたわ。あら?残念ながらこれは先週号だったわねーわたしったらまたうっかりー」
後半棒読みのような気がするけどまあ気のせいだよね。
「それは残念だったね。じゃあ他になんか買う?」
「いえ、特に必要なものもないし大丈夫よ」
つばめは結構な節約家で少しのお金も使いたがらないタイプだ。しっかりしてるなぁ。
そんなことを考えていると真名斗が夜飯を選び終えこちらに向かって来た。
手には「激辛!鷹の爪より辛くはないラーメン」なるものを持っていた。真名斗は辛い系が好きなんだ。
てか鷹の爪より辛くないってのはタイトルとしてどうなのやら。普通「鷹の爪の◯倍!」とか書くんじゃないの?
「お待たせしました。皆さんはもう選び終わりましたか?」
「うん、大丈夫だよ」
「あれ、つばめさんは週刊少年シャンプー買わないんですか?」
「え、ええ。まだ今週号が出てなかったのよ」
「いや、そんなはずないですよ、ほら。」
そう言って真名斗は週刊少年シャンプーを手にとってみせる。
「ほら、ちゃんと今日発売になってますよ」
本当だ。つばめはなんで勘違いしたのだろう。
「ほ、ほぉぉぉんとうねぇ!私ったらまたまたうっかりぃぃぃ!」
「よかったですねつばめさん!って痛い!痛い!なんで叩くんですか!やめてぇぇ!」
結局僕はミルクティーを買い、真名斗は夜飯とレジ前で激辛ホットドックを、つばめは週刊少年シャンプーを買った。
コンビニを出て僕らは入り口で一服していた。
僕はミルクティーを飲み、真名斗はホットドックを食べ、つばめは週刊少年シャンプーの表紙をまじまじと見つめていた。
「つばめさん、それ読まないんですか?」
「い、今から読むわよ!」
「それにしてもつばめがシャンプーを読んでるなんてねぇ。結構驚いたよ。」
「そうですよね、そんなイメージ全然ありませんでしたし。」
「つまりつばめもマンガの話が通じるってわけだね。ちなみにシャンプーの中でつばめが一番好きなマンガはなんなの?」
今までのやりとりからつばめがシャンプーを読んだことないなんてことは僕でも分かる。
でもちょっといたずらしたくなっちゃってね。
たまにはいいでしょ?
「え!?あ、わ、私が一番好きなのはこのマンガよ!」
案の定テンパっているつばめ。ちょっとかわいい。
つばめは適当にページをパラパラとめくり僕たちに見せてきた。
見せてきたページには少年マンガにはほぼあると言っていいエッチなサービスシーンだった。
それだけならまだいいんだけどそのマンガはかなりエロい系のラブコメだった。
「つ、つばめさん...」
真名斗がポカーンとした表情になっている。
「え?どうしたの?....ってきゃぁぁぁぁぁ!!!」
やっと自分のしていることに気づいたのか赤面して叫ぶつばめ。
どれどれ、ここはフォローしてやるか。
「おっ!つばめってば僕と同じマンガが好きなんだ!気があうなぁ。」
「えっ?来斗....そっか、来斗はこういうのが好きなのか....よし」
ちょっとはフォローになったかな?てっきりド変態とでも言われると思ってたけど。
「僕も実は大好きなんですこのマンガ!」
僕に続くように真名斗がフォローに入った。
「ムッツリド変態メガネ!!」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「ぷっ、あははははは!」
そんなやりとりを見てつい吹き出してしまった。
「もう!何がそんなにおかしいの来斗?」
「いやぁ、ごめんごめん。つくづく僕はリア充だなあって。」
「来斗くん!?いきなり彼女います発言ですか!?」
「え...嘘...だよね?来斗ぉ....」
なんだかつばめがめっちゃ泣きそうだ。
「違うって2人とも、そういう意味じゃないよぉ!」
慌てて訂正する。ホントにそういう意味じゃないから。
「普通にリアルが充実してるってことだよ。彼女なんてできるわけないでしょ。」
「なんだぁ...いたら面白かったんですけどね」
「ホントにいないのね?ホントね?...よかったぁ」
今のは僕の言葉選びが悪かったな...
要は幸せってとこだよ。
最初に言ったでしょ?
僕は普通に幸せだって。
僕はこの何気無い普通の幸せが大好きだ。
この幸せがずっとずっと続けばいいのにって思う。
ずっとだ。そう、ずっとずっと.....
読んでくださりありがとうございます!