対人恐怖症のA級冒険者
城砦都市スベェンデールには有名なA級冒険者が二組存在する。一方は隣国の廃嫡子、炎姫率いる最強クランの『グランネビュラス』もう一方は災害級魔獣ゴライアを都市手前で単独撃破し英雄となった青年だ。彼の名はマル・アムルガ・コメッタ。極度の対人恐怖症の為、人前に殆ど現れず、話し掛けると逃げていく男であった。多くのクランや傭兵団が彼を取り込もうとするも、会話さえ成り立たない。王国が騎士位を与えようと召喚すれば、王国騎士団を壊滅させて逃げ出す始末。数多の市民が彼を称え、女達が近寄ろうとするも彼は毎回脱兎の如く逃げていく。風の様に逃げていく。悲鳴を上げて逃げていく。…これは最強の強さを持つ一方、子供からも怯えて逃げ出すとある青年の物語。