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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第二章
98/145

第5話 神心

 翌朝、相変わらずマルカとミュウが朝食の準備をしていたので、調理の音で目が覚める。

 寝る前は、ミュウを抱き枕にしていたはずなのだが、朝食の準備のためか、いつの間にか抜け出していた。

 代わりにモフモフのサラを抱き枕にしていたようだ。


「タカシさん、やっと起きましたね……」

「おう、おはよう。調子はどうだ?」

「えぇ、まぁ。何の調子かは聞きませんが、大丈夫ですよ」

「股間の調子なんだが、大丈夫なら良かった」

「もう……わざわざ言わなくて良いです……」


 サラから離れ、ベッドから起き上がりながら、周りを確認する。

 パルパロはまだ寝ているようだ。

 両手両足を開いて、横向きになっている……こいつら、寝相が悪いんだな。覚えておこう。


 パルパロは放置して、サラと二人ベッドから降り、朝食の準備をしている二人が居るリビングの方に移動する。


「マルカ、ミュウ、おはよう」

「ひゃっ!? お、おはお、おひゃ、おおは、よっ」

「落ち着け」

「おひゃひょござばす!」

「ふんっ」


 マルカが落ち着くのは、風呂のようなリラックスできる空間しかないようだな。もうちょっと何とかならないものか……。

 あと、ミュウがご機嫌ナナメだな。何かあったのか?


「ミュウ、どうした? 朝は、おはよう、だろう?」

「……おはよう」

「おう、おはよう。どうしたんだ? 何で機嫌が悪いんだ?」

「分からないですかっ!?」

「うーん、分からんな。何か嫌な事でもあったか?」

「ずっと、エロ魔人が抱き付いてたから寝れなかったですよ!」


 ボケ老人みたいな事言いやがって。

 確かに抱き枕にしていたけど、夜中、体勢を変えるために起きて見たら、涎垂らしながら、ぐっすり眠ってたじゃないか。


「そうか。すまんな。舐めてやるから許してくれ」

「ばっちぃです!」

「じゃあ、何をしたら許してくれるんだ?」

「許さないですっ! もう許さないですっ!」

「頼むよ。ミュウに嫌われたら、俺生きていけないよ」

「何言ってやがるですか、ダメですっ!」

「分かった。じゃあ、お前とはここでお別れだな」

「えっ……」


 先日の指輪でのやり取りから、本音を言わないミュウの扱い方が何となくだが、分かってきた。上げて下げて、上げると良いんだ。

 多分、これで心の中では“やだやだ。ごしゅじんさまぁ”なんて言っているんだろう。ふふふ。


 マルカの方を見ると、アワアワしている。当然か……。

 サラもどうしたら良いのか分からない感じで、エアーピアノでも弾いているかのようになっている。

 朝食の準備もほぼ終わっているようだったので、三人を置いて、パルとパロを起こしに行く。


「おい、パル、パロ。起きろ。朝飯だぞ」

「うぅ……もうちょっとぉ……」

「ボスゥ、まだ早いよぉ……」

「今起きないと、朝飯抜きだぞ」

「「おはようございます!」」

「おう、おはよう」


 切り替えの早い奴等だな。

 パルとパロが素早くベッドから降りてきたので、そのまま二人を連れてリビングに戻る。


 すると、ミュウがマルカに抱き付いて泣いていた。

 やり過ぎたか……。


「タカシさん、さっきのあれは……」


 サラがオロオロとエアーピアノのまま近付いてくる。

 パルとパロは状況が分かっていないので、何事かとキョロキョロこちらとミュウを交互に見ている。


「え、なに、なに、何があったの?」

「タカシしゃまっ! めっ! ですよ!」

「え、何で、何でマルカ姉怒ってんの!? しかもボスに!?」


 マルカに怒られた。これはまずい……。


 マルカに抱き付いているミュウに近付き、両肩を持ち、くるりとこちらを向かせる。うわ……めっちゃ泣いてる……。

 膝立ちになり、ミュウを抱き締める。


「ミュウ、ごめんな。さっきのは嘘だからな?」

「やっ! うぁぁぁんっ」


 目線を合わせて謝ってみたが、バッと反対を向き、またマルカに抱き付いていく。

 子どもに完全拒否されてしまうと、こんなにも精神的ダメージを受けるんだな……これはキツイ。


「ミュウ。許してくれ。な?」

「やぁっ! あぁぁっ、うあぁぁんっ、んっ」


 どうしたもんか……。


「俺がお前を置いて行くわけないだろう? 前話したじゃないか。お前が可愛かったから、からかってみただけだって」

「やぁ……やだぁ……」

「俺には可愛いミュウが必要なんだよ。な? 許してくれ」

「うそだもん。可愛いって、ウソだもんっ!」

「そんなことないぞ。可愛いし、大好きだぞ?」

「ほんと、に? みゅのこと、す、き? キツネさん、より?」

「あぁ、好きだぞ。大好きだ」


 あぁ……今、サラの顔を見たいが、怖くて見られない。

 というより、何でそこでサラの名前が出るんだよ。昨日、サラとにゃんにゃんしていたからか?


「みゅが、いちばん?」

「あぁ、ミュウが一番だ。圧倒的一番だぞ。天才だしな!」

「いち、ばん……」

「天才で可愛いなんて、誰も勝てないだろうな!」

「てん、さい……」


 泣き止んだな。よし、もう少しだ。ミュウが喜びそうな言葉は、あと何がある? くそ、こういう時、言葉が出てこない。


「ゆびわ、みゅだけのゆびわ……」

「あぁ、指輪だな! 何でも好きな物を買ってやるぞ!」

「あれがいいです」

「あれ? あぁ、そうか。ミリアが持っているやつだな? 今日の夜には返すから、な? 機嫌を直してくれ」

「むぅ、わ、かった。です……」


 ミュウがやっとこちらを向いてくれたので、抱きしめてあげる。


「うぅ、くるしーです。もう、ひどい事言わないです……?」

「言わない言わない。指輪も返すから」

「わかったです……。じゃあ、許してやるです」

「そうか。ありがとうな!」


 頭を撫でて、体を離す。

 これでいつものミュウに戻ってくれると良いが。


「なに、この茶番……」

「なになに、なに、何があったの!?」

「ボス、何をしたの!?」

「ふぅ……よかったですね。ミュウちゃん」


 さっきまでエアーピアノだったサラが、若干引いている。自分がネタにされたことに、少し怒ったのかもしれない。こちらも、少しフォローしておかないといけないな……。

 パルパロは、まぁ、放置でいいか。


「よし、それじゃあ皆で朝ごはんだ! ミュウもマルカを手伝って一緒に作ってくれたんだろう?」

「作ったです」

「じゃあ、美味しいだろうなぁ! さぁ、食べるぞー!」

「ふ、ふんっ! 美味しいのは当たり前です!」


 やっと調子が戻ってきたようだ。危なかった……。

 ミュウに対してあんなイジメ方をするのは、指輪で会話している時だけにしよう。リスクが高すぎる。

 俺もまだまだだ。当分は、幼女マイスターにはなれそうにないな。もっと精進せねば。


 そんなバカな事を考えながら、ミュウの調子も戻ってきたので、朝食を摂り始める。

 引き気味のサラに話題を振る為にも、順番に現在の自分達の強さについて説明しておくことにした。


「サラ、お前とは昨日の一件があるから、魔力を上げておいたぞ」

「え……? どうやってですか?」

「尻尾モフモフしている時」


 喜ぶだけで、まさか方法を聞かれるとは思っていなかったので、適当に答えておく。


「あれだけで……、ですか?」

「あぁ。俺が満足した後であれば、いつでも好きなタイミングで、相手に恩恵を与えることができるんだよ」

「その場ではないんですね。でも、ありがとうございます」

「いやいや、こちらこそ、ありがとうな。気持ち良かったよ」

「もうっ……。恥ずかしいです……」


 耳まで真っ赤にして顔を背けられたので、パルとパロにも恩恵を与えたことを伝えておく。


「パル、パロ、お前達にも恩恵を与えておいたぞ」

「「まじでっ!?」」

「攻撃力も防御力も全部上がっているはずだ」

「アタイ、ちょっと試してくる!」

「アタシも!」

「「ボス、ありがとうー!」」


 飯の途中で席を立ちやがって……今度説教だな。


「マルカ、ミュウ、お前達もだぞ。今は、パルやパロ達と同程度は強くなっているはずだ」

「ぶふっ! めゃあっ!? う、ウチ、も、でしゅかっ!?」

「ふふん、やっぱりみゅは天才でしたね」


 まさか、自分に話が回ってくるとは思っていなかったのだろう。マルカがスープを飲んでいたが、噴き出して驚いている。

 メイドのくせにきたねぇな……。


 ミュウの方は、既に調子が戻ってきたようで、いつものミュウ節が炸裂している。本当にさっきのは茶番だったな。

 まぁ、全部俺が悪いんだが……。


「う、ウチ! ちゃかししゃまにしてないでしゅよ!?」

「落ち着け」

「すぅ……はぁ……、ウチ、何もしてないでしゅよ!?」

「普通なら恩恵を与えられないんだけど、何でだろうな? いつも俺の為に飯とか掃除とかやってくれてるからかな?」

「で、でも! せ、せっ、えっちな事してないですよ!?」

「だよな。じゃあ、今度よろしくな」

「えぇえぇぇぇぇ!?」


 驚いて体をペタペタ触っている。ロリ巨乳……興味深いな。


――バァンッ!


「「ボス! 強くなってるよ!」」


 ドアを勢いよく開けて、パルとパロが戻ってくる。

 本当騒がしい奴等だな。


「だから言ったじゃないか。それより、今は飯の時間だ。先に飯を食え。さもないと、昨日より弱くするぞ?」

「「はーい!」」


 パルとパロも戻ってきたので、次の話をする。


「そんなわけで、本来なら俺がお前達を守る事にしていたんだが、もう守る必要は無さそうだし、今日から皆、前線に出てもらう」


 皆それぞれの反応をしているが、これはもう決定事項だ。

 より多くのモンスターを討伐して、サクサクとレベルを上げたいので、こうするしかない。


「それは良いですけれど、ミュウちゃんもですか?」

「あぁ、ミュウは天才だしな。何とかなるだろう」

「やっと、みゅの事を分かってきやがりましたねっ!」

「でも、もし怪我なんかしたら……」


 怪我か……その場合は、俺が治癒を施してあげるから大丈夫だ。本人は気が付いていないが、マルカも治癒が使えるしな。


「あぁ、そこは大丈夫だ。そういうわけで、マルカとミュウは必ずセットで行動するように」

「えっ!? やっぱり、ウチ足手まといでしゅっ!?」

「違う。実はな、マルカは神官の才能があったみたいだ。だから、今は俺の恩恵のお陰もあって治癒が使えるぞ」

「ふぇぇぇぇ!? しょんな! 才能ないって言われ続けてたのに……メイドになった、今になって……」


 何かボソボソと後悔しているみたいだけど、まぁ良いか。


「ミュウは天才だから、敵に狙われて、怪我すると思う。だから、それを治してあげてくれ。使い方は後で教えてやるから」

「わ、わかりみゃした……」

「ふんっ、みゅは一人でも大丈夫です。お姉ちゃんは、みゅが守るですから」

「ミュウちゃん……」


 マルカとミュウ、二人が見つめ合って何か始まったので放置。


「た、タカシさん? マルカちゃんとミュウちゃんがセットなら、パルちゃんとパロちゃんはセットでしょう? 私は?」

「サラは魔法があるし、後方支援だ」

「地味ですね……」

「おい、お前は王位を継ぐんだろ? 後方から味方の動きを見て、的確な指示と判断力を養うためにも、重要な位置だぞ? 嫌なら、俺とセットだ。その場合は俺が全て判断して指示を……」

「やります!」


 サラのご機嫌をこれ以上悪くしない為にも、ポジションについて適当に答えてしまったが、理解してくれたみたいだ。

 ミリアなら、俺の性格が分かってきているので、また適当なこと言って……と看破されるだろうが、サラはまだのようで良かった。


「ちゃんと、私の今後の事も考えてくださっているんですね……。感動しました」

「おう、サラは大事なメンバーだからな」


 ハーレムの。


「うふ、本当に惚れちゃいますよ?」

「惚れろ惚れろ」


 その後、朝食を食べ終わってもしばらく戦い方や、今現在各々が使えるスキルなどの説明をして準備を整える。


――ミリア、聞こえるか?

――――あっ、タカシさん。聞こえますよ。おはようございます。昨日は、サラさんのおっぱい……?

――おはよう。こっちはそろそろ出発するが、そっちはどうだ?

――――はい、こっちはもう出発していますよ。順調です! それとも、ファラの代わりにミュウちゃんのおっぱい?

――そうか。何か問題があれば、すぐに連絡してこいよ?

――――分かりました! もしかして、パルとパロのおっぱい!?


 相変わらずむっつりミリアだな……朝からおっぱいおっぱい連呼しやがって……というか、全問正解なんだけど……怖いなこいつ。


 まぁそんな事は良い。こちらは色々と説明などをしていたから、出遅れてしまった。

 準備は完了しているし、そろそろ出発しよう。


「よし、お前達、出発するぞ。忘れ物は無いか?」

「大丈夫ですよ」

「「はーい!」」

「が、がんばりましゅ!」

「はやく行きやがるです」


 皆で一緒に家を出て出発する。

 皆には、それぞれのステータスについて、少しは話したが、まだ一つだけ説明していないことがある。

 そう、俺の新しいスキル――神心だ。


 この新しいスキルの実験をしたかったこともあり、皆に戦い方を教えて俺がフリーになる時間を作った。

 もちろん、こいつらだけでは厳しそうな相手が出てきた場合は、手を貸すつもりではある。でも、それ以外の時間は実験をしたい。

 そういうわけで、まずは、どんなスキルなのかを考える。


 神心……今までの神シリーズを参考にすると、神手は手に魔力、神脚は脚に魔力、神口は口に魔力、だったら神心は心臓?

 一回死んでも蘇る――復活することができる、とか?


 うーん……いやでも、この世界に来る際の説明書きに、死んだら本当に死ぬ的な事が書いてあったし、違うだろう。

 もし蘇るのであれば、無敵で嬉しいスキルではあるが……実験は怖くてできそうにないな。


 とりあえず、心臓に魔力を込めてみよう。


・・・。


 何も起こらない。

 手から自分のカードを出してみるが、何も変化はない。


 心……こころ、ココロ、心理、意志、情……感情か?

 感情だったら心臓じゃなくて、頭だよな。


・・・。


 頭に魔力を込めてみるが、やはり何も起こらない。

 でも読みは合っているはずだ。心だから、心臓か頭だろう。


 うーん、分からない。

 心……心を込める、開く、砕く、通わせる、落ち着かせる。


 こころ、こころこころ、こころこころこころ……。


 何か……ずっと心、心と考えていたら、“心”という字が本当に“ココロ”であるのかどうか心配になってきた。

 あぁ、心配という言葉にも“心”が入っているな。うあぁぁぁ、どうしちまったんだ俺は……。


 違う、そうじゃないんだ! 考えがまとまらない……。

 思い付いたことを一つ一つ試してみるか。


「サラ、好きだ」

「へぁ?」


 心と一緒に魔力も込めてみた。あぁ、これ口に出しているから、違う気がする。

 サラは戦闘中だったので、突然の告白に驚いて、変な声を出しているし、間違いなくこれではないな。


――ガシャ、ガシャガシャ


「ちょ、ちょちょ、ちょっと! ボス!? 何、なんなの? 何で裸になったの!? 今、戦闘中だから! 敵! モンスター!」

「俺は変態なんだ」


 全てをオープンにして変態宣言。

 あぁ、つい癖で神口を使って宣言してしまった。

 まぁ、何の効力もなかったので良かったが。


 これじゃあ、心を開いたのではなくて、悟りを開いて……いや、ただ性癖を公開、オープンしただけだ。開くって難しいな。


――ガシャガシャ、ガシャ


 とりあえず皆の目が痛いで、服と鎧を身にまとい、憂さ晴らしにモンスターを瞬殺する。


「やっぱり、マルカには才能ないな」

「えぇ!? そう、ですよね……ウチなんか……」


 あぁぁぁ、違う、違うんだ。これでは、ミュウの二の舞だ。


「嘘だぞ!? どんな反応をするか見たかっただけだからな!?」

「いえ、分かってるんです……」

「マルカには才能あるって。あ、そうそう! 商人の才能もあったから、商人にも成れるよう恩恵を与えておいたからな!」

「商人……やっぱりメイドも才能がないんですね……」


 うわぁぁ、マルカの心が砕けそうだ。何とかせねば。


「エロ河童! お姉ちゃんをイジメるなです!」

「すまない。本当にすまない。冗談なんだよ。あ、僧侶の才能と、商人の才能があったのは本当だけど」

「僧侶と商人……本当にゃんでしょか? ウチには……」

「本当だって。マルカには期待しているからな。そもそも、才能がない奴を俺の屋敷に置いたりしない」


「うぅ、もっと努力しましゅ……」

「マルカが傍に居てくれる限り、俺は協力を惜しまないからな!」

「ありがとうございましゅ……がんばりましゅ……」


 戦闘に参加する為、前線にトボトボと歩いていったけど、大丈夫だろうか? 何か失敗してばかりだな。

 マルカの心がギリギリ砕けずに持ち直したようだ。良かった。

 そもそも、人の心を砕いてどうするんだよって話だ。そんなの、神口でどうとでもなるのに。


 とりあえずは落ち着こう。あぁ、俺の錬金術士のレベルが30になっている。空間術士にしておくか。

 よし、落ち着いた。次だ次!


――サラ、聞こえるか?


「はい。何ですか?」

「え? あ、いや、何でもない」

「もう……さっきからどうされたんです? おかしいですよ?」


 これかぁぁぁぁ!


――サラ、今日も尻尾がモフモフで美しいな。


「ありがとうございます……何かあったのですか?」


――俺の声、頭の中から直接聞こえてくる感じか?


「え、あぁ、はい。そうで……すっ!? 何で!? 頭っ!?」


――そうか。じゃあ実験成功か。なるほど。こうやるのか。でも、指輪と一緒で、俺の考え事まで相手に聞こえてしまったら、色々とまずいな。とりあえず、サラで少し練習するか……。


「何がまずいんですか? 何か隠し事ですか? それよりも、何なんですか、その能力!?」


 しまった。案の定、サラに筒抜けだ……。

 指輪の時は目に見えているから、感覚的にも魔力のオン・オフが簡単だったが、頭となると制御が難しいな……。


――ちょっと色々と実験していてな。何でもない。


「指輪の能力をコピーでもしたのですか!? タカシさんってば、そんなこともできるのですか!?」


――この能力は、まだ実験中だ。今は俺とサラしか知らないから、二人だけの秘密にしておいてくれ。頼む。


「もう……分かりました。二人だけの秘密ですね。ふふっ」

「キツネさん、さっきから誰と話してやがるですか? 話したり、笑ったり、エロ魔王みたいで、何かキモイです」

「うふふ、ごめんなさいね。タカシさんの病気が、移っちゃったのかしら。ふふふっ」

「エロ女王の誕生でやがりますかっ!?」

「もう、ミュウちゃん、だめでしょう? サラ様はお姫様なんですから、もっと丁寧に話さなきゃ」

「いいのよ、マルカ。ありがとう。うふふ」


 ミュウがマルカに連れられて前線に行ったので、後衛はエロ女王と俺の二人きりになる。

 それにしてもエロ女王か……。女王にするには、まだまだ調教が足りないが、まぁ、良い。


――そんなわけで、エロ女王。俺の実験を少しだけ手伝ってくれ。


「はいはい、あなたのエロ女王ですよ。何でも言ってください?」


 俺の声が聞こえるのは良いが、相手が近くに居ないと何の意味も成さないスキルだよな。

 そんなスキルを、今になって覚えるわけがない。指輪のように、相手側からも聞こえるようにできる可能性がある。


――現状で分かる通り、一方通行なんだ。相手側の声も、こちらに聞こえるようにしたい。


「どうすれば良いのですか?」


 それなんだよな。この能力は多分、この世界で俺しか使うことができない能力だろう。

 そうなると、相手側に同じことをさせる意味はない。


――俺が喋っている間、俺の魔力を感じられるか?


「えぇ。おでこの内側に異物があるような……何か変な感じです」


――そうか。じゃあ、その異物に魔力を込めてみてくれ。


「こうですか?」


――うーん、こうですかと言われても、こちらからしたら、サラの体内だから分からん。


 でも、サラが“こうですか”と言った瞬間、何かこう、頭の中で良い事を閃いた時のような、“ピコーン”みたいな感覚があったな。


「そうですよね。ごめんなさい」


――いや、こちらこそすまない。次は、その異物に魔力を込めて、頭の中で俺に何か話し掛けてみてくれ。


 お、きたきた。この感覚だ。まさに“ピコーン”だな。

 多分これで、会話、いや、念話? ができるのだろう。


――――タカシさん、愛してしまっても良いですか?

――おう、愛してくれても良いぞ?

――――わぁぁぁ!? 無し無し、今の無しです!


 なるほどな。これが神心の能力か……。何か応用が出来ないか、ミリアにも相談して、色々と考えてみよう。

 とりあえずは、MP消費も知りたいし、少し会話しえみるか。


 一度魔力供給を止める。


「サラ、まだ異物感はあるか?」

「いいえ、無くなりました」


――これでどうだ?


「あ、来ました!」


――――こんな感じですか?

――サラも使い方が分かったようだ。これなら簡単だし、MP消費も神口と対して変わらないから、誰にでも使えそうだな。あとは、遠方とやり取りができるか、実験だ。

――――えむぴー? しんこー? それって何ですか?


 しまった……。またやっちまった。


「いや、何でもない」

「いえ、もう覚えました。実験を手伝ったのです。そのくらいは、教えてくださっても良いのでは?」


 まずい……しかも、分かっている顔だな。ニヤニヤしてやがる。嘘を言ったら、すぐにツッコミが入るだろう。


「恥ずかしいから、誰にも言わないでくれよ?」

「えぇ、それはもちろんです。二人だけの秘密、ですよね?」

「あぁ。俺は自分で研究した魔法に、他人からはどんな魔法なのか分からないような名前を付けているんだよ。その魔法の名前だ」

「えむぴーがですか?」

「えむぴーは精神力の事を、そう呼んでいるだけだ」

「精神力、ですか。では、しんこーは?」


 やっぱり聞かれるよな。“神口”を俺は“カミクチ”とは呼ばず“シンコウ”と呼んでいるから漢字を知っている人に聞かれると恥ずかしいんだよな。間違っているかもしれないし。

 でも、神口は神口であって口寄せではないからな。でも、これは何と説明しようか……。


「それは、対象に魔法を付与する時に使っている名前だ」

「例えば、どんな魔法なのですか?」

「うーん、そうだな……例えば“サラ・フォン・クドラングは何歳までおねしょをしていた?”」

「15歳です……はっ!? ちが、えと、違うのです! あ、ああ、あれは、目が見えなかったからで! 仕方なく!」

「15か……。それは、その、うん、ご愁傷様だ。分かったか? まぁ、こんな魔法だ」

「あぅあぅ……。もう……。やだ……」


 またサラとの秘密が増えた。

 さすがにこれは人には言えないな……。


「な? 秘密がバレると恥ずかしいだろう? だから俺のことも、秘密にしておいてくれよ?」

「くすん……分かりました……。言いませんから、ね?」


 言わないから、黙っててくれ、ということだろう。もちろんだ。


「それじゃあ、俺はもう少し実験を続けるから、サラはしっかりとあいつらの面倒を見ておいてくれ。頼むな?」

「はい……承知しました。ご主人様」

「ご主人様って……何だよ、突然?」

「いえ、もうお嫁に行けないので、タカシさんに仕えようかと」

「大丈夫だって。この秘密は墓まで持って行くから、心配するな」

「むぅ、タカシさんは鋭いですけれど、そっちは鈍感なんですね」


 ぷっくり頬を膨らませているサラが可愛いが、新しいおもちゃを手に入れたんだ。遊びたいので、今は鈍感という事にしておこう。


――ミリア、聞こえるか?

――――はい、聞こえますよ。どうしました?

――今から、ランを見ていてくれ。何か変な行動をしたら、教えてくれ。

――――はぁ、分かりました。……何だろう、ランさんが何かするのかな? でもタカシさんには見えてない、え、見えてる!?


――ラン、聞こえるか? 俺だ、タカシだ。今、お前の頭の中に話し掛けている。

――――あ、何かキョロキョロしています。なんだろう? ん? 何もないよ……ね? あれ?


――ラン、俺の声が聞こえたら、両手を上げてくれ。

――――ランさんが両手を上げました。何してるんだろう……?


――ラン、上げた両手で自分のお腹を叩いてながら、“ぽんぽこ”って言ってみろ。

――――何か突然怒りだしました。何をしたんですか?


――ラン、お前のおでこに何か違和感があるだろう? そこに魔力を込めて、頭の中で何か喋ってみろ。

――――今度は立ち止まって目を瞑って、動かなくなりましたよ。タカシさん、何をしているんですか? そろそろ教えてください!

――――――お兄ちゃん? 聞こえる?

――おう、聞こえるぞ。

――――――さっきのぽんぽこは何だったの!? ひどいよ!? ってか、何なのこれ!? 話せるのって指輪持っている人だけじゃなかったの!? ランは指輪持ってないんだけど。

――――え? 何が聞こえるんですか?

――用事はない。これについては、合流をしたら説明する。以上。またあとでな。

――――ちょっと!? タカシさん!?

――――――えぇ!? ちょっと待ってよ! 何か一言くらっ


 回線が混濁してきたので、強制的に切った。


――――説明してくださいよ。


 と思ったらミリアは指輪なので、向こうから会話が飛んできた。


――すまん。ちょっと忙しい。また後でな!

――――何なんですか! 絶対ですからねっ!

――あぁ、分かった。好きだよ。

――――もうっ! またそうやって誤魔化す!


 面倒だったので、返事をしなかったが、ミリアもその意味を理解したようで、それからは会話が来なかった。理解が早くて助かる。


 とりあえず、実験は成功だな。これならば、全員と同時に会話もできそうだ。時間がある時にでも試してみよう。


 それにしても、皆レベル上がったなぁ。

 実験ばかりで、横や後ろからの敵しか相手をしていなかったが、皆ちゃんと戦えていて良かった。


 いつの間にか全員レベル30を超えているし、時間も良い感じにおやつタイムだから、休憩でもしつつ、ジョブを変えておくか。


「皆、お疲れ様。そろそろ休憩にしよう」

「はい、分かりました」

「「はーい」」

「ふぅ、ちゅかれました」

「エロ大王は仕方ないですね」


 テーブルと椅子を用意し、皆で休憩にする。

 マップを確認すると、合流地点はすぐそこだ。距離的には、あと二時間もあれば合流できるだろう。

■ステータス計算式

HP=(STR+VIT)*CHA*3*JOB+SKILL+EQP

MP=(INT+DEX)*CHA*3*JOB+SKILL+EQP

ATK=STR*CHA*3*JOB+SKILL+EQP

MAG=INT*CHA*3*JOB+SKILL+EQP

DEF=VIT*CHA*3*JOB+SKILL+EQP

AGI=DEX*CHA*3*JOB+SKILL+EQP


▼JOB

ジョブ特性(基本値:1)


▼SKILL

攻撃力上昇小:HP+ 50 ATK+10

攻撃力上昇中:HP+100 ATK+20

防御力上昇小:HP+ 50 DEF+10

防御力上昇中:HP+100 DEF+20


体力上昇小:HP+100

体力上昇中:HP+400

魔力上昇小:MP+ 50 MAG+10

魔力上昇中:MP+100 MAG+20

敏捷上昇小:HP+ 50 AGI+10

敏捷上昇中:HP+100 AGI+20

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