第1話 パルパロ
ダンジョンに行く準備は、ほぼ完了した。
後は、誰もいなくなってしまう屋敷のことを頼むだけだ。
「マルカ、ミュウ、飯の支度でもしておいてくれ」
「ひゃいっ! わきゃりました!」
「ふん、任せるです。エロ魔人が居ないから、とびっきり美味しいモノを作るです。だから、さっさと行くです」
本当は、心の中で俺が居なくて寂しいとか思ってるくせに。
今後ミュウの喋る言葉は、脳内補完することにしよう。
「ミリア、それじゃあ、俺はそろそろ行ってくるよ」
「はい、後は任せてください! いってらっしゃい!」
――シュンッ!
クドラング城の門に転移し、いつも通り、門番を驚かせる。
「わわっ! また貴方ですか。今日も、アバン様ですか?」
「えぇ、すみませんが、呼んでいただけます?」
「少々お待ちを」
この門番、初めは門前払いする気満々だったのに、今となってはすぐに用件を理解してくれるので助かる。
でも、まだ顔パスまではいかないんだよな。サラやランとの関係を公にするのも面倒だし、我慢するか。
「お待たせしました。ご案内いたします」
「はい」
門番に案内されて、いつもの応接間ではなく、騎士たちが出入りしている建物へ案内される。ここに入るのは初めてだな。
そのまま、奥の部屋に連れていかれる。アバン専用だろうか。
「タカシ様、わざわざ申し訳ない。この時間は、忙しくてですね。それで、今日はどのようなご用件で?」
書類整理をしているようだ。一度こちらを向いて挨拶をした後、また書類に視線を戻している。
忙しい時に来てしまって、こちらが申し訳ないな。
「えっと、明日からウチの家族全員でダンジョンに行くんですよ。それで、留守の間屋敷を見てもらえないかと思いまして」
「あぁ、なるほど。では、定期的にメイドでも向かわせますよ」
「助かります」
「うん、良し! では、メイド長に話を通してきますので、ここで少々お待ちいただいて良いですか?」
「えぇ、本当忙しい時にすみません」
「いえいえ、それでは」
キリの良いところ迄終わったのだろう、顔を上げて立ち上がり、そのまま部屋を出て行った。
ウチにランがいるばかりに、苦労をさせてしまって申し訳ない。
まぁ、ランをネタにお願いをしているのは、全て俺だけれども。
――コンコンコンッ!
誰か来たようだが、アバンは居ない。どうしたもんか。
と考えていると、ドアが開き、ひょっこりその人物が顔を出す。
「アバン? あれ? 居ないのかしら?」
「おう、アバンさんなら今出たばかりだぞ。会わなかったか?」
ノックして返事がないのに、勝手に入る失礼な奴は誰だと思ったら、サラだった。姫だし、良いんだろうな。
「タカシさん!? お越しになっていたのね!」
「数日振りだな。元気にしてたか?」
「えぇ、もちろん。タカシさんに貰った指輪があるので、仕事にも気合いの入り方が違いますわぁ」
「そうか。それは良かった。プレゼントした甲斐があったよ」
会話の出来るマジックアイテム――俺とミュウの付けている指輪と引き換えにプレゼントした指輪を、自慢げに見せられる。
実はこの指輪、見た目で選んだら、奴隷が二、三人買えてしまうほど高かった。
「それよりも、何故アバンの部屋に?」
「あぁ、明日からウチの全員でダンジョンに行くんだよ。それで、俺等が居ない間、屋敷の管理をお願いしようと思ってな」
「まぁ、ダンジョンへ!? 私も行きたいわ!」
「おいおい、遊びに行くんわけじゃないし、一度入ってしまうと、いつ出て来られるか分からないんだぞ?」
「それは知っています。でも、タカシさんほどの実力の持ち主なら簡単に出て来られるでしょう? 私一人増えるくらい……」
――ガチャ
サラとそんな話をしていると、アバンが帰ってきた。
「お待たせしまし、おや? サラ様、どうされたのですか?」
「アバン、後の事は頼むわねっ! 私、タカシさんとダンジョンに行ってくるわぁ」
「へぁ!? ダンジョン!? 何を言っているのですか!」
「おい、まだ連れていくと決まった訳じゃないだろう? ランじゃないんだから、あまり、アバンさんに迷惑を掛けるなよ?」
「うぅ……そうね。ごめんなさい。ちょっと興奮しちゃって」
こいつは賢いと思っていたが、やはり姉妹か。一瞬、バカランと重なって見えてしまった。
「タカシさん、どういうことですか?」
「うーん……アバンさんに会いに来た理由を話しただけですよ? そしたら、自分も行くと言い出しましてね……」
「なるほど。ダメですよ? ただでさえ、ラン様が居ないのです。お二人とも居なくなりましたら、この国を誰がまとめるのですか」
「うふふ、大丈夫よ! タカシさんが付いているもの」
そう言ってサラが腕を絡めてきた。
美少女から信頼されているのはとても嬉しい事だが、その信頼はどこからくるものなのだろうか。
ランとアバンの命の恩人で、サラの病気を治した。それだけだ。
「そんなラン様みたいな事を言いましても、ダメですよ」
「相変わらず、アバンは頭が固いのね。もう少し肩の力を抜いて、気楽に生きましょうよ」
「サラ様は、この国を統べることになるのですよ? 肩の力を抜くのは時には大事でしょうが、それとこれとは話が別です」
「もー、肩の力を抜くのは今しか出来ない事なのだから、今やらせてくれても良いじゃない」
――コッコッコッ
サラとアバンが言い合っていると、またドアがノックされる。
客人の多い部屋だな。
「この話は後でしましょう。どうぞっ!」
――ガチャ
「失礼しますわね」
「これは、マル様! どうされたのですかっ!?」
「アバンを呼んでくるよう伝えたサラが戻らないので、来ました。あら、貴方は確かワタナベ様、でしたかしら?」
「えぇ、お久し振りです。マル王妃」
この人は、サラとランの母親であるマル・フォン・クドラング。この国の王妃だ。
「ランの面倒を見てくださって感謝します。ランは元気かしら?」
「はい、相変わらず元気ですよ」
「そうですか。それでサラ。貴方は、アバンを連れて来るからと、仕事を私に押し付けて、ここで何をしているのかしら?」
「あぅ、えと、お母様。その、うぅ、私! タカシさんと一緒に、ダンジョンへ行きたいのですっ!」
「貴方は何を言っているの? 早く仕事に戻りなさい」
「違うのよ、お母様。私、まだ何も力を示せていないじゃない? だから、ダンジョンに行って力を付けて、皆に示したいの!」
獣人は王になるために、民に力を示さないといけないとランから聞いてはいるが、俺は無関係だろうに。
仕事をサボっていたのは事実だし、何か茶番を見ているようだ。
「はぁ……何か、ランを見ているようですわ」
「ランと一緒にしないでっ!」
おいおい、家族の中でランの評価どれだけ低いんだよ。仮にも、俺の嫁だぞ? まぁ、結婚なんてしてない性奴隷だけど。
それに、俺と一緒に来るってことはランとも一緒に行くんだぞ?
「本気なのですか?」
「えぇ、私は本気よ? いずれ、ご先祖様でも攻略出来なかった、西にあるダンジョンすら制覇する気概です」
「そう……なのね。騎士団長であるアバン、サラはどうかしら? ダンジョンに行かせて、帰って来るのは可能だと思うかしら?」
「私は、その、サラ様、すみません。不可能、だと思います」
「そうですわよね、いくら魔法が使えても、実戦経験がないもの。いきなりダンジョンは無理でしょう」
「そんな……」
そうなるよね。
アバンやラン達は、ダンジョンでパーティーが壊滅したんだし、現実的に考えれば、そう判断せざるを得ないだろう。
「ただ、タカシ様とご一緒ならば……可能であると考えます」
ちょっと! アバンさん!? 何言ってらっしゃるのかしら!?
折角傍観を決め込んでたのに、何俺の名前出しちゃってんの!?
「ランや貴方の恩人だという事は聞いていますが、ワタナベ様は、そこまで実力をお持ちの方なのですか?」
「タカシさんってすごいのよ! 転移魔法だって使えるんだから」
こいつ! 転移は内緒だって言っておいたのに!
「ほう、転移ですか。さぞ高名な魔導士に師事されたのでしょう。師匠のお名前を、お聞きしても良いですか?」
「……師匠は居ませんよ。独学です」
「独学……その若さで……聞いたことありませんね」
マルが顎に手を当て、何か考え事をしている。
その間にアバンがこそこそと話し掛けてくる。
「タカシ様、今まで深く聞く事は避けておりましたが、属性魔法に治癒、空間魔法までお使いになれるのですか……?」
「言ってませんでしたっけ? でも、面倒事を押し付けられるのは嫌なので、黙っててくださいね?」
「うぅ、分かりました……」
「ワタナベ様、転移を見せていただけませんか?」
「へ? あぁ、別に良いですよ」
――シュンッ!
転移でサラの部屋に行く。
何か証拠になる物を探すが、掃除されていて、何もない。
仕方がないので、タンスなどを漁り、アバンの部屋に戻る。
――シュンッ!
「わぁっ!?」
「っ……、それが転移ですか。何処に行かれたのですか?」
「えぇ、サラの部屋に行ってきました」
サラのパンツを広げて、マルに見せる。
「それは……」
「なっ!? それ、私の!?」
サラが俺の獲物を奪おうとしたので、躱してポケットに入れる。
「こほん、ええと、少々行動に問題はあるようですが、転移という魔法がどういうモノか分かりました。ありがとうございます」
「そうですか。それは良かったです」
「サラ、本当にこの方と……一緒に行きたいのですか?」
「え、あ、はい! そうです。タカシさんなら問題ないですわ!」
さっきのパンツ泥棒の一件で、王妃からの株は下がっただろう。
実力を認められて、頼られても困るし、このくらいしないとな。
「貴方がそこまで我儘を通すのは、初めてですね。分かりました。どうせ、何かしら力を示す必要があるのです、行ってきなさい」
「お母様! ありがとう!」
「但し、アバンも連れていくこと。分かりましたね?」
「えぇ、大丈夫よ。よろしくね、アバン!」
「はぁ……マル様、相変わらずお甘いですね……。承知しました」
何か話が進んでいるけど、俺は? 連れていくのは俺なんだが。
「えっと、お義母さん。サラに手を出しても良いですか?」
「おかっ!? ま、まだ貴方の母親になったつもりはありません」
「まぁ、タカシさんったら、気が早いんだからっ!」
ランには既に手を出しているが、念の為聞いておく。まぁ、何かを言われたところで、止めないけど。
「責任を取る、且つ、合意の上でなら構いませんよ」
「責任かぁ。取れないから、サラは我慢してくれな」
「えぇっ!? そこまで言っておいて!?」
アバンが顔を引き攣らせながら、こちらの会話を見ている。
苦労人は大変だな。
「それじゃあ、アバンさん。屋敷の件お願いしますね。明日の朝、迎えに来ますので、装備と食料を用意しておいてください」
「……はい、分かりました」
「おい、サラ」
「はい、なんでしょう?」
「俺は今回の件、あまり賛成ではないけど、王妃からの頼みだから受けた。あまり家族を心配させるなよ?」
「はい、承知しましたわ。ご心配、ありがとうございます」
「ワタナベ様、娘二人をよろしくお願いしますね」
「はい、もちろんです。お預かりしますね。必ずお返ししますのでご安心を。それでは!」
「明日、お待ちしていますねっ!」
「よろしくお願いします」
――シュンッ!
屋敷に帰ってきたのは良いが、それにしても面倒な事になった。皆には、どう説明したものか……。
「あ、タカシさん、おかえりなさい。どうでしたか?」
「え、あぁ、ただいま。任せてきた」
「アバンさんには、いつもご迷惑をお掛けして申し訳ないですね」
「そうだな。本当良い人だよ」
サラとアバンを入れたら、十人か……大所帯になったな。
でも、今回のダンジョン以降は、サラ、アバン、マルカが居なくなったとしても、結局はミュウが居るから七人になってしまう。
そうなるとパーティーは六人までだから、一人あぶれてしまう。
「なぁ、ミリア。レイドって六人パーティーが一つあれば、残りのパーティーは二人以上で問題ないんだったよな?」
「はい、そうです。本隊があれば問題ないです」
「本隊?」
「リーダーになるパーティーのことです。レイドのフルパーティーの中からリーダーパーティー――本隊を決めます。本隊以外の残りパーティーは、本隊に従って行動をすることになります」
「なるほどな。ありがとう」
レイドを組むには、六人パーティーと最低二人以上のパーティーが必須か……。ウチのメンバーじゃ不可能だな。
最低でもあと一人仲間を迎え入れる必要がある。
どうせダンジョンに行ってレベル上げをするんだ。今の内から、奴隷でも買って育てておくかな。
「それにしても、レイドなんて、突然どうしたんですか?」
「あのな、城に行ったら、今回のダンジョンにサラとアバンさんが参加することになった。成り行きで……」
「えぇ!? 姫様ですよ!? あ、ランさんもそうか……。でも、大丈夫なんですか!? あ、だからレイド……」
「そう。それで、今後サラやアバンさん、マルカが居なくなった時の事を考えたら、最低でもあと一人メンバーが欲しいんだよ」
「今、私達が七人で、ええと、あぁ、うん、そういうことですか」
本当、物分かりが早くて助かる。
やっぱり相談するならミリアだな。
「サラとアバンさんを入れて十人だろう? 一人増やすとしたら、十一人。どうせなら、フルを二つ作ろうか?」
「そうですね。今後、ダンジョンの攻略を進めていくのであれば、仲間が多いに越したことはないですし」
「ミリアが賛成してくれるなら、正解だ! よし、行ってくる!」
「えぇ!? ちょ、ちょっと判断材料それだけですか!?」
大体頭の中で決めていた事ではあるんだ。背中を押してくれる、もしくは賛成してくれる意見が欲しかっただけ。
そこのところ、ミリアも分かってくれて発言してくれているし、何の問題もないな。
「おう、俺の嫁が賛成してくれたんだ。迷う必要は何もない」
「よ、よよ嫁じゃないです! それに、もう晩御飯ですよ!」
「マルカには、俺の分は必要ないと先に伝えているから、気にせず先に食べておいてくれ。留守中、頼むな」
「もう! 分かりましたよ!」
――シュンッ!
エストル、ビエグ、ザクゼル、オスルム、どの街の奴隷商に向かおうか悩んだ結果、エストルにする。
奴隷商の前に転移し、館の中に入る。
「これはこれはタカシ様! お久し振りでございます。奴隷の方はどうでしょうか? 問題など起こしていないでしょうか?」
「えぇ、何の問題もありません。満足しています」
「それは何よりでございます。またお越しいただけたこと、とても嬉しく存じます。本日は、どのような奴隷をお探しでしょうか?」
「女性の奴隷で、二人ほど探しています」
「おお、タカシ様は運が良い! 先日、エルフが二人ほど入荷したのです! 是非見ていただけませんでしょうか」
「それは良いですね。見せてもらいます」
先日、ミリアの奴隷譲渡時やファラを買った際の応接間には案内されず、そのまま二階へと直接案内される。
小部屋の前で立ち止まり、そのままノックもせずドアを開ける。
「わわっ!?」
「なにっ!?」
「この二人でございます。どうぞご覧ください」
中にはエルフの同じ顔の女の子が二人居た。
エルフは美形で全員同じ顔に見えるとか、そういう話ではなく、二人共そっくりで同じ顔だ。
パル・トロイト Lv.1 奴隷
パロ・トロイト Lv.1 奴隷
名前も似ているし、双子か。
「ちょっとパーティーを組んでみても良いですか?」
「ぱ、パーティー、ですか……何か意味があるのでしょうか?」
「俺は、メンバーに加護を与えるマジックアイテムを持っているんですよ。その加護を与えることができるか確認したいので」
「あぁ、なるほどでございますね。パーティー程度でしたら、何の問題もありません。どうぞ」
「キミ達、カードを出してくれるか?」
「「ほい」」
M奴隷Lv.1 盗賊Lv.12 村人Lv.3 討伐者Lv.1
M奴隷Lv.1 盗賊Lv.12 村人Lv.3 討伐者Lv.1
ふむ。盗賊か。しかも討伐者持ち。
「エルフはあまり出回っておりません。しかも子どもです。いかがでしょうか? タカシ様でしたらお気に召すかと存じます」
奴隷商――エルモートは、俺がミリアとファラを奴隷にしていることから、俺の事をロリコンだと思っているのだろう。
間違ってはいないが。
「ふむ。でも、この子達、盗賊でしょう? 知ってますよ」
「なっ!? さ、さすがタカシ様ですね。そこにお気付きとは」
加護を与えることができるというのは嘘で、本当はステータスを見る為にパーティーを組んだが、正解だったようだ。
「まぁ、エルモートさんにはウチのミリアやファラの件で、二度もお世話になっていますからね。別に強くは言いませんが」
「は、はい。か、隠していたわけではございません。まずは、見ていただこうかと思いまして」
「ちなみに、二人でおいくらですか?」
「な、70金、でいかがでしょうか?」
「高いな……」
珍しいエルフの奴隷、しかも子どもとなれば、元盗賊とはいえ、そんなものだろう。むしろ安いかもしれない。
先制攻撃されたので、安くせざるを得なかったのだろう。
「それに俺は盗賊討伐とかやっているので、この子達の事を知っていますよ?」
「し、知っている、とは、何の事でしょうか……」
「この子達、盗賊なのに、仲間を売ったでしょう?」
「なっ!?」
知っているというのも嘘だ。
討伐者のジョブを持っているので、懸賞金の掛かっていた盗賊を騎士団などに引き渡したのだろう。そこから推測した。
「ふぅ、タカシ様には敵いませんね……分かりました。60金で、どうでしょうか。これ以上はご容赦ください」
「ありがとうございます。では、買いましょう」
エルモートに金を渡し、そのまま部屋の中で、奴隷契約を行う。
これで、また所有奴隷が増えたな。
「毎度、ありがとうございます。またご入用の際は、是非お声掛けいただければ幸いです」
「はい。また近い内に来ますよ。良い奴隷お願いしますね」
パルとパロを連れて、館を出る。
「ねぇ、お兄さんが今日からアタイ達のボス?」
「ボス?」
「おう、お前達の主だ。よろしくな」
「おーう! よろしくねっ!」
「よろしくっ!」
とりあえずは、こいつらの服を買わないとな。
そのまま、仕立て屋――シーラさんの店に行く。
「こんばんは。まだ店開いてます?」
「あら、いらっしゃい。今日はどうし、あら? そちらの子は?」
「あぁ、こいつら今買ってきました。いつもの服を貰えます?」
「まぁ、あなた惚れちゃうくらい、良いご主人様ではあるけれど、本当小さい子ばかりなのね。分かったわ。こっちへいらっしゃい」
パルパロを預け、下着や部屋着などの普段着を選んでもらう。
ついでに、ゴスロリやセイフク、ミコフクなどの、俺がデザインした服もサイズがあればということでお願いしておく。
「こんなもんかしらね」
「おお、お店で買い物したの初めてだよ、ボス!」
「こんなにいっぱい良いの、ボス?」
「あぁ、大丈夫だ。問題ない。女の子は可愛くしないとな」
大きな出費になるが、仕方ない。
「ほんと、あなたってすごいわよね。どこで、そんなお金を稼いでくるのかしら?」
「ふふ、まぁ、色々と、ですよ。何か良い服とかあったら、残しておいてくださいね。あいつらに着せてあげたいから」
「うふふ、さすがだわ。じゃあ、またいらしてね?」
「えぇ、もちろんです。それでは!」
会計を済ませて、武具屋にも寄ろうかと思ったが、装備は予備をいくつか買い置きがあるので、大丈夫だろう。
そのまま、宿屋に向かう。
「お前達、飯は食べたか?」
「んーん。まだっ!」
「今からって時にボスが来たんだよっ!」
「そうか、それはすまなかったな。じゃあ、食べに行こうか」
「「おおーっ!?」」
ミーアに会うのも久し振りだな。
「こんばんはー」
「おや、タカシじゃないかい。まだ生きてたんだね」
「ははは、大事なミリアを残して死ぬわけがないじゃないですか」
「ふん、大事にしてくれているのなら良いよ。それで何用だい?」
「久し振りにお義母さんのご飯が食べたくなりましてね」
「はんっ、何言ってんだい。それより、ミリアはどうしたのさ?」
「あぁ、明日からダンジョンに行くので、今はクドラングにある、俺達の屋敷で準備をしてもらってます」
「屋敷? お前さんが? まぁ、ミリアが元気にしているのなら、別に良いさ。飯なら、丁度今作っていたところだよ。待ってな」
ミーアが奥に行ったので、食堂に移動する。
「ねね、あの人、ボスのお母さん?」
「ボスママ、ん? ママボス、あれ? なの?」
「違うよ。この世界に俺のママは居ないよ」
「「いっしょ!」」
母親が居ないということが一緒なだけで、そこまで声を揃えて、笑顔になられてもな……。
そんな笑顔の二人から、奴隷になった経緯などを聞いていると、ミーアが飯を持ってきた。
本当に作っていたところらしい。早かったな。
飯も並び終わったので、いただきますの挨拶をしようとしたら、二人は既にガツガツ食べ始めていた。
「おい、お前等。食事の前は、いただきます、だろう?」
「えー、面倒だよ。お腹減ってるから、勘弁して?」
「うめーっ! ボス、これ美味しいよ! なにこれ!」
ダメだこいつら。まぁ、初日だし、良いか。
帰ったらマリー辺りにでも、教育係を押し付けよう。
「ところで、お前達は奴隷になるまで何をしていたんだ?」
「盗賊だよ。物心付いた頃から盗賊だった」
「何か小さい頃に攫われてきたんだってー」
「そうか。楽しかったか?」
「ぜんぜーん」
「ね。全然だよ。あれやれ、これやれ、怒られてばっかり!」
「だから、盗賊を売ったのか」
「もう二人で生きて行こうって決めて、一緒に住んでた、うるさいおじさんを縛って、騎士さんに渡したの」
「そう。それで、もらった賞金で生きて行こうって!」
「それで?」
「「盗賊だから捕まっちゃった」」
普通に考えたらそうだろう。本人達は知らない間に盗賊になっていたから、まさか自分達が捕まるとは思っていなかったのだろう。
「バカだな、お前達」
「えへへ、良く言われるよー」
「ちゃんとやってるんだけどねー。何でだろうね?」
褒めてないし。
良い事をしていても、盗賊は盗賊だからな。仕方がない。
そんな簡単な話をしていただけだが、がっついていたのもあってすぐに食べ終わった。
「ふぅ……こんな美味しいご飯食べたの初めてかも!」
「ボスって、もしかしてすごい人!?」
「おう、俺はすごいぞ。だから、ちゃんと言う事聞けよ?」
「「分かった!」」
元気があってよろしい。
食べ終わったので、二人を連れて店のカウンターに移動する。
「ほんとに飯だけで良いのかい? もう遅いけど、宿は?」
「あぁ、大丈夫ですよ。あ、これ飯代です」
飯代は20銀にもならないだろうが、5金ほど渡しておく。
「……何の冗談だい?」
「明日からダンジョンに行くので、暫く来れないかもなので」
「そんなこと、大金をもらう理由にならないよ?」
「ミリアには、色々と教えてもらったり、良く働いてくれるので、とても助かっているんです。そのお礼ですよ」
「ふん。ミリアは出来が違うからね。当然さね」
「今度は皆を連れて来ますね。それじゃ」
「はいよ。その時は奮発してやろうじゃないか」
ミーアと別れ、宿を出る。行先はもちろん、街の門だ。
「おう、お前か。久し振りだな」
「えぇ、お久し振りです、カッシュさん」
「ちわー」
「はーい」
「お、おま、お前達!? 何でここに!? はっ! まさか!」
物凄く驚いているな。何かこっち睨んでるし。俺何かした……?
「お前達、こいつに買われたのか!?」
「そだよー」
「うんっ!」
「買いましたが?」
買っちゃダメだったのか?
「そうか……お前が買ったのなら、しっかり育ててくれるだろう。お前達、こいつの言う事、ちゃんと聞くんだぞ!」
「「はーい!」」
「カッシュさん、こいつらと知り合いなんです?」
「あぁ、実は、こいつらを捕まえてしまったのは俺でな……」
衝撃の事実!? エルフ好きで、子ども好きのカッシュが!
「おじさん、あの時は庇ってくれてありがとうね!」
「ありがとう!」
「う、うむ。大したことではない。でもそうか。うん、良かった」
「感動しているところ、すみません。何も分からないんですが?」
「お、おう。まぁ、良いのだ! うむ! 優しくしてやれよ!」
何も良くないし。勝手に自己完結されても困る。
「パルパロ、何があったんだ?」
「えっとね、おじさんを連れてきた時ね、アタイ達が捕まったのは言ったでしょ?」
「その時ね、違う騎士の人だったんだけど、このおじさんが庇ってくれたんだよー。優しいの!」
「そうか。どんな感じだったんだ?」
「まだ子どもだから更生できるとかさ、本人達は自分が盗賊だって知らなかったんだとかさ」
「こんな子どもを炭鉱で死ぬまで働かせるのかとか、色々だよ」
「お、お前達、もう、良いだろう、そのくらいにしておけ。な?」
「えー、だっておじさんのお陰で、奴隷で済んだんだよー?」
「ね。恩人だよ!」
「なるほど。それは、恩返しをしないとな!」
「「そうそう!」」
「だから、そういうのはよいと言っているだろう!」
「このおじさんな、まだ結婚してなくて、エルフの女の人が大好きなんだよ。だから、何をすれば良いと思う?」
「お、おまっ、お前は子どもに何を言っているのだっ!」
かなり動揺しているな。カッシュをからかうのも面白い。
「えー、パルがお嫁さんになる?」
「パロのナイスバデーでご奉仕する?」
「おまっ! 誤解を招くような事を言うな!」
「違う。お前達の体は俺のモノだ。もっと他にあるだろう?」
「「うーん……」」
「お前……今、自分が何を言っているのか、分かっているのか? いい加減にしないと捕えるぞ?」
パルパロの体は俺のモノだ。いくらロリコンだと言われようが、これは譲れない。
「分かったよ、ボス!」
「おう、言ってみろ」
「パル達がダメなら、お嫁さんを探してあげれば良いんだ!」
「そうだ! 良く分かったな。偉いぞ!」
バカだと思っていたが、考えを改める必要があるな。冴えているじゃないか。俺が言わんとすることが良く分かったな。
二人の頭を撫でてやる。
「「えへへ、褒められた」」
「今後、色んなところに連れていってやるから、そこで、エルフの美人さんを見つけたら、エストルの騎士カッシュ・ドレイブを宣伝しておくんだぞ?」
「「はーい!」」
「な、なな、何を教えているんだ! だからそういうのは良いと、言っているではないか!」
「カッシュさん、俺達急いでいるんで。また、お会いしましょう。それでは!」
「おい! まだ話は終わっていないぞ! 待て! おい!」
カッシュが追い掛けて来ていたが、あまり門から離れられないのだろう。本当に仕事熱心な人だ。
パルパロの件でも、また借りができてしまった。いつか返そう。
二人の肩を抱き、カッシュが見えなくなるところまで移動する。
外壁の角を曲がったところで、屋敷に転移する。
――シュンッ!
「ほわぁー、何ここ! 家だ! ボス、何したの!?」
「すげー、すげー!」
「内緒だからな?」
皆、飯を食べ終わった後のようで、まったりしていた。
「皆、新しく奴隷になったパルとパロだ。仲良くしてやってくれ」
「やったー! ふふん、ランの勝ちだねー!」
「はぁ……やっぱりタカシさんですね……」
「ファラにはわかってた」
「だからボクは、賭け事など嫌だと言ったのだ……」
「何だ? 何の賭けをしていたんだ?」
何か、ランがパルパロの体を上から舐めるように見て、勝ちを宣言し、それを見たミリアとルリアが呆れていた。
「タカシくんが連れてくる子達の、おっぱいが大きいか小さいかを賭けていたんだよ」
「それで、大きい方には誰が、小さい方には誰が賭けたんだ?」
「大きい方には、ミリアちゃんとルリアさんだけ。他に皆は、絶対幼女だとか、赤ちゃんかもしれないとか言ってた」
「おい、まぁ、幼女は好きだが……じゃなくてっ! 赤ちゃんって言った奴誰だ! 今なら怒らないから正直に言え」
「ファラ」
「おう、怒らないけど、お前は後でお仕置きな」
「わかった」
一瞬ファラがニヤっとしたように見えたが、気のせいか……。
「そうだ。賭け事より、新人に挨拶をするのが先だろう?」
「さっきはごめんね、ミリアです。よろしくお願いしますね」
「ファラ、よろしく」
「マリーです。よろしくお願いしますです」
「ランだよー、よろしくね!」
「ルリアです。よろしく頼む」
「「パル(パロ)でーす! これからよろしく!」」
挨拶が終わったところで、もう良い時間だし、風呂かな。
「あ、タカシさん。お風呂の用意できてますよ」
「おう、さすがミリアだ。それじゃあお前達、風呂に行くぞ」
ぞろぞろと風呂に移動する。
大きな風呂なので、この人数でも入れない事はないが、これ以上人数が増えるならそろそろ風呂も拡張しないといけないな。
そんな事を考えながら、新人歓迎の際の恒例行事としてパルパロの体を洗ってあげ、ファラを抱っこしながらまったりする。
「ふぁぁぁ、気持ち良いなぁ」
「ん……」
「あ、そうだ。お前達、明日からはダンジョンだからな。今日は、早めにゆっくり寝るんだぞ?」
「タカシさんが変な事しなければ、皆ぐっすり寝ますよ」
「ミリアがそういうなら、じゃあ、変なことしようかな」
「ちょ、な、な何でそうなるんですか! 寝かせてください!」
「タカシ、ファラのお仕置きは?」
「あぁ、そうだったな。じゃあ、今日はファラをお仕置きするだけにしよう。お前達はちゃんと寝てくれ」
「タカシ様! 私は! 私にも!」
「お前はお預けだ。黙って寝ておけ」
「そんな……」
風呂から順に上がり、ファラとパルパロの体を拭いた後、下着を穿かせてあげる。
「ボスすげぇ! やっぱすげぇ人なんだ!」
「ね。すげぇ! 何者なの!?」
パルパロが何か言っているが無視しておく。
マルカとミュウは早々メイド部屋に逃げたので、大人しく寝室に移動して、ミリアはランとルリアに火魔法を、マリーはパルとパロに風魔法を教えるよう伝えておく。
使徒をセットしたので、練習したらその内覚えられるだろう。
「ファラ、お前にはお仕置きだ」
「うん」
「今、召喚獣とはどのくらいシンクロできる?」
「しん、くろ?」
「あぁ、感覚をどの程度共有できる?」
「いっかしょならかんぺき。全身はまだムリ」
一ヶ所なら完璧なのか。頑張ったな。
完全にシンクロすることも、近い内に出来るようになるだろう。
「じゃあ、どのくらい思ったモノを召喚できる?」
「人型は八割くらい。タカシが前言ってたからちゃんと練習した」
「そうか。偉いぞ!」
「ふ」
ドヤっていたので、抱き寄せて頭を撫でてやる。
疑似ミリアを、ミリア本人の目の前で犯せる日も近いな!
「よし、全力でミリア作成の練習を今後も続けてくれ」
「わかった」
「自分を召喚できるか?」
「首から下はできる。でも顔が分からない」
「やってみてくれ」
ファラが手をかざすと、ベッド下の床に魔法陣が現れ、魔法陣の中からニョキニョキと人型の召喚獣が現れる。
――シュゥゥゥッ
人型なのに召喚獣というのも変だよな。でも、召喚人だと違和感がある。まぁ、良いか。
「今はこれが限界」
「そうか。じゃあ、これと感覚を共有してみてくれ」
「わかった」
人型召喚獣を抱き寄せ、色々な箇所を触って確かめる。
人型なだけで、人ではないから体はひんやりしていて冷たいな。
「んっ」
胸や下腹部を触ると、ファラが反応しているのが分かる。
「ほら、この感覚を味わいたかったら共有を頑張れ」
「う、うん……」
しばらくはこれの練習だな。
「うぅ……タカシ、もうむり」
「ダメだ。まだ練習しろ。これはお仕置きなんだから」
中途半端な感覚がもどかしいのだろう……モジモジしている。
「んぅ、はぁ、はぁ、んっ」
ファラのMPを確認すると、消費がかなり激しい。
慣れない事をやっている弊害なのだろうか。これじゃ、まだまだ実戦――実践では使えそうにない。練習が必要だな。
「タカシぃ……まだ、やる、の……?」
「まだだ。がんばれ」
人型召喚獣の隅々まで、イヤらしく触れる。
肌の弾力は、かなりクオリティが高く召喚できているが、重さや肌の感触などはまだまだだな。これも練習だな。
――スゥ……
そんな事を考えながら人型召喚獣を触っていると、突然召喚獣が消えてしまう。
どうやらMPが尽きたようで、ファラがその場に倒れ込む。
今日はこんなものだろう。
「ミリア」
「はい、何ですか?」
「ファラが力尽きたから、俺も寝る。後は頼んだぞ」
「はい、分かりました!」
ファラを寝やすいように移動させ、腕枕をして一緒に寝る。
●パル・トロイト
エルフ、右尻に奴隷紋、パロの姉
13歳,151cm,38kg
B74,W54,H74
一人称:アタイ
愛称:ボス、パパ
ジョブ:討伐者
特徴:天真爛漫、笑顔、お調子者
●パロ・トロイト
エルフ、左尻に奴隷紋、パルの妹
13歳,151cm,39kg
B76,W56,H76
一人称:アタシ
愛称:ボス、パパ
ジョブ:討伐者
特徴:耳年増、笑顔、人見知り




