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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
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第8話 お尻

 奥に行ったおじいさんを見ていたら、ミリアが抗議してくる。


「ねぇ! あなたも、何なんですか! 訂正してくださいよ! 何か私一人が騒いでるみたいじゃないですか!」

「え? 別に訂正するところ無くない? お義母さんがミリアの為に言ってくれてることだし、話合わせないと」


 口をパクパクさせた後、顔を真っ赤にして、あーもう! と顔を両手で覆うミリア。かわいい。


「お待たせしましたね。これから二人で頑張るんだよ? 職員皆応援してるからねぇ」

「はい、がんばります!」


 ミリアはまだ真っ赤になった顔を両手で覆い、もうやだ……とか言っているので、代わりに答えておく。

 顔を覆っている左手の甲に返してもらったミリアのカードを当てると、そのままスーっと消えていった。渡そうとしただけなのに、こんなこともできるのか。相変わらず便利だなこれ。


 依頼を受けると言ったものの、何を受けるべきか分からない。ミリアに相談しようにも絶賛顔面防御中だ。相談したいんだがなぁ。


「ねぇミリア。何を受けたら良いと思う?」

「何でも受けたら良いじゃないですか!」


 まだ怒っているらしい。


「ほら、もう許してよ。ね?」


 そういって頭をナデナデしてあげると、ミリアはハッとなって顔面防御を解除。赤い顔のままこちらを睨んでいる。

 そこで今まで傍観を決め込んでいた、冒険者数人がこちらに向かってきた。


「おい! お前! 俺らのミリアちゃんに何してくれてんだ!」

「何でお前なんだよ!」


 何かよく分からないが、俺とミリアがイチャイチャしていたのが気に食わない様子だ。俺らのって何だよ。ファンクラブか何かか?


「えっと、ウチのミリアとはどういうご関係ですか?」

「ちょっと! ウチのって何ですか! これ以上誤解を招くようなこと言わないでくださいよ!」


 怒鳴っているミリアを見たことないのだろうか。絡んできたくせにちょっと戸惑っているぞ? こいつら。


「お前こそどういう関係なんだよ!」

「そうだ! お前見かけない顔だけど、どこの誰なんだよ!」


 ファンクラブか親衛隊か知らんが、ミリアに好意があるのは確かだろう。変な虫が付くのはお義母さんに申し訳ないから、ここはガツンと言うべきだろうな。


「(パーティーで)将来を共にする関係ですが?」

「なっ! そんなわけねーだろ! ミリアちゃんにそんな奴ができるはずないだろ!」

「できるはずないってどういうことですか! 私だって女ですから、そんな人くらいできますよ!」


 キレるところはそこじゃないとは思うが、何か癇に障ったのだろうか。何故かミリアが言い返している。これは面白い。


「なっ!? そ、そんな……」

「話は本当だったのかよ……」


 絡んできたファンクラブ会員(仮)共はフラフラになりながら後ずさり、その場を後にする。

 そんな彼等を見て、周りに居た奴等もヒソヒソ話から次第に声が大きくなる。


 職員はおっさんとおじいさんばかりで、その中に小さくてかわいい女の子が居れば、惚れるのは仕方ないよな。

 うん。俺だって他人事じゃないし。


 何か次第に声は大きくなってきた。しかも俺の悪口ばかり聞こえるし。今にも数人こちらも来そうだ。

 このままではまずいので、収集と討伐の依頼だけ詳細は見ず全て受領し、ミリアの手首を掴んで、足早にギルドを出る。


 後ろからは、逃げたぞ! とか、殺っちまえ! とか聞こえる。物騒だな、おい。まぁ良い。気にしないでおこう。


「あ、あの。あなたは何でそんなに嫌われてるんですか!?」


 ミリアが手を引かれるまま静かに付いてきているなと思っていたら、そんな事を考えていたらしい。


「えっと……大げさかもしれないけど、あの状況でミリアがそんな人できる! なんて言っちゃったら、この人が私の結婚相手ですって言ってるようなものだよ?」

「そんなわけ……な……」


 ミリアの顔が真っ青になり、赤くなり、更に青くなる。そしてふっと力が抜けるのが分かった。

 どうやら状況を把握し、頭がショートしたらしい。倒れそうになるので、後ろから支えてあげる。

 その時、偶然、本当に偶然、後ろから回した手がミリアの胸を覆う形になってしまった。


 小さいな。というか無いな。


「おっと、ダイジョウブ?」

「あぅううぅ……」


 胸を揉んでいる手に気が付かないくらいショックだったらしい。今日はもう無理だろうか。

 でも、依頼を全部受けちゃったしなぁ。ひとまず森の近くまで移動して落ち着くのを待とう。


「ミリア、ほら、おいで」


 ミリアの前で腰を下ろし、おんぶの態勢を取ると、ぽふっと背中に乗ってくる。

 もう、恥ずかしいと思う余裕すらないようだ。何、この子、軽い。そしてお尻が柔らかい。もみもみ。


「ひとまず移動するよ。森まで行くから休んでおいて」

「うぅ……」


 ミリアをおんぶして、門を抜けようとするが、そうはいかない。


「おい!」


 出た。奴だ。


「ちょっ! 静かにしてください! この子寝てるんですから」

「俺の目の前でそんな小さな子を攫って街から出ようとは良い心がけだな! そこに直れ!」


 どうやら俺が誘拐をしているように見えるらしい。昨日の今日だ。確かにおんぶを許すような、こんなかわいい子が知り合いに居るとは思わないだろう。


「違いますよ! 宿屋さんのところの子です! この子のお義母さんから頼まれて、今日からパーティー組んでるんですよ!」

「そんなウソが通ると思っているのか!」


 昨日はあんなに良くしてくれたのに。何で信じてくれないかなぁ。


「信じられないなら、宿屋のミーアさんに直接聞いてくださいよ。依頼の為森に行かないといけないので、それでは!」

「おい! 待て! 本当なんだろうな!」

「俺がカッシュさんに嘘吐くわけないでしょ! 信じてください!」


 カッシュは驚いて、そ、そうか……とか言ってるけど、名前言っちゃったけど大丈夫だったかな。まぁ、適当に誤魔化せば良いか。


「分かった信じよう。但し、お前を疑うわけではないが確認しておくからな!」

「それを疑っているって言うんですが仕方ないです。夕方過ぎには戻りますので」

「おう、ちゃんと帰ってこいよ」


 名前の件は特に触れられなかったので、名前は昨日の内に調べて知っていたことにしておこう。モミモミ。

 俺は早く門から離れてミリアのお尻を堪能……じゃなかった。モミモミ。

 ひとまずモンスターの出ないところでゆっくりしながら、依頼の確認でもしよう。モミモミ。

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