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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
88/145

第87話 ヤキモチ

 翌朝……相変わらず、おかしい。

 寝る時はランを抱き枕にしていたはずなのだが、やはりファラにすり替わっている。俺が寝ている間に何があったのか……。


 ファラをゆっくり引き剥がし、外を見ると、まだ暗い。

 そこで何処からか食べ物の匂いがすることに気が付いた。

 恐らく、マルカが朝食の準備をしてくれているのだろう。メイドだから当たり前なのかもしれないが、朝起きて、既にご飯が出来ているというのは嬉しいものだな。


 そんなちょっとした幸せを感じながら、静かに部屋の外へ出る。


 予想通りマルカが朝食の準備をしていたが、誰かと話している。


「こっちは終わったです。そっちは何やってやがるですか?」

「みゅーちゃんに切ってもらった物を炒めるんだよ」

「みゅもやるです。覚えるです」

「うん、じゃあ見ててね」


 ミュウとマルカの会話を聞くと、俺と喋っている時のマルカとは思えないほど、普通に、噛まずに喋ってるな。

 雇い主の喋ることが緊張するのは分かるけど、ショックだな。

 試しにゆっくり近付き、二人に話し掛けてみる。


「二人ともおはよう」

「お、おはようごじゃます!」

「出やがったです!」

「出やがったとは何だ。朝はおはよう、だろう?」

「お、おお、おは、よう、です」

「そう。朝はおはよう、だ。良く出来たな。偉いぞ」


 頭を撫でてやる。ちょうど良い高さに頭があるので、撫で易い。


「ふふん、みゅはやればできるです」

「わ、わたしもできるでしゅ!」

「はいはい、偉い偉い」


 二人の頭を撫でてやる。

 このまま、ミュウの言葉遣いが感染しなければ良いが……。


「もうできますので、タカシしゃまは、すすわてお待ちください」

「ありがと。じゃあ、ミュウ。皆を起こしてきてくれるか?」

「みゅは料理見るので忙しいです。エロ魔人が行くです」

「はいはい、分かったよ。ミュウ、覚えてろよ」

「ふふん、悪役のセリフです。みゅが勝ったもどーぜんです」


 確かに悪役の捨て台詞っぽくはあるが、ミュウに負ける要素が、何もない。その内ヒーヒー言わせてやる!

 二人を残し、皆の寝ている部屋に戻る。

 部屋に入ると、既に皆起きて、着替えている最中だった。


「きゃあっ!」

「タカシ、おはよ」

「おはようございます、タカシ様」

「おはよー」


 ミリアの恥じらう姿が心地良い。


「お前等三人には、もう恥じらいというものがないようだな」

「はじ、らい?」

「あるにはありますが、その、タカシ様には、もう既に、隅々まで見られておりますので……」

「だって、この屋敷ってタカシくんしか男居ないもん」


 ファラは良く分かってないようだ。マリーとランは、間違っちゃいないが、うん、何かもう考えるのが面倒になった。


「飯が出来るから呼びに来たんだよ。ほら、早く着替えなさい」


 そう言いながら、ミリアに近付く。


「わ、分かりましたから、近付かなくてもよくないですか?」

「あれ? ミリア、胸大きくなった?」

「えっ? 本当ですか!?」


 まぁ、嘘なんだけどね。


 朝だから、少し寝惚けているのだろう。ミリアは朝弱いしな。

 隠していた手を解き、両手で下乳を上げたり下げたりしている。持ち上がる物は無いのに。


「ほら、こことか」

「みゃんっ!」


 きゅっと摘まんであげると、何か可愛い声が聞こえた。

 初めて聞く声だな。


「な、なな、何してるんですか! 朝っぱらから!」

「目が覚めたようだな。それじゃあ飯に行こうか」

「もう! 初めから起きてます!」


 そのまま放置して部屋を出る。

 リビングに戻ると、女の子達も起きてきていたようだ。さっきのミュウと俺の会話で起きたのかもしれない。声が大きかったしな。


「皆、おはよう。ちゃんと眠れたか?」

「おはようございます! はいお陰様で!」

「タカシさま、おはようございます」


 次々に挨拶をされるので、適当におはようと答えておく。


 マルカとミュウの二人では、一度に全員分の食事を用意する事ができなかったようなので、先にウチのメンバー分と獣人の子達の分だけ用意してもらう。


「ミリア、今日は一日皆をフリーにする。お小遣いもあげるから、買い物したり自由に過ごしてくれ」

「タカシさんは……?」

「俺は女の子達を送り届けてくる」

「分かりました」


 さすがに女の子達の前で、パーティーメンバーだけにお小遣いを渡すのは気が引けるので、後で渡そう。


「何処か行きたいところはあるか?」

「うーん、私は協会の書庫に行ってみたいです」

「どこの街の協会だ?」

「ザクゼルかオスルムです」

「あー、ザクゼルか。あそこ一回会員になるの断られているから、オスルムにしておこう」

「うーん、そうですね。お願いして良いですか?」

「分かった。任せろ」


「ファラは?」

「おはか」

「墓? あぁ、ママのところか」

「うん」

「分かった。じゃあファラもオスルムな」


「マリーは?」

「私は、特に……。まだタカシ様のお役に立てませんので、魔法の練習でもしておきます!」

「そうか」


「ランは?」

「うーん、ランも特にないんだよね……あ! 可愛い部屋着とか、下着とか欲しいかも!」

「おぉ、それは良いな。俺が脱がす楽しみも増えるし」

「べ、べつに、その為だけじゃない、よ? 単に欲しいだけだよ」

「俺の事も考えてくれてるんだな。ありがとな」

「ち、ちがうって! もー! 皆居るじゃん……」


 これで皆の予定は決まったな。ただ、マリーが一人可哀想だし、何とかしてやるか。


「それじゃ、小遣いはミリアとランに預けておく。遠慮なく使ってくれ。あと、折角だから、マリーもランと買い物に行ってこい」

「はい! ありがとうございます!」

「あと、ランには多めに渡しておく。ついでに、皆の下着を買っておいてくれ。とびっきり可愛いやつを、な!」

「任せてよ!」


 ランはアホだけど、一応姫だ。姫のセンスを信じよう。

 マリーも居るし、大丈夫だと思いたい。


「わ、私は、見せる為じゃないので……その、普通、普通ので!」

「あ、ファラ、ミリアにお小遣い渡しておくから、花とか甘い物を好きに買って良いぞ」

「うん、タカシ大好き」


 ミリアが空気を読まない発言をしていたので、無視してファラに話を振っておく。……大好き、か。憂い奴め!


 そんなやり取りをしている間に食事が終わる。

 獣人の女の子達も食べ終わっていたので、話し掛ける。


「まずはキミ達を送っていくよ。準備してくれ」

「「はい!」」


 獣人の子達はバタバタと部屋に戻って行き、他の子達は談笑しているので、今の内にミリアには2金、ランには5金渡しておく。

 まだ金銭感覚が良く分からないので、適当ではあるが、これだけの大金があれば、何でも買えるだろう。


「こんなに!?」

「これなら好きなの買えそうだよー。ありがとー」


 予想通りミリアは驚いているな。でもまぁ、たまには、な。


 そこで女の子達が戻ってきた。


「お待たせしました!」

「すみません、挨拶してきました!」


 用意するように言ったけど、そういえば持ち物なんて俺があげた雑貨くらいしかないよな。

 バタバタしていたのは、他の子に挨拶を済ますためだったのか。偉いな。良い子達だ。


「ファラ、こないだの肩に乗ってた子を一匹召喚してくれないか」

「ん?」

「お前達をいつ迎えに行けば良いか分からないだろう?」

「わかった」


 ファラに、狸のような猫のような召喚獣を召喚してもらい、肩に乗せる。


「ねね、ラン達はどうすればいいー?」

「お前達はクドラングだし、歩いて戻って来い」

「えぇー。ラン達だけ扱いひどくない?」

「アバンさんに馬でも借りなさい」

「ぶーぶー。分かったよ……」


 文句を言っているけど、何とかしてもらおう。


「それじゃあ、ラン、マリーいくぞ」

「はーい」

「はい!」

「ミリアとファラは少し待っていてくれ」

「分かりました」

「ん」


 ランとマリーには肩に手を乗せてもらい、女の子達には、こちらから肩に触れ、城門に飛ぶ。


――シュンッ!


「ぬぁあ!? ひ、姫様!?」


 また門番を驚かせてしまう。

 今回は突然現れた俺ではなく、ランへの驚きが大きいようだ。


 ランにアバンを呼んでくるよう伝え、門の外で待つ。


「おはようございます、タカシ様。今日はどのようなご用件で?」

「おはようございます、アバンさん。えっと、今日は、この子達が盗賊に捕まっていたので保護してきました」

「なんとっ!?」

「それで、この子達を村まで送り届けてくれないかと思いまして」

「もちろんですとも! キミ達、怪我などはなかったのか?」

「はい! 良くしていただきました!」

「まだ住まわせていただきたかったくらいです」


 嬉しい事言ってくれるねぇ。奴隷になるなら喜んで、と言いたいところではあるけど、奴隷になる前に救ったのに、俺がこの子達を奴隷にしてしまったら何の意味もないもんな。


「タカシ様、同胞をお救いくださり、ありがとうございます。王に代わり、お礼申し上げます」

「いえいえ、私用で盗賊狩りをしたら、偶然この子達が囚われていただけなので、そこまでお礼を言われるほどの事ではないですよ」

「この子達は、必ず家まで送り届けます」

「俺が行けば良いんですけど、場所が分からないので助かります」


 これで、まず二人終わった――あ、いや、まだだ。


「キミ達、ちょっとこっちに来てくれる?」

「え?」

「はい?」


 アバンやマリー達から少し距離を取り、神口を発動して、ミュウが奴隷ではなかったと伝えておく。

 記憶を操作するのは初めてだけど、うまくいくかな……。

 念の為、口頭でも伝えておく。


「俺がやったことや、俺が使った魔法は内緒だよ?」

「は、はい」

「もちろんです!」


 口止めも終わったので、解放する。


「もうお話しは終わりですか?」

「はい、もう大丈夫です。あぁ、それと、マルカの事なんですが、ウチで俺専属のメイドを一人雇う事になったんですよ」

「ほほう、流石タカシ様ですね」

「でも、その子はまだ子どもでメイドなんて初めてだから、しばらくマルカに色々と教えてもらいたいんですが……」

「あぁ、そういうことですか。えぇ、大丈夫ですよ。ただ、見習いなのでお役に立てるかどうか心配です」

「十分世話してもらってますよ。えと、そこでご相談なんですが、メイドってどのくらいお給料をあげたら良いですかね?」


 流石に無給で仕事をさせるのは酷だ。

 見習いとはいえ、未経験の子に家事を教えてもらうだけの為に、ウチに居てもらうのだから、給料は出しておかないとな。


「ふーむ、メイド長までになると月4、5金ほど出していますが、あの子はまだ見習いの身。1金もあれば高給ではないかと」

「なるほど。参考にさせてもらいますね」

「また追加でメイドが必要な際はお声掛けください」

「はは、二人も居れば十分ですよ」


 メイドだらけになっても困るし。でも、夜のご奉仕をしてくれるメイドであれば大歓迎で雇うが。

 そんなメイドは居ないだろう。それなら、奴隷を買えって話だ。


「それじゃ、この子達のことお願いしますね」

「確かに承りました」

「最後に、マリーとランを残していきますが、自由にさせてやってください。ただの買い物なので」

「はい、分かりました」


「それじゃ、マリー、ラン、例の物、任せたぞ?」

「分かってるよー。とびっきりの選んじゃうんだから!」

「お任せください!」


 こっそり、マルカとミュウの下着もお願いして、頼もしい言葉を聞きながら屋敷に戻る。


 あぁ、かわいい下着が楽しみだ。

 マルカとミュウも、その内下着を脱がせられるような関係になると良いな。いや、なろう!


「お待たせ」

「いつでも大丈夫です」


 ちょうど、ザクゼル組も朝食を食べ終わっていたようで、ミリアから準備完了の報告を受ける。

 これからMP消費が激しくなるので、先にマナポーションを飲み、女の子四人と手を繋いでザクゼルに飛ぶ。


 そのまま門を抜けて、騎士団の詰所に入る。


「おはようございます」

「あぁ、おはよう。朝早くからどうしたのだ?」

「盗賊団ヴェルムについてお話があるので、騎士団長さんをお願いできませんか?」

「む、何か事件か?」

「幹部を捕えたので、その報告です」

「それは真か!? うーむ、しかし、まだ団長は来ていないのだ。呼びに行くので、ここでしばし待たれよ」


 奥の部屋にある椅子を案内された後、待つように言われたので、女の子四人に座ってもらう。


「ちょっと盗賊連れてくるから、待っててくれ」

「分かりました。お気を付けて!」


 ちょうど部屋には騎士などが居なかったので、屋敷の地下室前に戻り、鍵を開けて、ヴェルムファミリーを連れて詰所に戻る。


「わぁっ!?」

「あぁ、すまん驚かせたか?」

「戻るのが早すぎてびっくりしました」

「あぁ、行って、触れて、戻るだけだからな」


 連れてくると言ってから、二十秒くらいしか経ってないもんな。


 準備が完了したので、神口を発動。

 奴隷解除や、俺が使った魔法などを忘れさせておく。


 神口での処理が終わったところで、ちょうど人が入ってきた。


「待たせたな。ザクゼル騎士団、団長のソーン・アス・パラスだ。キミか、ヴェルムの幹部を捕えたというのは?」

「どうも、俺は冒険者のタカシ・ワタナベです。捕えたヴェルムはこいつらです」

「どれ……ぬぉ!? ガインではないか! これはお手柄だぞ! こいつはヴァンの息子で――」

「あぁ、ヴァンも居ますよ」

「なにいいい!?」


 一番手前の布団だけ剥いで確認していたので、その横にヴァンが居ることを教えてあげる。

 目を見開いて、こちらを睨んだまま固まっている。そこまで驚くこと……だよな。ボスだもんな。


「ガインとヴィルは、訳あって殺してしまったんですが、ヴァンは生かしてます。確認してください」

「ほ、本当にワタナベくんがやったのか!?」

「はい。ただ一人でやったわけじゃないですけどね。パーティーで奇襲を掛けて討伐したので」

「そ、そうか……我々も何年にも渡ってやり合ったのだが、よもや冒険者に遅れを取るとは……」


 冒険者に先を越されて悔しいのか、床を殴っている。

 でもまぁ、脅威が去ったのだから良いじゃないか。


「それで、この子達が捕えられていたので保護してきました」

「そうか。ご苦労であった」

「この子達のこと、お願いできますかね? 可能であれば、家まで送ってあげてほしいんですが」

「ヴェルム討伐に比べれば、お安い御用だ。おい、今日周辺の村を回る部隊があるだろう。彼等に送らせろ」

「はっ」


 初めに応対してくれた騎士に、指示が出る。


「タカシ様、このご恩は忘れません!」

「村の近くに来られましたら、是非お声掛けください!」

「ありがとうございました!」

「また、お会いできます、よね?」


――ペシペシ!


「……あぁ、皆元気でな。また会おう」


 一人だけ脈がありそうな子が居たけど、ファラが聞いていたか、召喚獣が肩ではなく頬を叩いてきたので、無難な挨拶をしておく。

 危うくアドレス交換――もとい、住所を聞くところだった。


 女の子達は騎士と一緒に外に出ていく。


「報酬なのだが、今はここにない。しばし時間をくれぬか?」

「大丈夫です。待ちますよ」

「そうか、助かる」


「あぁ、それと、ついでにこいつらのアジトを壊滅させたんです。そこに盗賊どもを捕えているので、回収していただけます?」

「なんと……キミ達はどれだけの大部隊で奇襲を掛けたんだ!?」

「少々大きめの火力で……それより、どうでしょう。回収していただけるなら、場所をお教えしますけれど」

「ヴェルムのアジトは把握しておる。今から出立したとして、回収したとしても、戻るのは夕方だな……」


 こちらをチラチラ見ながら、時間を気にしている様子だ。

 あぁ、報酬を渡すのが遅れることを気にしているのか。


「報酬はそれからでも良いですよ。俺もこれから用事があるので」

「そうか! すまぬな! では早々用意しよう。盗賊共は何人ほど捕獲したのだ?」

「うーん、46人だったと思います。全員手足は拘束はしていますが、ただ埋めて生け捕りにしているだけなので、土から出す時には注意してくださいね」

「埋めっ!? 46人を埋めるとは……キミ達のパーティーには、高名な魔導士でも居るのか!?」

「はい。でも、盗賊狩りなんかやったとバレたら、協会に怒られるかもしれないので、内緒でお願いしますね?」

「ふむ、そうだな。世の為になることをしたとしても、あいつらはうるさいからな。分かった、約束しよう」


 念のためカードを見せてくれ、ということだったので、ジョブを魔術士に変えて見せておく。

 盗賊間の裏切りかもしれないと疑われたのだろうか。何事も確認しておくのは騎士団の仕事でもあるのだろう。

 カード確認後、団長が紙に何かを書いて渡してくる。何が書いてあるか分からないが、団長が言うには、名前と顔だけでは不安なので、この紙と交換で報酬をくれるらしい。

 律儀だな。まぁ金額も大きいだろうし、証書は必要か。


「これで大丈夫だな。それにしても、キミも魔術士だったのか」

「えぇ、まだまだウチの魔導士には叶いそうにありませんが」

「そう謙遜するな。ヴェルムを捕えたのだ。大したものだ」

「ありがとうございます。それでは、また夕方顔を出しますね」

「あぁ、我々も急いでアジトに向かうことにしよう」


 詰所を出て、団長が見えなくなったところで、屋敷に戻る。

 次はオスルムだ。


「ミリア、ファラ、お待たせ」

「いえ、いつでも行けます!」

「はやくいこ」


 ファラが待ちきれないようだったので、すぐにミリアとファラ、オスルムに送る三人と手を繋いでからオスルムに飛ぶ。

 オスルムでは、騎士団には行かず、パーシルの所に向かうつもりなので、ミリアとファラは先に解放しておく。


「後は俺がやっておくから、ミリアとファラは行っておいで」

「え、でも。別に急ぎではないですから」

「ファラを見ろ。……な? だから、行っておいで」


 ファラがずっとソワソワしているのが分かる。珍しい。

 ミリアもそれに気が付いたようで、クスクス笑っている。


 いつもはあまり表情の分からないポーカーフェイスなんだけど、好きなお菓子や果物を買って良いというだけで、これだ。


「ふふ、ファラは本当甘い物が好きだね」

「好き。タカシと同じくらい」

「あ、そうだ。ミリア。ジョブについて調べてきてくれないか? どんなジョブがあるか、条件や、派生ジョブ、上位ジョブとか」

「はい、任せてください! それじゃあ、行ってきますね」

「おう、調べものを頼んでおいて言うのもなんだけどさ、ミリアもちゃんと楽しんでこいよ? ファラは、帰る時教えろよ?」

「はい!」

「わかった!」


 ミリア、ファラと別れ、パーシルの館に向かう。

 その道中で神口を使い、諸々を忘れさせておく。


「これはこれは、タカシ様。本日はどのようなご用件でしょうか」


 門番にパーシルへの面会を頼むと、執事のヴェルトが出てきた。


「オスルム領地の女の子達が、盗賊に囚われていたので、保護してきたんです」

「それはそれは、領民をお助けいただき、ありがとうございます。ただ、現在、主は留守でして……」

「そうなんですか。では騎士団にでもお願いしてきますかね……」


 仕方なく騎士団に行こうとすると、引き留められる。


「いえ! タカシ様がこうやって我が主を頼って来られたのです。ここは、私の方でお預かりさせていただきます!」

「そうですか。ではお願いできますか? この子達を故郷まで送り届けて欲しいんですが」

「もちろんです。すぐにご用意させていただきます」


「助かります。じゃあ、キミ達、もう捕まらないようにな?」

「はい!」

「もうお別れなのですね……」

「ありがとうございました!」


――ペシペシ!


 分かってるって……普通にお別れすれば良いんだろう?


「また会おうな!」


――ペペペペペぺ!


 痛い! つめ、爪はやめて!


「いてて……、じゃあ皆元気でな! ヴェルトさん、あとはお願いしますね? パーシルさんにもよろしく言っておいてください」

「はい、お任せくださいませ」


 手を振って別れを告げる。


「痛いじゃないか。別に何もしていないだろう?」


――タシ!


「お小遣い無しにするぞ?」


――タシタシ! タシ……


「うそうそ、ごめんな。ただのヤキモチだったんだよな?」


――ポン!


「そっかそっか。後で可愛がってあげるな?」


――ポン!


 召喚獣相手だと、何故かファラの感情が良く分かるな……。

 そんな事を考えながら、召喚獣の頭を撫でつつ、屋敷に戻る。

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