第86話 ミュウ
ミリア達は既に捜索が終わっていたようで、建物跡に腰を下ろして休憩していた。
マナポーションを飲みながら、四人の所まで歩いて行く。
「あ、タカシさん、おかえりなさい!」
「おかえり」
「おかえりー」
「おかえりなさいです」
「おう、ただいま」
見る限り、盗賊も奴隷も居なかったようだな。
「奴隷は居なかったようだな。良かった」
「はい。ただ、そこに地下に続く扉みたいなものがありまして」
ミリアの指差す方を見ると、建物の奥の床に、鍵の掛かった扉があったので、試しに魔眼を使って確かめてみる。
「お、人が居るみたいだな。いち、に――六人居るな」
「鍵を掛けるくらいですから、仲間じゃないですよね」
「そうだろうな。ちょっと見てくる。念の為警戒しておいてくれ」
「分かりました」
鍵を壊し、中にある階段を下りてみる。
暗かったので火を灯して、中を見てみると、女の子が六人居た。やはり捕えられていた人が居たのか。
獣人二人、人間二人、エルフ一人、魔族一人か。それにしても、皆小綺麗だな。盗賊にしたら大事な商品だし、当たり前か。
女の子達は特に拘束等はされておらず、皆意識があるようだったので、そのまま話し掛ける。
「やぁ。俺は冒険者だ。助けに来たぞ。ここから出たい子は、俺に着いてきてくれ」
警戒されているようで返事は無かったが、そのまま背を向けて下りてきた階段を上っていくと、皆立ち上がり後ろに着いてくる。
「やっぱり、捕えられていた人が居たぞ」
「気が付いて良かったです!」
「ファラが見つけた」
「そうかそうか。良くやったぞ」
ファラを撫でていると、ミリアが不服そうな顔をしていたので、ついでにミリアも撫でてあげる。
「ミリアも良くやった」
「えへへ。今日は自分でも良く出来たと思います!」
この笑顔、久し振りに見た感じがするな。
「それで、この方達どうしましょうか」
「そうだな。とりあえず屋敷に連れて行くか」
「そうですよね。まだ部屋は余っているので、大丈夫かと」
「えっと、この中で奴隷にされた子居るか?」
――スッ
魔族の子が手を挙げる。
「一人だけか? 今ちゃんと言ってくれないと、奴隷紋が発動して死んじゃうからね?」
……。
“死”という言葉に反応して皆青い顔になっているが、結局奴隷だったのは魔族の子一人だけみたいだな。
「それじゃあ、今から安全なところに連れていくから、皆横の人と手を繋いでくれ」
手を繋がせて、更に一ヶ所に集める。
最後に魔眼を使い、森や丘、湖の方を見て人が居ないか確認するが、問題ないようだったので、ミリア達も回収する。
「もう盗賊は居ないみたいだし、お前達も俺に触れてくれ」
「はい!」
「ん」
「はーい」
「はいです!」
まだMPに余裕はあるので、皆で一緒に屋敷に帰る。
盗賊の雑魚共は手足を縛って埋めているし、明日にでも騎士団に通報しに行こう。
――シュンッ!
「きゃぅ!?」
屋敷の空いている部屋に移動したつもりが、マルカが居た。
相変わらずタイミングの悪いところに居るな。
「お、おかえりな、しゃいましぇ!」
「ただいま。ミリア、風呂を沸かせて彼女達を入れてくれ」
「分かりました!」
「マリー、お前は晩飯の準備をしてきてくれ」
「はいです!」
「ファラ、ラン、お前達は買い物に行くから着いてきてくれ」
「おやつ!」
「はーい」
皆にそれぞれ仕事を与えて、リビングに移動すると、女の子達がそれぞれ思い思いの過ごし方で寛いでいた。
「あ、タカシ様。おかえりなさい」
「タカシ様だ!」
「おかえりなさーい!」
二日目だけど、もう慣れたのか。女の子ってすごいな。
「あぁ、ただいま。また捕えられていた子達を連れてきた。明日までだが、皆仲良くしてやってくれ」
「はい! 当然です!」
「えー、私まだここに居たいぃー」
「よろしくお願いします!」
俺の性奴隷になるなら、ここに置いてやっても良いぞ! とは、ミリアが居たので言えなかった。
「タカシさん、お風呂いつでも大丈夫です!」
「じゃあ、キミ達も手伝ってあげて。一緒に入りたい人は一緒に入ってきても良いよ」
「はい!」
「はーい!」
女の子達に全て任せ、調理の準備をしているマリーの方へ行く。
「マリー、ちょっと人数が多いから大変だと思うが、皆に手伝ってもらってくれ。食材が足りなければ、ミリアから貰ってくれ」
「はい、分かりましたです!」
「じゃあ、ファラ、ラン、行こうか」
「うん」
「はーい」
――シュンッ!
まずは服屋の前に行き、一人二枚になるように、紐でサイズ調整ができる服を二十着ほど買う。
次に食料を大量に買う。ランが肉担当、俺が野菜担当、ファラが果物担当という感じだ。
最後に足りなくなった布団や雑貨などを人数分買って、終了。
それにしても、こんな大量の食料を買うことになるとは、思ってもみなかった。6金も払うことになるとは……主にファラが選んだ果物に高価な物が多かったというのはあるが。
「食料って生活していく上で一番お金掛かるよな」
「どうなんだろー。考えたことないかな」
「甘いは美味しい。美味しいは高い。高いはお金。お金は必要」
ファラが無い胸を張って、何か哲学っぽいことを言っているが、欲まみれのただの願望じゃねーか。
とりあえず甘い物を与えておけば大人しいから助かっているが。
「さて、買い物も終わったし、何か欲しい物はあるか?」
「お菓子!」
「うーん、特にないかな」
「よし、じゃあ帰るか」
「お菓子!」
ファラを肩車して、ランの肩に手を乗せ、屋敷に帰る。
――シュンッ!
「痛い痛い。ファラ止めて、禿げる」
ファラがギュッと髪を握り締めていたので、手を払い退ける。
禿げたらどうするんだよ。
「お菓子なら、作って……あっ、ファラにプレゼントがあるよ」
「お菓子?」
「違う、これなんだけ……痛い、痛いって!」
違うと言った瞬間、また髪を握ってきたので、インベントリから攪拌機出してファラに握らせる。
「お菓子を作る道具だよ。これでお菓子を作ってくれ」
「なにそれ」
「これを使うとお菓子を速く作れるんだ」
「……ん?」
初めて見る機械だろうし、分からないよな。
「そのハンドルを回してみな」
「ん。こう?」
「そうそう。ほら、下の部分が回るだろう? いつも粉を棒でぐるぐる混ぜているの大変だっただろう? これを使ったら棒で混ぜるより、速くなると思わないか?」
「っ!?」
肩の上からぐるんと回って着地し、そのまま部屋を出て行った。
「タカシくん、ファラちゃんには甘いよねー?」
「そうか? 俺はお前の事も同じくらい大好きだぞ?」
「もー! またそうやって……でも、親子を見ているみたいでさ、微笑ましいよー。親子って、こんな感じなんだなーって思う」
「よし、ラン。俺と子どもを作ろう。微笑ましい家庭を築こう」
「えー、そんな話をしてるつもりなかったんだけどなぁー。でも、まぁ、タカシくん優しいし、悪い気はしないよー。ありがとっ」
部屋に雑貨や布団などを置き、照れているランの肩に腕を回し、イチャつきながら部屋を出ると、早速ファラが何かを作っていた。
マリー達の邪魔になってはいるけど、料理もほとんど出来ているみたいだし別にあのくらいは良いか。
新しく保護した女の子達はまだミリアと風呂に居るようだったので、ランに服を渡して風呂に向かわせ、椅子に座る。
「タカシ様、おかえりなさい!」
「もう少しで料理できます!」
「うーい」
こんなに沢山の女の子達に囲まれて幸せだな。明日には、居なくなってしまうんだけど。
あぁ、そういえば、新しい子達のテーブルと椅子が無いな。
作っておくか。
庭に出てからマナポーションを飲んで、人数分のテーブルと椅子を作り、空間魔術で運ぶ。
元からあったテーブルに繋げるようセットしたところで、料理を並べていた女の子達が寄ってきた。
「わお、タカシ様、すごいですね! そんな事もできるんですか」
「あぁ、一通りの魔法は使えるよ」
「すごいです!」
「私、タカシ様の奴隷にならなっても良いです……」
「ははは、でもなぁ。俺は今、性奴隷しか募集してないからなー」
「えっ」
ミリアとファラとマリーが一斉にこっちを向いたので、お誘いは行わず、適当に誤魔化しておく。
「冗談だよ。さぁ、飯だ飯。そろそろ完成だろう?」
「え、あぁ、はい! ちょっと待ってくださいね!」
「タカシさん、またいやらしい事考えてたでしょう?」
「ミリアは、いつもタイミングが良いというか悪いというか……、お風呂は終わったのか?」
「はい、終わりましたよ。タカシさんが女性に囲まれて、鼻の下を伸ばしている間に」
「ちょっとミリア、こっちきて」
「はい? 何ですか?」
ミリアを抱き寄せて、膝の上に座らせ、がっちりホールドする。
「ちょっ、な、なな何ですか!? 皆見てます!」
「俺はミリアが一番好きだからね? そんなに怒らないで?」
耳元で息を吹きかけながら、クサい言葉を述べる。
「も、もう! わ、わ分かってます、いや、分かってないです! 別に一番じゃなくて良いですからっ!」
「今日はミリア、すごい活躍だったしね、ミリア恰好良かったよ。ミリアのこと、ますます大好きになった」
「わわ、わ、たしは、当然の事をしただけでしゅ!」
マルカみたいになってる。
顔は見えないが、耳が真っ赤になっているので、照れているな。
「いつもいつも気を遣ってくれてありがとうな? 大好きだよ?」
「は、はい! わかり、分かりました! だから、もう!」
「照れているミリアも可愛くて大好き。ミリアは俺の事嫌いか?」
「か、かわっ、ちがっ、てて照れてね、です! もう! 分かりました。す、すき、好きですから! 離してくだしゃい!」
「ありがとう。俺も大好きだよ。だから離さない」
「も、もう! 好きですから! 早く!」
前だったらここでショートしているけど、もっと肉体的に恥ずかしいことしているからな。耐性が付いてしまったのだろう。
もう初心なミリアに会えないのは寂しい気がするが、仕方ない。
俯いてプルプル震えていたので、囁きを止め、離してあげると、そのまま横の椅子に座って、テーブルに顔を伏せてしまった。
「タカシ様、お上手なのですね」
「ミリアさん可愛かったです」
「だろう? こうなったミリアは一番可愛いんだよ」
後ろで完成した料理を運んできて、会話を聞いていた女の子達が話し掛けてきたので、ミリアの頭を撫でながら答えておく。
どうやら料理も完成したようだ。
ちょうど、新しく保護した女の子達も風呂から上がったようで、ぞろぞろとリビングに集まってくる。
かなりの大所帯になってしまったな。
「それじゃあ、皆席に着いてくれ」
「「「「はい」」」」
皆が席に着いたところで、今日保護した子達の方を向いてから、一言話しておく。
「えっと、いきなりここに連れて来られて何も説明がなく、風呂に入れられ、食事を出されて、困惑しているかもしれない。でも皆、ちゃんと明日には故郷に送り届けてあげるから、今日は遠慮せず、この屋敷でゆっくりしてくれ。何か分からない事があれば、そこのマルカに聞いてくれ」
そうして、いただきますをして皆で食事を摂る。
昨日保護した子達は和気あいあいと楽しんで食事をしているが、今日保護した子達はやはりまだ警戒しているのだろうか、もそもそと食事に手を付けながら、こちらをチラチラ見ている。
「どうした? 何かあれば、遠慮なく言ってくれ」
「えと、その、助けていただいたお礼などは……」
「あぁ、お礼か。お礼は体で払ってく……いてぇ!」
ミリアとファラに蹴られた。
「もう、冗談だろう?」
「タカシさんのは冗談に聞こえないんです!」
「ファラが体で払う」
「俺よりファラの方が誤解を生むようなこと言っているんですが、ミリアさん、そこは良いのでしょうか」
「ファラは……もう諦めました! だから良いんです!」
何だそれ。まぁ、良い。質問してきた子もポカンとしているし、ちゃんと答えておかないとな。
「あぁ、すまん。えっと、お礼とか気にしないでくれ。俺達の目的は盗賊を討伐することだけで、目的を達したらキミ達が居ただけだから、ついでだ、ついで」
「でも、その、こんなに良くしてもらって……」
「気にするな。そっち側に居る女の子達も、昨日盗賊に囚われていて、ついでに保護した。彼女達からもお礼を貰う事になれば、俺の体がいくつあっても足りない」
「また、そんなこと……でも、本当に気にしないでください!」
「はぁ……、本当にありがとうございます」
「いいって、いいって。これは夢だと思って、満喫してくれ」
適当に答えながら食事を摂る。
あぁ、そういえば奴隷にされた子が居たんだったな。
「ミュウちゃん、キミ奴隷にされたんだったよね」
「えぅ!? なぜ、みゅの名前知ってやがるですか」
「あぁ、盗賊のアジトに名前のリストがあったからな。それは良いとして、後で俺の部屋に来てくれ」
「な、何しやがるですか!? ま、まさか、みゅの体に欲情!? だ、ダメ! みゅはまだ九歳! 美味しくないでありますよ!」
何を勘違いしているんだ……。
ミリアより小さくて、ファラより少し大きい程度か? 年齢も九歳とは……まぁ、俺としては幼女も美味しくいただけるのだが。
それにしても、幼女のくせして、ミリアと同じく耳年増。魔族という奴等は、皆こうなのか?
「ぐへへ。どうやって食べちゃおうかなー」
「ひぃっ」
冗談を言ってみたら、思いの他怖がられた。
でも、ミリアやファラは、俺がやろうとしていることが分かっているので、さっきみたいに蹴ってきたりはしない……助かった。
「冗談だよ。ちょっと話したいことがあるからね。大丈夫、このお姉ちゃんたちも一緒に居るから」
「な、何もしやがらないですか!?」
「大丈夫大丈夫。だから、後で部屋に来てね」
「うぅ、何もしないなら行ってやる、です」
そんな冗談を言っている間に皆食事が終わっていたので、急いで食べる。幼女で遊んでいる場合じゃなかった。
残り少なかったので、すぐに食べ、お茶でまったりする。
まったりしている間に女の子達を一通り見ると、一人だけジッとこちらを見ている子が居たので気になった。
二十歳くらいだろうか、かなりのボリュームのある子だな。主に胸が。
身長があるので、かなりスタイルが良く見える。
ルリア・S・ツェルトン Lv.21 剣士
ミドルネームにS? 貴族の子なのか? 剣士レベルも高いし、何か訳ありなのかもしれないな。
「ルリアだっけ? どうした? さっきからこっち見てるけど」
「あぁ、いえ、失礼。貴方があのヴェルムのアジトを壊滅されたのですか? 嵐の去った後のような惨状でしたが……」
「そうだぞ? 魔法でびゅーってな」
「あの、ぼ、ボクを捕えたヴァン・ヴェルムは、今どこに?」
うお、この巨乳ちゃんボクっ子なのか。これは欲しい。
「あぁ、あのジジイなら、捕えた後、布団でぐるぐる巻きにして、息子と一緒に地下室に放り込んでるぞ」
「貴方が倒したのですか!?」
「そうだぞ? 最初ウチのランが戦ってたんだが、手も足も出なかったみたいだからな。俺が倒した」
「おぉ、あのヴァン・ヴェルムを倒すとは……さぞ素晴らしい技をお持ちなのでしょう」
「キミは剣が使えるようだね。小さい頃から習っているのか?」
「おぉ! ボクを見ただけで、そこまで分かるとは……流石です」
分かったのは表示されているからであって、別に俺がすごいわけではないのだが、羨望の眼差しというか、憧れの眼差しというか、これはこそばゆいな。
「まぁ、そう思っただけだ。それじゃあ、明日も早いし寝るぞ」
「は、はい! お助けいただき、ありがとうございました!」
ビシっと姿勢を正してからお礼を言われたので、適当に掌を振りながら、風呂に移動する。
ちょうどマルカとすれ違ったので、女の子達に布団や雑貨などを配布して部屋を割り当てておくよう伝える。
「マルカ、あそこの部屋に布団や雑貨を置いているから、女の子達に配ってから部屋に案内してやってくれ」
「わ、わかりまた!」
噛んでしまったマルカの頭をポンポンしてから、風呂に到着。
女の子達が入った後、ミリアが湯を抜いておいたのだろう。浴槽内にはお湯が無かったので、湯を沸かす。
そこでちょうどミリア達も来たので、一緒に風呂に入る。
風呂では、今日褒められて嬉しかったのだろう。珍しく、ミリアが体を洗ってくれたので、お礼にぐったりさせてあげる。
それを見たファラとマリーも、自分もして欲しいとねだって来たので、まとめて相手してあげる。
ランには遠慮された。
風呂で疲れを取るつもりが、逆に疲れてしまったので、そのまま部屋に移動する。
回復したミリア達には魔法の練習をさせ、それを見ながらランの尻尾と戯れていると、ミュウがやってきたのでベッドに座らせる。
「おう、来てくれたんだな。じゃあ、そこに座ってくれ」
「な、何をしやがるですか……」
「奴隷紋を見せてくれないか?」
「なっ!? やっぱりエッチな事しやがるですね!」
「そういうの良いから。それで、奴隷紋はどこにあるんだ?」
奴隷紋を見せてもらおうとしたら、立ち上がってお尻を押さえている。分かり易い子で助かる。
「ラン、この子を羽交い絞めにしてくれ」
「はーい」
「な、なにするです! やめ! だめです!」
こちらにお尻を向かせる形で、ランに羽交い絞めにしてもらい、服を捲り、パンツを脱がせる。
プニプニの可愛いお尻じゃないですか。
「やーっ! やぁ! 離しやがれです!」
ミュウが暴れようとしているが、ランの力には勝てず、そのままお尻だけ突き出した体勢になっている。
小さなお尻が左右に揺れて、見えたらいけないところまで見えてしまっていたので、暫く眺めていたが、そろそろ怒られそうだったので、お尻――奴隷紋を鷲掴みにして、解除してあげる。
「ラン、もう良いよ」
「はーい」
「むぅぅ! もうお嫁にいけないですっ!」
奴隷になってしまったのに、お嫁に行こうとしていたのか。
「ミュウ、大丈夫だよ。奴隷を解除してあげただけだから」
「はえ? 何言ってやがるですか! そんなわけ……」
「カードを出して見てみな。本当だから」
警戒されたようで、こちらから距離を取り、カードを出して確認している。エサを取られないように警戒している動物みたいだな。
「なっ!? 本当です! 何しやがったですか!?」
「だから、奴隷を解除してあげただけだってば」
「うぅ、でも乙女の大事なところを見やがりましたです!」
「乙女って歳でもないだろう? それより、ミュウは何処で盗賊に攫われたんだ?」
「みゅは乙女です! むぅ。盗賊の奴等に村が襲われて、みゅだけ森に連れてかれたです」
「村の人はどうなったんだ?」
「うぅ、皆地面に倒れてたです……おとさんもおかさんも……」
それはもう殺されてしまった、と考えるべきだろうか。
でも何でミュウだけ連れていかれたんだ?
「村から連れていかれたのは、ミュウだけなのか?」
「みゅだけです。子どもはみゅだけだったので、皆で守ってくれやがりましたが、皆斬られちまいましたです」
「そうか。どうする? 村に帰るか? 帰るなら送ってやるが」
「むぅ……もう、おとさんもおかさんも皆も居ないです」
「そうだよな。一人になるな。うーん、じゃあ、どうだ? ウチで働くか? ちゃんと給料も出すぞ?」
「仕事をくれやがりますですか!?」
「あぁ、村に戻ってもどうせ一人だろう? それに、送ってやるのは少し時間が掛かるし、それなら、ウチで働くと良い」
「うーん、エッチ魔人の巣で働くのは迷うところではありますが、魔族も居やがりますし、大丈夫そうです?」
エッチ魔人って何だよ。
ミリアの方をチラっと見て、悩んでいる風を装っている。でも、既に心の中では決まっているのだろう。ソワソワしている。
「ミリア、ミュウをウチで雇うのに、どう思う?」
「いいんじゃないですか? 村で一人になるよりは全然良いです」
魔族領はモンスターも強いって言ってたしな。一人で置きざりにしても殺されるだけなのが目に見えている。
そこも考慮しての判断なのだろう。
「ふふ、同族がそう言うなら、雇われてやるです」
雇われてやるって何だこいつ……。でもまぁ、可愛い子が増えるのは喜ばしい事だ。雇ってやるか。
それにしても、両親が殺されたっていうのに、何でこんなに元気なんだ? そういう種族なんだろうか。今度聞いてみよう。
「そうか、雇われてくれるか。じゃあ明日からよろしくな」
「よろしくされてやるですっ!」
「じゃあ、もう今日は寝ろ。俺も疲れたから、もう寝る」
「おやすみです、エロ魔人」
口の減らないミュウを部屋から追い出し、ミリア達のステータスを確認すると、まだまだMPに余裕があるようだ。
連日動きっぱなしで、MPを何回もブーストして疲れたので、先に寝ることにする。
とりあえず近くにあったモフモフ枕を使い、横になる。
「ふぁっ!?」
「はぁ。この枕も最初は暑いだけだったが、使い始めると止められないんだよな。あぁ、もふもふ」
「ちょ、ちょっとタカシくん! ランは枕じゃなっ」
「スリープ」
ランを強制的に寝かせ、右手でモフモフ、左手でポヨポヨしながら抱き枕を楽しむ。
「俺は先に寝る。キリの良いところで皆も寝るんだぞ?」
「はい……」
「ん」
「はいです」
皆が魔法の練習をしながら、ジッとこちらのモミモミパフパフを見ていたが、気にせず目を閉じる。
おやすみ。




