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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
84/145

第83話 復讐

 アジトの方に戻ると、既に皆集まり、移動の準備をしていた。


「あ、タカシさん。お帰りなさい!」

「おう、ただいま」

「かなりの大移動になりますが、どうしましょう」

「とりあえず、捕まってた子達はウチに連れて行こうかと思う」

「ウチって? クドラングの屋敷ですか?」

「あぁ。あの状態で移動は可哀想だろう」


 捕まっていた子達の方を二人で見る。

 服が破れていたり、裸足だったり、上着の無い子も居る。


「そうですね……。あれで森の中を移動は厳しいですね」

「なぁ、ミリア。奴隷って主人からどのくらいの期間離れていたら、奴隷紋が発動するんだ?」

「距離は正確には分かりませんが、大体一日って聞いています。発動したことがないので、詳しくは分かりません」


 そりゃあそうだろう。発動したら今ここには居ないんだから。

 うーん、俺の奴隷なら神口でどうとでもなるから良いけど、知らない奴だから不安だな。


「ミリア、女の子達を集めてくれるか?」

「はい、ちょっと待っててください」


 ミリアに女の子達を集めてもらう。

 その間にアジトの建物を見ると、馬が居ることに気が付いた。


「タカシさん、お待たせしました」

「あぁ、ありがとう。ミリア、盗賊は全部で何人だ?」

「ええと、確か二十八人です」

「多いな……じゃあ、あそこの馬を使って移動するよう皆に伝えてくれ。その方が楽だろう」

「それは良いですね! ちょっと言ってきます!」


 折角居る馬なんだ。このまま此処に置いていっても、餓死するだけだし、可哀想だからな。使える物は使おう。

 馬の方はミリアに任せて、女の子達に確認を取る。


「えっと、この中に奴隷にされた人は居るかな?」


――ス、ス


 エルフの二人が手を挙げた。


「他の人は? 今、奴隷じゃない? 間違いない?」

「はい、間違いないです」

「分かった。じゃあ、これを」


 インベントリ内に余っていた服と靴をエルフ二人に渡し、土魔法で簡易的な小屋を作る。


「こ、これは?」

「この中で着替えておいで。その恰好じゃ俺が襲っちゃいそうだ」


 冗談を言いつつ、小屋の中で着替えさせる。冗談には聞こえていないようだが、まぁ良い。


「他の子達は、今からとある場所に連れていく。流石にそのままの格好で森の中を移動するのは大変だからね」


 そんな話をしていると、ちょうどミリアが戻ってきた。


「タカシさん、馬が使えそうだったので、帰りは早そうです!」

「そうか、良かった。じゃあ、俺はこの子達を連れていくから、後はお願いして良いか?」

「はい!」


 ミリアに場の指揮は任せ、ファラとランに声を掛けておく。


「ファラ、ラン、俺はちょっと出掛けてくる。護衛頼んだぞー?」

「わかった」

「任せて!」


 ランが張り切っている時は心配だが、この森はそんなに強いモンスターは出ないだろうし、大丈夫だろう。


「それじゃ、この子達だけ連れていく。エルフの子達は奴隷だったから、念の為、盗賊と一緒に行動させてくれ」

「はい! 任せてください!」


「皆、俺の体のどこでも良いから触れてくれ」


 女の子達の方を向き、両手を広げて近付く。

 恐る恐るという感じで、女の子八人が腕につかまる。


――シュンッ!


 屋敷の中に移動すると、女の子達は驚いているようで、腰が抜けてその場に座り込む子や、抱き付いてくる子も居た。役得役得。


「大丈夫。ここは俺の家の中だ。安心してくれ」


 とりあえず人数分の椅子を各部屋から引っ張り出してきて、コップや水差しなどをテーブルの上に出しておく。


「ちょっと準備があるから、ゆっくりしておいてくれ。家の中は自由に移動して良いけど、外には出ないようにな。すぐ戻るから!」


 そう言って、クドラングの街の中に移動して服屋を探す。

 服屋では、人数分の服や下着を適当に見繕ってもらい、タオルや必要そうな雑貨等もついでに買っておく。

 全てをインベントリに入れた後、城の門の前に飛ぶ。


「うぉあぁ!?」


 突然目の前に現れたからだろう、物凄く驚かれている。


「やあ、どうも。アバンさん呼んでもらえますか?」

「は、はい! 只今!」


 前回とは態度も扱い方も全然違うな。相方の門番も固まって、こちらを見ようともしないし。


 しばらくすると、門番がアバンを連れて来た。


「これはこれは、タカシ様。どうされましたか?」

「えっと、盗賊に捕えられていた子達を今屋敷に匿っているんですが、体を洗ったり、着替えさせたりしてあげたいんです。男の俺がしてあげるわけにはいかなくてですね……」

「おお、人助けとは、流石タカシ様ですね! ですが、ラン様達がいらっしゃるのでは?」

「あぁ、ラン達は今ちょっと所用で出掛けているんですよ。なので、使用人などをお貸しいただけないかと、相談に来たんです」

「なるほど、そういうことでしたか! すぐに聞いて参りますので少々お待ちください」


 アバンが走って、出てきた方とは違う方に走って行った。

 門番たちと気まずい雰囲気の中、しばらく待つと、アバンだけが戻ってきた。


「タカシ様、すみませぬ。手の空いている者が居なくてですね……見習いの者でしたら何とかなるのですが、さすがにラン様のお傍に見習いを付ける訳にはまいりませんので……」

「いや、むしろ見習いの子の方が好都合です。アバンさんには悪いですが、ウチでは、ランを一人のパーティーメンバーという扱いしかしていないので、恭しくされると逆に困るんですよ」

「なんと、そうですか……。分かりました。では、見習いの者を。しかし、その、公の場では、扱いの方、お願いします、ね?」

「もちろんですよ」


 そう言ってアバンがまた走って行く。

 アバンの横で普通に聞いていた門番には、釘を刺しておく。


「あ、今の話聞いていないことにしておいてくださいね?」

「は、はい! もち、もちろんでござい、ます!」


 アバンが、メイド姿の小さな子と一緒に走ってきたが、アバンに追い付けず、転ぶ。

 アバンに立たせてもらい、涙目になりながら、また走ってくる。大丈夫かアレ……。


「タカシ様、申し訳ない。今はこの子しか……」

「ミャルカ・ルウっ、ま、マルカ・ウルダンでしゅっ! よろしくおにゃがします!」

「はい。タカシ・ワタナベです。よろしく」


 目がくりくりしてて、オドオドしていてかわいい。何の獣人だろう、羊だろうか?

 城に入れるくらいの年齢だよな? それにしても小さい。ミリアと同じくらいだろうか。

 でも、ミリアと決定的に違うところが一つだけある。


 デカイ。


 ランよりデカいな。サラと同じ? いや、身長とのギャップからして、こっちの方が大きく見える。

 いわゆる、ロリ巨乳ってやつか。これは……良い。実に良い。


「アバンさん、あなたに頼んで良かった」

「え、あ、はぁ、この子で良いのでしたら……」

「それじゃあ、早速屋敷に行こうか、マルカ?」

「マルカくん、くれぐれも粗相のないようにな?」

「ひゃいっ!」

「アバンさん、ありがとうございました。それではまた!」


 マルカの手を握って、神脚で屋敷に戻る。


――シュンッ!


「はわわわっ!? にゃ、何が!?」

「きゃああ!」


 マルカは当然ながら、突然現れた俺達に女の子達も驚いている。


「マルカ、ここが俺の屋敷だ。俺は今から用事があるから、仕事をお願いしたい」

「は、はい! 何でしょうか!」

「この子達をお風呂に入れてあげたいんだ。着替えなどの必要な物も用意した。この子達の世話をお願いして良いか?」

「は、はは、はい! わきゃりました!」


 マルカを風呂まで案内し、魔法を使って風呂を沸かせる。


「はわわっ、しゅ、すごいです……」

「ここで彼女達をキレイにしてあげてくれ」

「はい!」


 風呂は屋敷というだけあって広い。例え、八人でも余裕で入る事が出来るだろう。

 風呂からリビングに戻り、女の子達全員の顔を見て話し掛ける。


「俺は今から、あの盗賊共を騎士団に渡す為に出掛けないといけない。俺が居ない間、このマルカが皆の世話をしてくれる。まずは風呂にでも入って、すっきりしてくれ」


 そう言いながら、女の子達一人一人に、服やタオル、ブラシなどの雑貨を配る。

 服はサイズが分からなかったので、紐でサイズ調整出来る物だ。あの服屋分かってるな。


「あの、タカシ様! これは……?」

「あぁ、その恰好のままでは気持ち悪いだろう? 風呂に入った後の着替えだ。今配った物は遠慮なく、好きに使ってくれ」


 更に、テーブル上に食料や飲み物を置く。


「お腹が空いた者は、ここから好きな物を食べて良い。調理はそこで出来る。自由に使ってくれ。但し、これとは別に晩飯は皆一緒に食べるから、満腹にはならないようにな?」


 最後に、水瓶に水を補充していると一人、話し掛けてきた。


「あの……私達、これからどうなるんでしょうか……?」

「あぁ、まず、それを言うべきだったな。ごめん。一人残らず、家まで送ってあげるから、そこは安心してくれ」

「本当ですか!?」

「本当だ。でもな、今は盗賊を処分しないとまた同じ事が繰り返される。だから、少しだけここで待っていてくれ。ここに居る間は遠慮なく好きにして良いから」

「はい! ありがとうございます!」


 安心してくれたのか、皆笑顔になってくれた。

 この子達の方は、こんな感じで良いな。後はマルカに任せよう。


「それじゃ、俺はあいつらを騎士団に突き出してくるから。自由にしててくれ。マルカ、後は頼んだ」

「おまかしぇくらさい!」


――シュンッ!


 かなり心配だったが、スフラの村長宅に戻る。

 ついでにマナポーションを飲んでおく。


「おお、勇者様、おかえりなさいませ!」


 村長が出迎えてくれる。遺体の方も一部は棺に入れたようだ。

 ミリア達はまだ戻ってきていないようだな。


「皆は、まだ戻ってきてないですか?」

「えぇ、まだ戻ってきておりません」

「分かりました。また少し出てきます。戻ってきたら、待機しておくよう伝えておいてください」

「はい、畏まりました」


――シュンッ!


 スワルトの冒険者ギルド前に飛ぶ。

 こちらの姿が視界に入った者は何度も見たり、目をこすったりしていたが、無視してギルド内に入る。


 討伐の依頼を受けた時と同じお兄さんが居たので、声を掛ける。


「こんにちは」

「こんにちは。今日はどのようなご用件で?」

「いきなりですが、盗賊団のアジトを壊滅させて全員捕えました。騎士団に報告してもらって良いですか?」

「えぇ……そんな、ばかな!? 昨日の今日ですよ!?」

「はい、昨日の今日です。今はスフラ村で拘束しています」

「ちょ、ちょちょっと、待っていてください!」


 お兄さんが受付から飛び出し、外に向かって走り、ギルドを出て行った。騎士団の人を呼びに行ってくれたのだろう。

 何事かと冒険者達がこちらを向くが、無視して、しばらく受付の前で待つことにする。


 今から騎士団にスフラへ移動してもらうとして、まだ昼前だから船の移動能力次第では往復できる時間だな。

 いくら拘束しているとはいえ、村人たちも盗賊を村の中に置いておくのは嫌だろうし、出来れば今日中に引き渡したいんだよな。

 そんな時間の計算等をしていると、ガシャガシャと鎧を着た騎士がギルド内に入ってきた。受付のお兄さんも一緒だ。


「キミか、盗賊を捕まえたというのは」

「はい、俺です。今は俺のパーティーメンバーが見張っているとはいえ、出来るだけ早く騎士団に受け渡したいんですが、どうすれば良いですか?」

「ふむ。すぐにでも準備を行おう。場所はどこだ?」

「スフラ村です。盗賊は全部で二十八人居ます」

「多いな……普通の船では、どうにもならないな。うむぅ、帆船が出せるか掛け合ってみよう」


 一緒にきていた部下であろう騎士に、帆船が出せるか聞いて来いと伝え、走らせる。

 騎士を顎で使うくらいだし、この人、それなりの地位なのか?

 それにしても、帆船なんてあるのか。あんな範囲の限られた川で帆船なんて使えるのか?


「帆船って、どうやって動かすんですか?」

「ぬぅ、そういえば、キミはこの国の者ではなかったな。帆船は、風精霊の力で風力を得て進む船のことだ。覚えておくと良い」

「なるほど、勉強になりました。それで、帆船使用の可否は良いとして、今日中に引き取っていただけます?」

「そうだな。昼過ぎに移動が開始できれば、何とかなるだろう」

「助かります。では、俺は先にスフラ村に行って待ってますね」

「うむ、了解した。くれぐれも気を付けてな」

「はい。それでは」


 騎士に別れを告げて、ギルドを出た後、そのまま路地裏に移動しスフラ村の村長宅に移動する。


――シュンッ!


「わわっ!」

「おっと、あぁ、ミリアか。おかえり」

「は、はい。ただいまです。タカシさんも、おかえりなさい!」

「あぁ、ただいま。皆無事だったか?」

「はい! ちゃんと護衛できました!」


 周りを見ると皆ちゃんと戻ってきていたので、ミリアの頭を撫でながら声を掛けておく。


「皆お疲れ様。今、騎士団に引き取りに来るよう言ってきたから、しばらくは時間が掛かる。それまでゆっくりしておいてくれ」


 皆への挨拶が終わり、広場の方に移動すると、盗賊共はまとめて転がされていた。

 目を覚ましている奴も居るな。

 これから抵抗されても困る。もし武器なんか隠し持たれていても困るし、確認しておくか……。


 とりあえず端から順に、一人ずつ服を脱がして下着のみにしていく。

 男の体をまさぐるのなんてごめんなので、俺の気分を害した詫びに金目の物を持っていたら回収しておこう。

 またマナポーションを飲み、耳元で眠るよう神口を使い眠らせた後、目隠しと猿ぐつわを強くして、手足を縛り、更に隣の奴と向かい合わせて、密着させた状態で繋げて、動けないようにしておく。


 途中、面倒だったのでスリープを短縮して、個々に使えるようにしておいたが、流石に同じ作業を二十八回もやると疲れる。

 やっと処理が終わったので、そこから更に空気穴を開けた土の棺に閉じ込める。これで大丈夫だろう。

 作業工賃は16金と小銭だ。食料や女の子達の分に色々購入した分を差し引いたとしても、十分な稼ぎになったな。


 その近くにテーブルと椅子を作り、ミリア達を呼ぶ。


「疲れただろう? 甘い物でも食べて休憩しておいてくれ。ついでに、ここを見張っておいてくれ」

「はい!」

「おやつ!」

「はーい」


 かき氷機を出して、氷を生成し、シロップを置いて見張りを頼む。

 それらを見ていた村人達が集まってきたので、全員分が賄えれる程度の氷を桶に入れて、テーブルに置く。


「貴方達もお疲れ様でした。良ければ、ここで休憩してください」

「おお、ありがとうございます!」

「ファラ、彼等の分も作ってやってくれ。器くらい持っているだろうから、器は自分達で用意させると良い」

「わかった」


 そういう仕切りはミリアに任せるのが無難ではあるが、おやつの事に関してはファラが奉行になるので、任せてから村長宅に行く。


「おぉ、勇者様。この度は、本当にありがとうございました」

「いえ、救えなかった人達は申し訳ないです」

「いやいや、彼等は見る限り、数日前にはもう殺されていたようですので、勇者様のせいではありません」

「そう言っていただけると助かります。えっと、マリーは?」

「はい、マリーはそちらの部屋に移動させました」

「どうもです」


 村長の教えてくれた部屋に移動すると、まだマリーは寝ているようだった。


「んぅ、あぁ、タカシ様……」


 起こさないよう、顔を覗き込んだが、起こしてしまったようだ。

 そのままマリーの寝ているベッドに腰を下ろす。


「おう、お疲れ様。皆村に戻ってきたぞ」

「そう、です、か……あの、タカシ様。私は、これからどうすれば良いでしょうか……家族は誰も居なくなってしまいました」

「弟の事は残念だったけれど、これからは俺を家族だと思え」

「タカシ様は、私のご主人様です。家族だなんてとても……」

「じゃあ、俺は主人でも良い。でも、ミリア達は間違いなくお前の家族だからな?」

「はい……」


 こういう時に優しく声を掛けるのは苦手なんだよな。

 家族が死んだのは悲しいことだけど、盗賊に襲われてしまった時点で、こうなることは予想出来ていたことだろうし。

 早く立ち直ってほしい。

 そんなことを考えていると、マリーがこちらに寄ってきた。


「あの、タカシ様」

「ん、何だ?」

「私に、家族をください」

「だからミリア達が……」


 近い近い。


「いえ、私と血の繋がった家族を。タカシ様との家族を!」

「子どもが欲しいのか?」

「はい。お願いします」


「んー。落ち着いたらな?」

「約束です」

「あぁ、約束だ。だから、いつも通りのマリーに戻れ」

「はい! 約束です!」


 まだ子どもを作る気は無いので適当に約束しておく。いつ、とは言っていないから大丈夫だろう。誤魔化しは利く。

 それにしても、目が笑ってないな。大丈夫か、これ?


「なぁ、マリー。子どもは今度作るとして、復讐したいか?」

「復讐? えぇ、したいです。でも、私はこれでも神官を目指していた身。恨みは恨みを生むだけです。何の解決にもなりません」

「じゃあ、お前が神官になり、自ら前線に出て直接悪人を裁けば、それは復讐にはならないんじゃないか?」

「ええと、どういうことでしょう……?」

「つまり、お前は精霊が使えるからエルフの神官だ。盗賊を殺しても、それは復讐じゃなく、ただの正義の裁きじゃないか?」

「うーん……言われてみると、確かにそうです。そうですが、これは気持ちの問題なのです。復讐心があるかないか、という……」


 本当に神官みたいな面倒な奴だな。真面目君か!

 復讐したいならすれば良いじゃないか。俺には、このくらいしかできることはないから手伝うのに。


「復讐したいのか、したくないのか、本心はどっちだ」

「したいです。でも、それは……」


 ヴェルムとか言う組織には、先日のオスルムから襲撃されそうになった時から、正直俺もイライラしている。

 ここいらで一発、仕返ししておくのに良い機会かもしれない。


「俺はお前がさっき自分で言った通り、お前の主人だ」

「え、はい。そうです。私のご主人様であり、旦那様です」

「旦那て……、まぁ良い。じゃあ俺の決定には逆らうなよ?」

「もちろんです」

「よし、じゃあ、ヴェルムを壊滅させるから、俺を手伝え」

「えっ……」


 マリーがポカンと口を開けたまま、こちらを見ているが、ベッドから立ち上がる。

 その姿を見て、マリーが何か言っているが無視して部屋を出る。

 そのまま村長宅を出て、皆の居るところに移動し、盗賊を閉じ込めている棺から一番レベルの高かった奴を引きずり出す。


「勇者様、何を!?」

「タカシさん、何をするんですか……?」


 エルフの男共が興味津々に寄ってくる。ミリアも何事かと、隣に立って様子を見ている。

 ファラとランはどうでも良いといった感じで、まだかき氷を食べている。お腹痛くなっても知らないぞ。


――バシャアッ!


 引きずり出した盗賊は寝ていたので、目隠しと猿ぐつわを外し、水を掛けて起こす。


ゴルド・アザレム Lv.8 狂賊


「ぶあぁっ! くそっ! くそぉっ! 何だてめぇ!」

「うるさい、黙れ」


 自分の立場を分からせる為、レイピアで足を刺す。


「ぐああああっ! いてぇえ!」

「お前は、あのアジトのボスだよな?」

「ペッ、知らねぇよ、そう思うのならそう思えばいい」


 唾を足に飛ばされたので、ザクザク刺してあげる。


「だぁっ、ガッ、グァアッ、アァァッ!」


 こいつだけ盗賊じゃなく、狂賊だから間違いないだろう。

 神口を使い、本部の場所を聞く。


「ゴルド・アザレムのボスは何処に居る?」

「シュスルスの森です。ガアアッ、な、なん、で……!?」

「シュスルスの森の何処にアジトがある?」

「湖の近くの丘です。ぐぅっ! おい! くそがっ!」

「ゴルド・アザレム、眠れ」


 周りから見られていたので、治癒で光を出しながら何かしている風を装い、神口を使って眠らせる。

 そのまま、また目隠しと猿ぐつわをして、棺に閉じ込める。


「タカシさん、前私にもそれ使いましたよね。それって何なんですか?」

「それって何の事かな?」

「おおおお、盗賊があんな簡単にアジトの場所を教えるなんて! さすが勇者様だ!」

「もう! 教えてくれたっていいじゃないですか!」

「どうもどうもー」


 エルフ達が盛り上がっていたので、それに返事する形でミリアを適当に誤魔化しながら、ファラの下に行き、テーブルに座る。


「ファラ、俺にも一つ作ってくれ」

「うん!」


 ファラに作ってもらったかき氷を、膝の上のファラに食べさせてもらいながら、騎士団の到着を待つことにした。

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