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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
77/145

第76話 かき氷

 何か話し声が聞こえて目が覚めた。

 ミリアとファラは、まだこちらに抱き付いた状態で眠っている。

 ということは、マリーとランか。


「マリーさん、これ、どうすれば良い?」

「それは、皮を食べやすい大きさに千切っていただけますか?」

「はーい」


 なんだこれ……一晩の間に何が起こったんだ。


 ミリアとファラを起きない様に慎重に引き剥がして、笑顔で会話しながら、朝食の準備をしているマリーとランの元に向かう。


「おい、お前達いつの間にそんなに仲良くなったんだ?」

「あ、タカシくん、おはよう」

「タカシ様、おはようございます」

「あぁ、おはよう。それで、何があったんだ?」


 何の事を聞かれているのか分からなかったのか、二人して一度見つめ合って、ニコっと笑い合いながら、再度こちらに向き直る。


「何か、昨日の私とタカシ様の行為を見て感動したそうです」

「タカシくんは分かるでしょ!? 昨日のマリーさんのすごさ」

「何がすごいのか、分からん……」

「えー。自分がされてたことじゃーん。何で分からないのさー」


 マリーが俺に馬乗りになっていた件に関して言っているのだろうか。

 確かに俺とマリーがえっさほいさやってるところを、興味深々に凝視していたもんな。でも、それだけで態度が変わるものなのか?


「ラン、お前も王族で良い歳なんだし、知識くらいはあるだろ?」

「うん。男性が喜ぶことなんかは、特に色々と勉強させられたよ。淑女の嗜みなんだってさ。笑っちゃうよね、あはは」

「お前は淑女というより、野生児みたいな奴だからな。淑女なんて笑っちゃうよな。ははは」

「ひどい! ランだって女の子なんだからね!?」

「そうですよ、タカシ様!」


 そんなこと、誰が見てもそう思うだろうし、分かってるよ。

 黙ってじっとしていれば、胸も尻も形が良く、腕や足も引き締まった、スタイルの良い魅力的な美少女なんだしさ。


「じゃあ、今晩はマリーじゃなくてランが相手よろしくな」

「えぇ!? だ、だだだ、ダメだよ! ランは、その、おお、お、姫様なんだから!」

「何だ。ただの意気地なしか。分かったよ。じゃあマリー、今晩もよろしくな」

「え、あ、はい、もちろんです!」


 自分で自分の事をお姫様とか言っているのに、少しイラっとしたので、煽ってみる。


「それは、いくらランだって聞き捨てならないよ!?」

「何だ、意気地なし? 昨日は興味深々に見てたくせに」

「あ、あれは! いきなりだったから、びっくりしただけだよ!」

「びびってるじゃん。もう良いよ。ほら、飯作るんだろう?」

「むきーっ! 分かったよ! や、やって、やってやるかんね! 後悔しても知らないんだからー!」


 チョロい。


 後悔させられちゃうのか。楽しみだな。早く夜にならないかな。

 じゃない。そうだ。今日はエストルに行くんだった。ランの体より、まずはかき氷だな。

 武具屋の驚く顔とファラの喜ぶ顔が楽しみだ。あれ……そういえば、武具屋の名前って何だ? そういえば聞いていない気がする。

 ある意味得意先なんだから、後からミリアに聞いておこう。


 そんな妄想をしながら、マリーの手伝いをしていると、ランが静かになっていることに気が付き、チラっと見てみる。

 何処か遠くを見ながら自分の世界に入っている。

 それでも手では、サラダ用の野菜を手で千切りながら、うあー、あうー、んー、あわわなど、ボソボソ言っている。

 顔も真っ赤になったり、ハッとなったり、忙しいやつだ。


「よし、二人を起こしてくる。マリー、後の用意は頼んだ」

「はい、承知しましたです!」


 ミリアの方が近くに居たので、モミモミしながら声を掛ける。


「ミリアちゃーん、朝ごはんですよー」

「うぅ、んぅ。はい……」


 全然気にしていない。今日は朝に弱い日らしい。たまに、すごく早く起きて飯作っているのにな。

 ウチのパーティーも予定通り色々な種族が加わってきたし、そろそろ種族の特性なんかを勉強するべきかもしれない。


 次にファラも、揉み起こす。もとい、ペタペタしながら起こす。


「ん……タカシおはよ」

「おう、おはよう。飯だぞ」


 ミリアはまだ半分寝ている感じはするが、全員揃ったので、朝食を摂る。

 ランが加わったので、ついでに今後の予定なんかも話しておく。


「今日はエストルに行って、防具屋に寄る。その後、東に向かって旅に出るぞ。目的地はエルフの国だ」

「はい」

「ん」

「タカシ様、ありがとうございます!」

「マリーさんの国だね! でも、ここからだとかなり……あぁ! 昨日の、あのシュンって消えるやつ使うの!?」

「あぁ」


 そうか。ランは、まだ経験してないんだったな。それにしても、興奮しすぎだろう。


「ラン、一つ言っておく。俺が使う魔法や行動については、絶対にとは言わないが、あまり人に言うなよ?」

「えー、何で? 折角のすごい力なんだしさ、皆のために使っても良いんじゃないかな?」


 この世界の人間は何なんだ? 皆が皆、力を持っている者は持っていない者の為に使え、とでも思っているのか?


「面倒事に巻き込まれるのは嫌なんだよ。もし、お前達四人以外の為に俺が動くことになれば、その原因を作った奴から対価を貰うからな! それとお仕置きだ」

「あぅ……」

「わかった」

「何でもします」

「え、なに、何で皆そんなにテンション下がっちゃうの!? 対価って何、お仕置きって何!?」


 三人には一度話をしたので、理解してくれていると思いたい。

 このぽんぽこは理解できていない可能性が高いな……。


「対価は俺を性的に満足させること。お仕置きは、そうだな。ランなら、尻尾の毛を毟ってやる」

「ぎゃああ! やめて! 想像しただけで痛い! ダメだよ!? そんなことしちゃダメなんだからね!?」

「じゃあ、俺に面倒事を持ってくるなよ?」

「分かった! 分かったから、やめてよね!?」


 ふわっふわで、もっふもふだからな。すごいキレイな毛並だし、俺としても毟りたくない。

 でもこのくらい言っておかないとな。変な事に首を突っ込まれても困るしな。


 ガクガクとなっているランの頭を撫でてあげ、落ち着かせる。


「な? だから面倒な事に首を突っ込むなよ?」

「うん……わかったよぉ」


 ランに言い聞かせたところで、朝食も終わりとなった。


 そのまま、ランの準備を行うため、使っていない部屋に移動し、インベントリの武器防具を全部出す。

 ミリア達が持っている装備も、全部出してもらう。


 大量だな。これだけがインベントリに入っていたのか。何という容量だ。今度、インベントリの限界を確認しておかないとな。

 考えなしに置いたら、部屋が武器防具だけで埋まってしまったぞ。もうこの部屋は倉庫にするかな。元から家具もあまりなかったし。

 モンスターを狩る度に、皆から受け取っている素材なども、一度整理しないといけないな。


 まぁ良いか。そういうのは後で考えよう。まずはランの装備だ。


キラークロウ+2

チェインメイル+1

レザーガントレット+1

フェザーブーツ+1

パワーリスト+1


 適当に良さそうな物から選んだけど、こんな感じかな。

 選んだ装備を身に付けさせる。


 次はステータスだ。とりあえずサブジョブをセットして、今までコツコツと訓練してきたのだろうが、既に割り振られているポイントは、リセットさせてもらおう。

 いや、ポイントを下げるだけだからリセットではないな。ポイントを割り振るのは、今日の夜、俺が後悔させられてからだ。


▼ラン・フォン・クドラング Lv.11 獣闘士 Rank.E

HP:208(108+100)

MP:84(84+0)


ATK:96(48+48)

MAG:24(24+0)

DEF:104(60+44)

AGI:66(60+6)

STR:4(+ -) VIT:5(+ -) INT:2(+ -) DEX:5(+ -) CHA:4(+ -) (10)

JOB:M獣闘士Lv.11 S獣戦士Lv.1 冒険者Lv.1 獣剣士Lv.1 村人Lv.2

SKL:ハードラッシュ オーラパワー 体力上昇小

EQP:キラークロウ+2 チェインメイル+1 レザーガントレット+1 フェザーブーツ+1 パワーリスト+1

INV:王家の証 ナイフ ブラシ ハサミ 兎の肉16

GLD:白貨0、金貨31、銀貨18、銅貨0


 よし、こんなものだろう。

 それにしてもこいつ、本当に何も持ってきていないんだな。そのくせに、金だけは持ってやがる。


「それじゃあ出発するぞ。皆俺に抱き付いてくれ」


 いつもはこちらから抱き付いていくけど、人数が増えたので自分から抱き付いてきてもらうことにした。


 全員触れていることを確認して、エストルに向かう。


――シュン。


 そのままカッシュに挨拶をして、武具屋へ向かう。

 今日は、また一人パーティーメンバーが増えているので、しつこく問い質されるかと思ったが、忙しいようで挨拶しただけだった。

 何かそれはそれで寂しいな。

 まぁ、いっか。


 そうだ! それより、武具屋の名前を聞くつもりだったんだ。


「ミリア。今から行く武具屋の店主の名前聞くのを忘れてたんだよ。今更だけどさ、教えてくれないか?」

「もう! そんなんで交渉とか依頼とかしてたんですか!?」

「そうだが?」

「そうだが、じゃないです。クレイルさんです。お世話になっているので、覚えてあげてください」


 クレイルね。名前? 苗字? どっちなんだよ。名前と聞いたから名前なんだろうけど、覚えてあげてくださいと言う割には、フルネームではないところが抜けてるな。

 でも、こっちの人からすれば、クレイルと聞くだけでどちらか分かるんだろう。呼び方が分かっただけ良しとしておこう。

 それに頭の上の表示を見れば良いだけだしな。


 そんなやり取りをしている間に、先に仕立て屋の方へ到着する。

 先に服を受け取っておきたかったのもあるが、折角だし、仕立て屋にも食べさせてあげたいからな。


「あら、いらっしゃい」

「お願いしていた服、出来ていますか?」

「えぇ、完成して……あら? そちらの子は初めて見る子ね」

「あぁ、昨日から仲間になったランです。あ、そうだ。今回の服と、以前この子達に作った服を、こいつにも用意できませんか?」

「あなた、やっぱり良い男ね。仲間外れは良くないものね。優しいご主人に出会えて良かったわね、ランちゃん」


 ご主人? ランの事を奴隷だと勘違いしているんだろうな。

 これでも姫だぞ。まぁいいか。言うのは止めておこう。


「うーん、前のやつはサイズが合えば良いのだけれど。今回の服は作らないといけないのよ。今度受け取りに来てくれるかしら?」

「わかりました。また今度来ますね。ほら、ラン。サイズを見てもらいな。あと、肌着も何着か選んでおけ」

「え、うん。分かったー」

「あら、あなた良い体してるわね。うん、サイズは有りそうよ。この棚の物から選んでちょうだい」

「はーい」


 服を選ばせ、14金ということだったので支払いを済ませる。

 支払いを済ませた後になって気が付いた。武具屋を仲介に挟まなくて良かったのだろうか。

 特に何も言われなかったので、良いのかもな。


「あ、そうだ。今から武具屋で、新作アイデアのお披露目があるんですよ。良ければ来てください。美味しい物ご馳走しますので」

「あら! それは行かなくちゃいけないわね!」


 これは喜んでもらえそうだ。

 いつも、徹夜で服を作ってもらったりお世話になっているしな。ただ、鍛冶屋次第なんだけど、そこは大丈夫だろう。彼もプロだ。


 そんな心配をしつつ、仕立て屋を連れて、武具屋へ向かう。


「おぉ、タカシ様。お待ちしておりました」

「待っておったぞ。例の物も、今組立てが完了したところじゃ」

「こんにちは。仕立て屋さんにもお世話になっているので、連れてきました。良いですよね?」

「えぇ、もちろんですとも! それで、この機械とやらをどうするのでしょうか」

「ちょっと確認するので待ってください」


 簡単な構造にしたので心配は特に無かったが、確認の意味も込めて、各部を触って確認する。

 うん、可動部は頑丈に出来ているし、大丈夫そうだ。問題は刃の部分なんだよな。

 角度次第で、シャリシャリではなくガリガリになっちゃうし。


 物は試しだ。やってみるか。


 桶に水を出して、手持ちのタオルで磨いていく。

 完成したばかりだし、特に汚れているところはないな。


 次に、練習した氷を、セット部分のサイズに合わせて生成する。


 氷を機械にセットし、いざ、レバーを回してみる。


――ガリ、ガリ、ジャリ、ジャリジャリ、シャリシャリ。


 お、イケそうだな。


「ミリア、器を人数分出してくれないか」

「え、あぁ、はい。分かりました」


 試しに削った氷は、念の為タオルに包んで置いておく。

 ミリアから受け取った器をセットして、再度レバーを回す。


――シャリシャリシャリシャリ。


 良い感じだ!


――シャリシャリシャリ。


 器に削った氷が山盛りになっていく。

 これを見ると子どもの頃の夏休みを思い出すなぁ。

 次々と器に山盛りの氷が出来上がっていく。


 人数分揃ったところで、最後にシロップを出す。


「これがかき氷です。皆さん。この中から、気になった物を氷に掛けてから食べてみてください」


 皆シロップを選んで掛けたが、食べようとはせず、こちらを見ている。

 掬って食べるだけなんだが、初めての食べ物だし、どうして良いのか分からないのかもしれない。

 とりあえず、手本になるように、皆が見ている前でシャクっとスプーンに乗せて、口に運んでみせる。


 あぁ、うまい……。


「さぁ、皆もこんな感じにどうぞ。美味しいですよ」


 見よう見まねで皆も口に運ぶ。


「「「「んぅんーぅ!」」」」

「あはははは、皆同じ反応かよ!」


 面白い。久し振りに大きな声を出して笑った気がする!

 初めてかき氷を食べた人ってこんな感じになるのか。


「タカシ様、最初は何をしているのか分かりませんでしたが、これはいけますね! 氷さえあれば、売れますよ!」

「長年生きてきて、こんなに冷たい物を食べるのは初めてじゃ」

「美味しいわ。あなたは本当に面白い物を思いつくわね」


 氷はそう簡単に用意は出来ないだろうが、俺の魔力が続く限り生成することができるので、氷屋をオープンさせるのも良いな。

 武具屋にでも店を用意させることができれば、街に寄って、店に氷をストックするだけで何とかなりそうだし。


「タカシさん、甘くて冷たいです!」

「タカシ、おいしい! つめたい! おいしい! んんんっ!」

「タカシ様は流石です!」

「タカシくん、どうやって思いついたの!? すごくない!?」


 ファラが一気に食べ過ぎたようで、頭キーン現象が起きているようだ。言うのを忘れていたな。

 でも可愛いから言わなくて良かった。


 それにしても、元は俺のアイデアではないが、大絶賛だな。

 作って良かった。


「鍛冶屋さん、実際に食べてみたら、どんな削れ方をすれば美味しくなるのか、もう分かったでしょう?」

「あぁ。こればかりは食べてみないと分からんかったのぅ。これで、いつでも、何台でも作れるぞい!」

「そうですか。じゃあ大丈夫ですね。クレイルさん、これは試作品なので、もらっていきますね」

「えぇ、どうぞどうぞ。代金は頂戴しておりますので!」

「氷を置いていくので、後は鍛冶屋さんと相談してください」

「はい、ありがとうございます! それにしても、小道具から服、食べ物に至るまでタカシ様のアイデアの豊富さに、脱帽です」


 全部俺が考えた物じゃないんだけどな。絵を描いただけだし。

 そんな事を考えながら、氷を何個も生成しておく。


 量的にはそんなになかったので、皆すぐに食べ終わった。

 食べ終わった器は、表でミリアに水魔法で洗っておいてもらう。


「また近い内にエストルには来ますので、何か思い付いたら店に顔を出しますね」

「はい! 是非、お待ちしております!」

「うむ。また面白いアイデア待っておるぞ」

「それまでに服は用意しておくわね」


 ミリアが洗い終わったところで、クレイルと鍛冶屋、仕立て屋に挨拶をして店を出る。


 そのまま門まで向かい、カッシュに挨拶をする。


「また少し出てきますね」

「おう、一人増えているみたいだが、無理はするなよ?」

「ええ、もちろんです。それでは!」

「またな」


 美味しい時間は終了。ミリアとマリーに案内を頼み、東に進む。

 またおやつタイムにでも作ってあげよう。

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