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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
76/145

第75話 屋敷

 屋敷まで二時間程歩いた。どれだけ遠いんだよ……。

 もう夕方じゃないか。


「やっと着いたか。遠すぎだろ」

「だって、ここくらいしか空いてる屋敷がなかったんだもん」

「お前、嫌われてたから、遠ざけられてただけなんじゃね?」

「えぇ!?」


 ショックを受けている。

 まぁ、あの家族の会話を聞く限りあり得ないことだろうが。


「それでは、私はこれにて失礼しますね」

「え? 泊まっていかないんですか?」

「えぇ。ゆっくりしたいですが、まだ仕事がありますので」

「そうですか。今度ゆっくり話でもしましょう」

「はい。ラン姫のこと、よろしくお願いしますね。それでは!」


 アバンが鍵を渡してきたと思ったら、そのまま挨拶だけして早々に立ち去っていく。

 急いでいるみたいだし、本当に仕事でもあるのだろう。残念だ。


「さて、少し掃除でもして寝床を用意したら、風呂にしよう」

「はい!」

「ん」

「ぽんぽこ!」

「もー! 何なの!?」


 あぁ、マリーの事を忘れていた。

 これから長い間、一緒に行動することになるかもしれないんだ。喧嘩でもされたら困るし、解除してやるか。

 ドアを開け、家に入るタイミングでぽんぽこを解除しておく。


「意外にキレイだな」

「ランが使ってない間は、掃除してくれてたみたいだよー」

「してくれてたって……甘えやがって。掃除くらい自分でやれ」

「えぇ!? そんなことで怒られるの!?」


 ランからすれば、当たり前の事なのかもしれない。こんなのでも一応王族だしな。でも、だからこそ、少しイラっとした。

 それにしても、綺麗に掃除してくれているな。


「とりあえず飯でも食うか。ラン、お前も手伝えよ?」

「うん。もちろんだよー」

「ランさん、料理出来るんですか?」

「え、まぁ、うん。多分、ね」


 これ、ダメなやつだ。

 覚えさせる為に、ミリアを付けておくか。


「俺はちょっと明日の準備があるから、お願いして良いか? ミリア、ランに料理を教えてやってくれると助かる」

「はい! 任せてください!」

「ありがとうー、ミリアちゃん」

「いえいえ、では始めましょうか」


 晩飯の支度は四人に任せて、部屋を見て回る。家具も揃っているし、これは良い物件を貰ったな。

 ただ、街から離れているから買い物がな。


 どうせ寝る時は一つの部屋しか使わないのだから、部屋を見るのはこのくらいにしておこう。

 それよりも、明日のかき氷機のデモンストレーション用のシロップを用意しなくては。

 でもシロップって梅酒みたいに漬けてつくるんだろう? そんなもの作る時間なんてないしな。何か別の物で代用できないか……。


 フルーツは売っているのを買えば良い。しかし、蜂蜜はあっても練乳がない。これはかなり痛いな。

 果汁の多いフルーツを砂糖と一緒に煮込んで、簡易的なシロップにならないかミリアに聞いてみよう。


「なぁ、ミリア。ちょっと聞きたいことがあるんだが」

「さっきから何か考えているみたいですけど、また何か実験でもしてるんですか?」

「ランには、ただボーっとしてるようにしか見えないんだけど? 実験って何?」


 ミリアの指示だろうか。ランがミンチの様な物をコネコネしながら、こっちの会話に入ってくる。

 ちゃんと料理を教えてもらえているみたいだな。


「そんなもんだ。それで、フルーツとか甘い物を、砂糖で漬けた物ってあるか? ジャムって言って分かる?」

「ジャム? ちょっと分からないです。でも、果物を砂糖で漬けた物はありますよ」

「そうか。どこに売ってる?」

「野菜や果物が売っているところには大抵あると思いますよ。悪くなって食べられなくなる前に漬けたりしますから」

「ふむ。ちょっと行ってくるか。おい、ファラー。果物買いに行くからちょっと付いて来てくれ」

「わかった!」


 甘い物と言えばファラだろうから声を掛けてみたが、ミリアとの会話で何かを感じとったのだろう。

 既に手も洗って、準備が出来ていたようだ。抜け目のない奴め。


「それじゃ行ってくる。ミリア、ランの事よろしくな」

「はい。いってらっしゃい」

「え、もうそろそろ日も落ちるよ? 今から街にもど」


――シュン。


 ランの心配をよそに、ファラと共にクドラングの門の外に飛ぶ。

 これから先こういうことが増えるんだ。ランには今の内から慣れてもらおう。後はミリアがうまくフォローしてくれるはずだし。


「タカシ、漬物買うの?」

「あぁ。砂糖で漬けているあまーいやつが欲しい」

「あまいの……っ」


 おいおい、ファラちゃん。涎が出そうですよ。

 そんな期待の眼差しで前方を見ているファラと門を抜け、街の中を進んで行く。


 周りは獣人ばかりでワクワクするな。

 それよりも、何でこう、エルフや獣人って亜人は太った奴が居ないんだろうか。


 賢者を発動して隅々まで確認するが、肉付きの良い女性は居ても大体筋肉質だ。

 そういえば、ランもスラっとしているけど、出るところは出て引き締まっているもんな。

 サラは、違う意味で肉が多かったが、あれは芸術だ。仕方ない。


 はぁ……トイレ行きたい。


「タカシ、あった」

「ん? おう? トイレか?」

「ちがう! 果物!」

「あぁ、そっちか」


 仕方なく果物屋に入り、果汁の多そうな果物を選ぶ。

 そのついでに、漬けた物がないか店主に聞いてみる。


「あぁ、色々揃ってますよ。どんなものがよろしいですか?」

「蜜のようになっている、汁が多目の果物が良いです。可能であれば、味見とかしたいんですが」

「うーむ。蜜のようなもの、ですか……。それならば、これなんかいかがでしょうか?」


 赤、ではない。紫っぽいな。ブルーベリーのような色だな。


「何て言う果物です?」

「ウァッキニュムという果物です」


 棒のようなものを出してくれたので、少し味見をさせてもらう。

 うん、少し酸味があるけど、さっぱりしてて美味しい。


「これください。あと、これに似た感じで汁の多い、違う色の物なんかありませんか?」

「そうですね。後はこれとこれ、これなんかも良い感じですよ」

「味見しても良いですか?」


 どれもこれも茶色や黒っぽいものばかりだったけど、比較的明るい色を出してきてくれた。

 この店主分かってるな。


「良い感じですね。じゃあその三つもください」

「はい。シテュルスとグラナトゥムにアクティですね」

「あとはこの果物もお願いします」

「はい、ええと40銀と32銅でいかがでしょう」


 お金を渡して、瓶とフルーツをインベントリに入れる。

 フルーツでシロップを作ろうと思ったけど、本物のシロップが手に入ったので、これは晩飯のデザートにでもしよう。


 そんな事を考えながら、買った物を収納していると、店主からこんな量を何に使うのか聞かれたが、料理の研究とだけ伝えておく。

 本来、瓶では販売していないらしい。そうだよな。普通、こんなに大量にいらないもんな。


 欲しい物は手に入れたので、門を出て家に戻ることにする。


「ただいま」

「タカシくん! タカシくん! さっきの何なの!?」

「ミリアから聞いただろう? 魔法みたいなものだ」

「聞いたけど、何でそんなことできるの!?」

「出来るから出来るんだよ。それより、飯はできたか?」


 しつこいので話題を変える。


「ミリアちゃんが作ってくれたよー。じゃないの! そんな高位の魔法、何処で覚えたの!? ねぇ!」

「うるさいな。練習したんだよ」

「すっごー。ねぇ、ミリアちゃん達は使えないの?」

「えっと、私は使えません……」

「ファラも」

「私もです」


 ミリアは、このテンションについていけなかったのだろう。少し、疲れている感じがする。

 そういえば、マリーが普通に喋っていることには反応しないらしい。出掛けている間に話でもしたのだろうか。


「もういいだろ、早く飯食べるぞ」

「もー。いいじゃん。詳しく教えてよー」


 しつこいので、魔法について話ながら晩飯を食べる。


 デザートには先程買ったフルーツだ。

 剥き方が分からなかったのでファラに聞いたが、ファラは食べる専門らしい。

 結局、ミリアが食べやすい形にしてくれた。


「そんなわけで、練習したら使えるようになっただけ。ミリアとファラはまだ勉強中だ」

「そうなんだー。ランも使えるようになるかな!?」

「バカには無理だから。使えないだろうな」

「ひどい!?」


 食後のデザートも食べ終わったので、風呂に入ることにする。

 ランも一度一緒に入ったということもあり、何も言わずとも服を脱いで入ってきた。


「お前は恥じらいとか無いのか?」

「うーん。どうだろう。何かタカシくんって、この子達と自然な感じでお風呂に入っているから、恥ずかしがる方が変かなって」

「そうか。ちなみに寝る時も一緒だからな?」

「わかったよー」


 ファラの体を洗ってあげ、正式にパーティーに加入ということでランの体も洗ってあげる。

 その間にランをパーティーに入れ、ステータスを確認しておく。


▼ラン・フォン・クドラング Lv.11 獣闘士 Rank.E

HP:154(54+100)

MP:45(45+0)


ATK:27(27+0)

MAG:9(9+0)

DEF:27(27+0)

AGI:36(36+0)


STR:3(+ -) VIT:3(+ -) INT:1(+ -) DEX:4(+ -) CHA:3(+ -) (6)

JOB:M獣闘士Lv.11 Sなし 冒険者Lv.1 獣剣士Lv.1 獣戦士Lv.1 村人Lv.2

SKL:ハードラッシュ オーラパワー 体力上昇小


 闘士か。似合ってるな。

 毎度のことながら、人のステータスを見る度に、色々と気になる点がある。


 ステータスを操作していないのに、既に割り振られているな。

 ポイントも“6”しか余っていないし、本来は、訓練することでそれに合ったステータスが勝手に上がるのだろう。

 これは、ミリアから聞いていた通りだな。


 それより装備持ってないのかよ。

 モンスターが出るところに行く時は、とりあえず余っている装備でも渡しておくか。


 ランのステータスを見て色々考えていると、皆が風呂から上がり始めた。

 仕方ない。ステータスと装備は今度にしよう。


「それじゃ魔法の練習開始。ランは、寝てもいいぞ」

「えぇ!? ランも何かしたい。タカシくん、魔法教えてよ!」

「お前には無理だ。才能がない。教えるだけ無駄だ」

「むー。いくらランが獣人だからって、それはひどくない? お姉ちゃんは使えるんだから、ランだって!」


 隣に来たランに受け答えしつつ、氷を作る練習をする。


「サラは特別だ。お前には無理。見ただけで分かる――あぁ、俺の奴隷になるなら教えるだけ教えてやっても良いぞ」

「それはちょっと……パパに聞いてみないとさ」


 こいつ、城ではお父様とか言ってたけど、こっちが素か。

 それより、奴隷になることは否定しないのか。


「父親が良いって言ったら奴隷になるのかよ。お前ちゃんと考えて喋ってるか?」

「えー。ちゃんと考えてるよ! だって奴隷ってタカシくんの奴隷でしょ?」

「俺、お前を売るかもよ?」

「ひどい!? タカシくんなら別に優しくしてくれるだろうし、良いかなって思ったのに!」


 考えてるってそれだけかよ。簡単な奴だな。

 奴隷にすることも考えておこう。


 そんな事を考えていたら、皆のMPも良い感じに減っていたので、練習を終了する。


「よし、そろそろ寝るぞー」

「はい!」

「ねる」

「がんばります!」

「はーい」


 一応防犯の為、マリーの精霊には居間で警戒してもらうことにして、ベッドを繋げて下着になる。


「え!? 何で皆脱いでんの!?」

「あぁ、寝る時はこの姿って決まってるんだよ」

「タカシさんの命令なので……」

「私はタカシ様の性奴隷ですから」

「ファラも」


 適応力が高いのか、単に流されているだけなのか、ランもパンツ一枚になった。

 そのままの流れで、ラン、ファラ、俺、ミリア、マリーの順でベッドに横になり、いつもの癒しの時間がきた。


 右手でミリア、左手でファラ、上にはマリー。最高だな。

 ミリアも腕を掴んで少しだけ抵抗を見せていたが、掴んでいるだけで目を瞑っているし。攻め続けた成果か。


 ランはそんな状況を驚いた顔で凝視している。


「わっ」

「ひゃっ!?」

「驚いたか?」

「え!? はわわわ……。ごめ、その、おやすみ!」


 ランは、こちらに見入っている姿を、見られている事すら忘れていたらしい。

 驚かすと、顔が真っ赤になった状態で、あわあわ両手を振って、恥ずかしそうに、そのまま反対を向いて寝転がってしまった。


 全裸を見られても、体を洗われても、そんな姿を見せなかったランが、顔を真っ赤にして恥ずかしがっている姿が新鮮だ。


 そのまましばらくもぞもぞ動いていたが、その後動かなくなったので寝たのだろう。

 明日の夜は、からかってやるか。


 おやすみ。

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