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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
69/145

第68話 魔眼

 三人にはそれぞれ魔法の練習を行わせ、歩を進める。

 ファラには練習の合間に索敵をお願いしているが、神口でも何とかならないかと思い、千里眼以外に有用な技を開発中だ。


 とりあえず狭い範囲から実験する。


・周りに居る人の動きが分かる

・周りに居る人の動きが見える

・人の魔力見える

・魔力の届く範囲に居る人が分かる

・服が透けて見える

・魔力の届く範囲に居る人が見える

・魔力の届く範囲に居る人の魔力が見える


 おお、見える見える。凄いな。こういうの、小さい頃から憧れていたんだよな。

 あぁ夢が叶った……。もう俺の冒険はここで終わりで良いわ…。


「……タカシさん! タカシさんってば!」

「んあ、あぁ、ミリアか。もう俺は満足したよ」

「何がですか!? それより、眠たそうですね?」

「うん、もう夢心地」

「もう! それで、はい、これ。買い物した時のお釣りです」


 ミリアがお金をジャラジャラ渡してくる。

 そういえば買い物頼んだのだった。


「あぁ、もう良いよ。どうでも良くなった。それ何かに使うだろうから、ミリアが持っててくれ……はぁ……トイレ行きたい」

「もう! どうしちゃったんですか。トイレは、その、ないです」

「マリー、手伝ってくれ」

「にゃん!」


 小屋を作って、マリーに手伝ってもらう。


・・・。


 よし、これの名前は賢者と名付けよう。あと、ついでに魔力が見えるのは魔眼と名付けておこう。


「ふぅ……それで、ミリアなんだっけ」

「はぁ……お買い物のお釣りは預かっておきますね!」

「あぁ、よろしく」


 賢者と魔眼をいつでも使えるように施しておく。


「そういえば、クドラングはどのくらいで着くんだ?」

「うーん、このペースなら明日の夜までには到着するかと思います」

「夜か……着いたらすぐ宿屋だな」

「そうですね。流石に夜にランさんのところには入れてくれないでしょうし、それが良いかと」


 別に今回は急いでいる移動ではないし、まったり行こう。

 そうやって移動していると、偵察兼索敵をお願いしているファラから声がかかる。


「タカシ、街からずっと同じ方に移動してくる人が居る」

「ん? つけられてるのか? 別に何も悪いことしてないが……」


 冒険者だろうか? 家を作った後に泊めてくれとか言われても嫌だし、先に行かせるか?

 とりあえず千里眼を使って後方を確認してみる。


「あぁ、男共が六人居るな。冒険者パーティーかな?」

「そうじゃないですか? 合流します?」

「いやだよ。可愛い子達に囲まれた俺の癒し空間に入れたくない」

「なんですかそれ……。じゃあ、どうします?」

「ちょうど川もあるし、そこでおやつ休憩して、先に行かせるか」


 川の側にテーブルと椅子を作って、おやつタイムにする。

 ファラが即インベントリから余っていたプリンやクッキーなどを出して、膝の上に乗ってくる。


「にゃん、にゃん!」

「あ、そうだ。マリーが美味しそうなお茶とお菓子を買ったんですよ。それも食べましょうか」

「ん」


 うむご苦労という感じのファラを見て、マリーは微笑んでいる。

 偉そうな態度だが、場所は俺の膝の上。威厳ゼロだ。


 ミリアにお茶を用意してもらい、四人でファラの為に買ってきたのであろうお菓子を食べて、時間を潰す。


「あいつら来ないな」

「タカシ、止まってる」

「うん? あいつら動いてないのか?」

「ん」


 本当につけられているのか? 何が目的だろうか。協会に登録したミリアか? それとも事件の娘であるファラか?


「マリー、お前何かしたか?」

「にゃん!」

「ミリア、遠くから人を見る魔法とかあるのか?」

「どうでしょう。ファラみたいに召喚を使えば可能だと思います」


 召喚か。じゃあ魔術士系だよな。ミリア、ファラどちらにも関係があるし、分からないな。

 何か仕掛けてきたら、一網打尽にすれば良いか。


「ファラ、他の警戒は良い。ずっとあいつらを見ててくれ」

「わかった」

「あいつらが襲ってこないとも限らない。ここから先は、ミリアが先頭、マリー、ファラ、俺が一番後ろな」

「分かりました!」

「にゃん!」


 そろそろ夕方になろうとしているので、家を作る場所を探して歩き続ける。

 ファラの報告では、やはり一定距離を保ったまま後をつけてきているらしい。何が目的なんだ……?


 日も暮れ始めた頃、やっと家を建てる為に良さそうな場所を見つけたので、出入り口は正面のドアだけにして家を建てる。

 その中で作戦会議を行うことにした。


「ファラ、どうだ?」

「少しずつ近付いてくる」


 六人相手か。

 ダンジョンに入る前は、不意打ちだったから何とかなったが、今回は魔術士が居るかもしれないし、どうするか……。


 まずは、魔法を使わせないようにする。

 次に、攻撃させないように動きを封じる。

 可能であれば、後をつけてきた理由を吐かせる。


「こっちに来るまで、まだ時間が掛かりそうか?」

「ん」


 うーん。近付いてきたところを狙撃すれば簡単だが、殺してしまうと理由が聞けないし、難しいな。


 そういえば、封印の護符があるな。これを使えないだろうか。

 あぁ、でも封印した状態で街まで運ぶのはキツイか……。そもそもどうやって封印するか。

 土で覆って封印したら窒息するだろうし、穴を開けるか? それだと封印の効果が薄そうだな。


「ミリア、一つ聞きたいんだけどさ」

「はい、何でしょう」

「俺が土魔法を使って人を閉じ込めたとするだろ? そこに封印の護符を貼って封印したとする。でもそれだと息ができなくなるから、穴を開ける。そうなると封印って解けるか?」

「うーん、すみません……聞いたことないので、分からないです。でも、部屋には窓に隙間があったり、ドアに隙間があったりするので、少しくらいなら大丈夫じゃないか、とは思います」


 なるほど。部屋は完全な密閉状態ではないからな。

 それならいけるか?


 じゃあ、一瞬で一ヶ所に集めた後、穴の開いた土で囲んで、その上に護符を使って封印。

 ただ、魔法を使われたら困るから穴の位置が重要だな。上を向けたら水で護符が剥がれると困るし、火は……自殺行為か。土や風は、六人と土の塊を同時に浮かせるだけの威力はないだろう。

 とりあえず穴は下を向けておけば問題なさそうだな。

 よし、これでいこう。


「タカシ、そろそろ」

「分かった」


「魔眼」


 相手の位置を探る。正面に2、左に2、右に2。三人は剣、二人は杖、一人は槍。

 武器を抜いているし、これは敵意があると判断して良いだろう。それより、俺達が狙われる理由は何だよ……。

 これは理由を聞く必要があると判断し、魔法の届くであろう距離に来るまで待つ。


アレク・タタ Lv.14 盗賊

ソッズ・ガンダ Lv.18 盗賊

モート・フリート Lv.12 盗賊

メキ・ナーン Lv.21 盗賊

ザル・オクッサ Lv.16 盗賊

ケルム・ムーサル Lv.16 盗賊


 敵意があるってもんじゃねぇ。全員盗賊じゃねぇか。

 街の外からつけられていたんだろ? どうなってるんだよ。


「マリー、精霊を出して右に居る二人に先制してくれ。攻撃はして良いが、時間を稼ぐだけで良い」

「にゃん!」

「ミリアとファラは左の二人を一気に攻撃してくれ。俺は正面二人を倒したら精霊の方へ援護に行く。頼んだぞ?」

「わかった」

「わ、わかり、ました!」


 人と戦うのが初めてだからだろうか、ミリアが緊張している。

 まぁ、そこはファラがうまくフォローしてくれるだろう。


「よし、行くぞ?」

「はい!」


 ドアを開け、前方に居る二人の背後に神脚で移動。

 動きを封じる為、そのまま、二人の両足をレイピアで刺す。


「ぐああああああ」

「ってえええ」


 こいつらは剣持ちで鎧を身に付けているので、近接専門だろう。動きを封じたので放置。

 俺みたいに鎧を着て剣を持っているくせに魔法なんて使われたらどうしようもないが、そんな物好きは居ない、と思いたい。


 そのまま、二人の首根っこを掴んで、精霊が風の刃で相手を驚かせているところに、移動。

 また精霊の相手をしていた二人の両足もレイピアで刺して、四人まとめて壁で囲み、封印の護符を貼る。


 最後にミリアとファラ達の方へ移動する。

 移動したのは良いが、相手は既に倒れていた。血まみれで死にそうじゃないか……。

 とりあえず、治癒で生かしておいてやる。


「あ、あの、あの! ごめんなさい、加減が、その、分からなくて、ごめんなさい!」

「いや、死んでないし大丈夫だろう」

「ファラなにもしてない」

「うあうあ……うぅ……」


 ミリアが先制して、土魔法でズタボロにしたらしい。相手が悪かったな。ご愁傷様。


「捕まえたのは良いが、どうするかね」

「どう……しましょう……」

「にゃん?」


 小屋に隠していたマリーがひょっこり現れる。


「おう、マリー。精霊がうまく相手を驚かせてくれて助かったぞ」

「にゃん……」


 ほっとしたようだ。


「ファラ、また周りを調べてもらえるか?」

「ん」


 ファラにビーを出してもらい、周囲を確認してもらう。


「誰も居ない」

「そうか。ファラも召喚の操作がうまくなってきたな。よしよし」

「んぅ」


 そうこうしている間に、倒れている奴が意識を取り戻した。


「う、うぅ……いてぇ……がはっ」

「おい、お前等は何で俺等を襲おうとした?」

「……」


 体中が痛いのは分かるが、だんまりか。

 まぁ、それでも良い。尋問すれば良いだけだからな。

 そのためには、ミリア達三人に居てもらうと困る。


「おい、お前達、家の中で飯の準備をしてきてくれ。俺はこいつと少し話がある」

「え……でも、一人で大丈夫ですか?」

「あぁ、ミリアがズタズタにしてくれたからな。大丈夫だよ」

「うぅ……本当にごめんなさい……」


 ミリア達を家の中に移動させて、神口で尋問する。


「お前は、何故、俺等を、襲おうと、した?」

「お前が、領主から、報酬を貰ったのを、聞いたから。はっ!?」


「俺達を、襲った理由が、他にあれば、正直に、話せ」

「協会の、研究で使った、召喚石を、持っているから、取り返すよう、指示された。なぜっ!? おい、止めろ!」


「俺達を、襲うよう、誰に、指示された? 名前を、教えろ」

「名前は知らない。くそっ! 何なんだよ! いてぇっ!」


 召喚石って何だ? あのミリアに持たせている赤い石か?


「他に、理由は、ないか?」

「ない。どうなってんだよ! くそったれっ!」


「他に、仲間は、居るのか?」

「居ない。居ないよ! くそがっ! 死ねっ! ぐぅっ……」


 召喚石を奪ってくるように指示を受けた。でもそれは誰か分からない。何だよ、そんな怖い物持っていたくねぇよ。どうしよう。

 それは後からあいつらに相談するとして、とりあえずこいつら邪魔だな。


「気を失え」


 うぅ……神口を使いすぎて頭がいてぇ。

 フラフラになりながら、二人を引きずり、封印した奴等の所に行く。

 封印の護符を外して、穴を開けて、中に居る奴等にも神口を使い、気を失わせる。


「ミリアー、ちょっと出掛けてくるー。飯作って待っててくれー」


 ミリアにそれだけを伝えて、マナポーションを飲んで少しだけMPを回復しておく。

 ミリアが家から出てきて何か言おうとしていたが、そのまま右手に二人、左手に二人、更に足で二人を挟んでエストルに飛ぶ。


 流石に六人を引きずって行けないので、その場に放置して、走ってカッシュを呼びに行く。気を失ったばかりだから大丈夫だろう。


「カッシュさん、さっきは急いでたんですみませんでした」

「お、お? お前か! あれは何だったのだ」

「まぁ、それはいいじゃないですか。それより、盗賊を捕えたんですけど、どうすれば良いですか?」

「なに!? どこだ!? 襲われたのか!?」

「えぇまぁ、そんなとこです。あっちに気絶させてます。あ、縄とかあったらください」

「お、おう……」


 すごく戸惑っていたが、縄を持ってついてきてくれる。


「な、何だ……これは!? お前がやったのか!?」

「ウチの子達と一緒に居るところを襲われたので、返り討ちにしました」

「ばかなっ!? 六人だぞ!? お前達が、か……!?」

「えぇ。俺達も少しは強くなったんです。それより、ほら。早く縛らないと」

「え、あぁ、そ、そう、だな」


 二人で六人を縄で縛る。

 連れてきたのは良いがカッシュへの説明はどうしたもんか。


「よし、こんなもんか。それより、お前達は無事なのか? あの子達は何処に居る!?」

「あいつらは無事ですよ。傷一つ付いていないです。今は夕飯の支度をしてもらってます」

「はぁ……お前は、何かいつも……いや、何でもない。もっとこう、ゆっくり人生を歩むこともできるのだぞ?」

「そうですよね。可愛い奴隷達とまったり過ごすのも良いと思います。でも楽しいから良いんですよ」


 そんな事を話しながら、こいつらを捕まえた経緯などを召喚石の話抜きで伝える。


「そうか。街からつけられていたのか。それにしても、領主から褒賞とは、一体何をしたのだ」

「ちょっとモンスター討伐を」

「ふむ。その程度で領主から褒賞とは……まぁ、良い。それより、こいつらを運ぶから待ってろ。誰か街の者を連れてくる」

「はい」


 カッシュが走って門の方へ戻ったので、またマナポーションを飲んでMPを回復しておく。

 あぁ、頭が痛くて忘れていたが、一時間くらいは連続で飲んでも意味がないんだっけ……勿体ないことをしたな。


「待たせたな」


 4人程連れてきてくれたので、一人につき一人ずつ引きずりながら運ぶ。……扱いひどいな。俺も人の事言えないけど。

 でもまぁ、この世界では盗賊の扱いなんてこんなものなのか?


「それで、こいつらはこれから尋問を受けることになるが、お前はどうする?」

「うーん、そうですね。俺は夕飯があるので、あの子達の元に戻らないといけないんですよ。後は任せることってできますか?」

「あぁ、構わん。これも仕事だ。しかし、懸賞金などがあるかもしれんぞ?」

「そうですか……。それじゃあ、飯食ったら、あの子達を連れてまた来ますよ。それでいいですか?」

「分かった。では、そこの建物の中に居るから、戻ってきたら門番に声を掛けてくれ」

「はい、ありがとうございます。では、一度帰りますね」

「うむ」


 盗賊どもをカッシュに預けて、夕飯を食べる為、一度ミリア達の元に戻ることにする。

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