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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
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第63話 見栄

 朝起きると、ミリアが朝食を作っていた。起きるの早いな。

 いや、寝かせるのが早かっただけか……。


「おはよう、嫁のミリア」

「おはようございま、って嫁じゃないですから!」

「はいはい、じゃあ二人を起こしてくる」

「もう!」


 先にファラを起こし、服を着せる。

 次にマリーの口と鼻を塞ぎ、どのくらい耐えられるか試す。


「ぐぶ……」

「タカシ、何してる?」

「こいつ、昨日の夜俺に嫌がらせしてきたから、そのお仕置き」

「がっ」


 10秒程度しか持たなかったな。


「はぁはぁ……な、何事ですか!?」

「朝からうるせーよ。朝飯だ。早く起きろ」


 全裸のまま飛び上がり、周りを見回した後、自分の姿に気が付いたようで慌てて布団を被る。

 ミリアが窓を作っているから、外から丸見えになっているが、まぁ良いだろう。誰も居ないし。


「早く着替えろよ? 30秒だけやる。はい、いーち、にーい……」

「えぁ!? は、あぅ、服! 服!」

「はーち、きゅーう、あ、時間切れになると、呪いが発動します。じゅーいち……」

「あぁあぁ……早く!」


 昨日呪いを掛けるぞ、と脅してはみたけど、実際に出来るかどうか試してみたいんだよな。

 昨日の今日で、ちょうど良い機会だし、実験してみよう……。


「にーじゅく、さーんじゅ、はい、残念でした」

「あわわわ……ごめんなさい、ごめんなさいです」

「今から、マリーの発言は全てにゃんに置き換わる」


 昨日途中で不貞寝しやがった罰だ。

 そこそこ大きな魔力を込め、発動してみる。


「にゃん……にゃん!?」

「それじゃあ朝飯食うぞ」

「にゃんにゃん! にゃん!」


 これいいな。獣人に使うと夜の営みが捗りそうだ。

 マリーは放置して、何事もなかったように食事を初め、昨日と今日の事について話を進める。


「まだ街は混乱しているだろうから、今日もお休みだ」

「そう……ですね。何をするんですか?」

「そうだなぁ。昨日は俺達の関係をはっきりさせたから、今日は今後の事について少し話をしようか?」

「今後、ですか……」


 何かミリアのテンションが低いな。

 昨日叱ったのもあるが、そんなに強く言ったつもりはないが……。


「ところで、何でそんなにテンション低いんだ?」

「その、今朝起きてから色々と考えてしまったので」

「何を?」

「昨日までのこと、です」

「少しは俺に感謝して、惚れたとか?」

「いえ、そうではなくて……あ、感謝はしていますよ? 心から」


 感謝はしているらしい。ただそれだけのようだが。


「じゃあ何さ」

「私って必要かなって」

「は……? 何でそうなるんだ?」

「やっぱりタカシさんは、一人で何でも出来るんだなって思って。私が困ったら、いつもすぐに解決してくれるし」

「うん。そうだね。俺はミリアの為なら率先して動くよ?」


 そりゃあ解決するさ。女の子にはいい所見せたいしな。


「それって、私が足引っ張っているだけじゃないですか?」

「そうだとしても、お礼は体で払ってもらうしな」

「それって、私じゃなくても良いんじゃないかなって思って」

「俺はお漏らしするミリア、好きだよ?」

「もう……そういうのは良いんです! 何で、私なんですか……?」

「にゃん」


 何を言い出すんだ? 返答に困る。


「一目惚れしたから、かな」

「それじゃあ、私じゃなかった可能性もあるってことですか?」

「んー、まぁ、そうなるね」

「そうですか……」


 煮え切らないな。いつものミリアらしくない。もう奴隷でもないのでさようなら、とでも言いたいのか?


「んで、結局何が言いたいのさ?」

「その……タカシさんの様に強くなりたいです」

「強く?」

「はい、昨日のタカシさんの戦いを見てそう思いました」

「要するに、俺に恩恵をくださいって言いたいの? ……やだよ? 理由が分からないわけじゃないでしょ?」

「にゃん」

「それは……そんなに長いわけじゃないけど、タカシさんとずっと一緒に居たので、分かります」


 強くなりたいって……俺がステータスをイジってしまったからなのかもしれないが、何か勘違いしてないか?


「じゃあ、何でそんなこと言うのさ?」

「最初、タカシさんと一緒に狩りに行った時からですが……全部タカシさん一人で終わらせちゃうじゃないですか……」

「だって危険じゃん。それはミリアがいつも自分で言ってたから、分かってるでしょ?」

「はい。でも、タカシさんに守ってもらったお陰でここまで生きてこれました。そして魔導士にもなれましたし、もう奴隷でもないです。だから、これからは少しでも力になれると思うんです!」

「俺はミリアを欲しいが為に守った。俺を少しでも好きになってくれるかと勘違いして魔導士にした。奴隷の件も同じだ」

「は、はい……」

「それに、俺は守って貰いたいとか思ってもないし。ミリアの力は全て俺が与えたモノで、自分で得た力じゃないぞ? 俺の匙加減一つで、野兎にも殺される程度まで下げることができる」

「にゃん!?」

「そ、そうなんです……よね……」


 ちょっと脅しのような形になってしまったが、どうも勘違いしている感があるので、仕方がない。


「それが分かった上で、俺が嫌って言った理由を言えるの?」

「言えます! 力が欲しいが為にタカシさんの側に居るわけじゃなく、タカシさんの横に立ちたいから!」


 最近のミリアは、以前の様にテンパったりしないし、何かあったんだろうか。

 横に立ちたいとか、ある意味プロポーズみたいなものなんだが、俺の事は好きじゃないんだよな?

 分からない……。何でこんなに力を欲するようになったのか、全く理解できない。とりあえず様子を見てみるか。


「そうか……。但し、条件を付けるぞ?」

「な、なんでしょう……か」


 マリーの時より大きな魔力を口に込め、言葉を発する。


「俺を裏切れない程、俺の事を好きになれ」

「そ、それは……順序というか……その……色々と……」

「にゃん!」


 あれ? これは無理なのか……くそ、MPの無駄だったな……。

 他の言葉も試してみるか。


「俺に惚れろ!」

「突然すぎます!」


「俺の嫁になれ!」

「だからそれは無理だって……」


「好きだ!」

「はい……」

「うん」

「にゃん」


「愛してる!」

「もう……」

「ファラも」

「にゃーん」


 これ、本当に効いていないのか? 三人とも何かモジモジしてるぞ。


「好きだ!」

「うぅ……わかりましたって……」

「ん……」

「にゃん……」


 何でミリアに向かって言っているのに、ファラとマリーが反応してるんだ? 面白いけど、連発しすぎて頭が痛い……。

 何が原因なのか分からない。


「ファラが好きだ!」

「うん……」


 名前指定か……。というか真面目な話の途中だった。

 冗談はこのくらいにしてお……うお! MPがごっそり減ってる。道理で頭が痛いわけだ……。

 これ、大勢の中で使ったらその場で倒れるな……気を付けよう……。


「すまん、話が逸れた」


 一生懸命だったミリアがいきなり力を欲するとか怖いもんな……。無理だと思う事を言って終わらせよう。


「それで、条件だけど……どうしようか。どちらにしろ、エッチな事するんだ。もう俺の嫁になれよ」

「えぅ、それは、その、うぅ……」

「俺の事好きじゃないんだもんな。嫌だよな」

「タカシさんの事、嫌いではないです! でも……お嫁さんは……」

「分かった。じゃあ、この話は無し、終わりだ。嫁になっても良い気になったら、またその話をしてくれ」

「はい……」


 朝飯のつもりが、もうかなりの時間が経過しちゃったな。


「よし、じゃあ、おやつでも作ろうか。な、ファラ?」

「うん」

「にゃん」


 何かミリアがすごい落ち込んでる。

 このままじゃ、何でそんな事を言いだしたのか怖いし、神口でも使って本音を喋らせてみるか……


 二人には復習としてプリンを作ってもらうことにして、ミリアを外に連れ出す。


「タカシさん、な、何でしょうか……?」

「ミリアが力を欲するようになったことの理由を知りたくてな」

「理由……ですか。別に何もなっ」


 効くかどうか分からなかったので、変化を見る為、ミリアが喋っている間に発動させてみる。


「力が欲しい理由を話せ」

「……悔しいからです。な、え!?」


「何が悔しくて力が欲しいのか述べろ」

「……タカシさんの側に居るだけなので。な、何で!」


「力を得て何をしたいのか言え」

「……皆に頼ってもらいたいです。ち、ちがっ!」


「タカシ・ワタナベの事を好きか嫌いかで答えろ」

「……好きです。す、好きじゃ、き、嫌いです!」


 何だよ。後輩に良いところを見せたいのかよ。子どもだな……。


「そうか。俺の事が好きなのか。分かったよ。俺も好きだよ?」

「ち、ちが、ちがいっます! 何ですか、何をしたんですか!」

「別に? 何もしてないけど?」

「何したんですか! ち、違いますからね! こんな……うぅ……」


 違うのか、そうかそうか。よしよし。


「あいつらに良いとこ見せたかったんだなぁ。かわいい奴め」

「もう……やだ……あぅ……」

「分かったよ。でも、今後は俺の言う事は絶対だからな?」

「もう、好きにしてください……きゃうっ」


 理由も分かったところで、お姫様抱っこして家に戻る。

 恥ずかしいのか、両手で顔を隠していたが、お構いなしだ。


「ただいま」

「ん」

「にゃん!」


 戻った後、ミリアにもプリンを作らせ、今後の事を一人考えることにした。

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