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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
56/145

第55話 斥候

 三人になった後、ミリアにザクなんとかの位置を確認しておく。


「ザクなんとかって街、どこら辺にあるの?」

「あれ? 昨日話しませんでしたっけ……」

「うん。二日くらい北に行ったところにあるって言ってたよね」

「はい。二日くらい……あっ」


 しまった……という顔をした後、地面を見て、しばらくすると上目遣いでこちらを見てくる。

 また何かやらかしたのだろうか。


「ごめんなさい。二日って言いましたが……エストルから二日です……」

「じゃあ、ここからだと三日くらいってことか」

「はい……ずっとあの街に居たので、普通にそこから何日かって計算してしまいました……」

「別に良いよ。どうせ二日になるから」


 そう言って二人の手を掴み、エストルの近くである、初めて合成魔法の練習をした河原に移動する。


「きゃぅっ」

「んわ」


 突然だったので、またびっくりしたようだ。相変わらず可愛い声を出している。


「もう! いきなり移動するのは止めてください! 驚いたじゃないですか!」

「タカシすごい」

「ごめんごめん。でも、これで二日になったでしょ? それで、ここから北だとすると、こっち?」

「もう……そっちは西です」


 あれ? こっちだと思ったんだけど……違ったのか。


 マップを見る――あぁ、確かに西だな。俺って今まで道に迷った事なんてなかったけど、方向音痴だったっけ……?

 この世界の地理も覚えないとな……。東西南北は地理関係ないけど。


「じゃあ、道なりに進んで行けば良いだけなのか」

「はい。基本的に街から街には道が出来ていますので、そこを通って行けば良いです」

「そうなると、モンスターとか狩れないね」

「そうですね……でも、たまに出ますよ」


 近くに森とか山があるし、少しは道まで出てくるのだろう。

 でもそれだけじゃ、レベルは全然上がらないな。移動が二日といっても狩れる時に狩っておきたいし……。


「ここから街に着くまで、強いモンスターが出たりしない?」

「しないですね……多分ハーピーくらいです」

「人の作った道だし、仕方ないか。たまには魔法の練習でもしながらのんびり行こうか」

「はい」

「ん」


 そういえば、ミリアの威力はダンジョンの中で見たけど、ファラは外に出てから召喚術士になったし、まだ確認していなかったな。


「ファラ。中級になった召喚はどんな感じ?」

「賢くなった」

「え、どういうことだ?」

「勝手に動く」

「自律するってこと?」

「ん。命令すると、あとは自分で動く」


 目標を与えたら、後は自律して行動するってことか。野宿の時なんかには、護衛に使えるかもしれないな。


「自律している間は精神力ってどうなってる?」

「命令する時に調整できる。あとは、切れるまで勝手に動く」


 便利だな。強い奴を召喚出来れば、戦わせることも出来るな。


「人みたいなモノは召喚できない?」

「まだやったことない」

「じゃあさ、ミリアみたいなモノ召喚してみて。ほら。ミリアをよく見てさ」

「な、何ですか突然。ファラもやらなくて良いですって」


 ファラが両手を大きく広げてミリアを見ている。ミリアをイメージしながら魔力を生成しているのだろう。

 集中し終わったのか、しゃがんで地面に両手を付けると魔法陣が現れ、白い光がニョキニョキと出てきた。

 おお、いけるか?


「この大きさはむずかしい」


 裸のミリアが出来上がった。確かにミリアだ。

 しかし、折角の裸なのに、体は真っ白で顔がない。髪型と姿形がミリアと一緒なので、かろうじてミリアと分かる程度だ。


「服もむずかしい」

「ちょちょ、ちょっと! ファラ、消してください! 早く!」

「ん」


 ミリアにの消せ消せコールにより、ファラが一瞬にしてミリアモドキを消す。


「えー、勿体ない。ただのミリアそっくりな人形じゃん」

「だって、裸だったじゃないですか! 体のラインとか全部……」

「真っ白だったし分からないよ。よし、ファラ。これは家の中で練習しよう」

「わかった」

「もう! 何でですか! 何で私なんですか! タカシさんで良いじゃないですか!」

「ミリアが二人居たら、俺の幸せ度が二倍になるんだよ!」


 ちょっと引かれたようだ。何も言わなくなった。

 とりあえずミリアは置いといて、ファラに次の指示をする。


「ファラ、次はビーでも出してみて」

「ん」


 今度は簡単に召喚してみせる。やはり大きさが壁になるのか。


「そいつを空に飛ばして、進行方向に人かモンスターが居たら、教えるよう命令しておいて」

「わかった」


 ビーが上空に飛んでいったのを見た後、ミリアの方も確認しておく。


「ミリアは空間魔法使えるようになった?」

「まだ……です。何かコツとかないですか?」


 そういえばミリアのサブを使徒にしたから、少し教えたらすぐに覚えるだろう。

 ただ、ファラは自力で覚えたし、ミリアにも少しはがんばってもらいたい。


「ファラは、練習しておいてくれって言っただけで覚えたよ?」

「うぅ……わ、分かりました! がんばります!」


 既に進んでいる道は異なるが、ライバルが居る環境っていうのは良いな。

 すぐに覚えることになるだろうけど、その時の喜びも大きいだろうし、とりあえずはこれ以上のヒントは止めておこう。


 魔法の確認は終わったところで、次はステータスだな。

 俺とミリアの上限が解放されているから、とりあえず限界まで割り振っておこう。


STR:4(+ -) VIT:4(+ -) INT:21* DEX:4(+ -) CHA:19* (9)


 自分のステータスにポイントを振ると、予想では10ポイントだったけど、2ポイントしか割り振ることができなかった……。

 俺の最大レベルが32で2ポイント、ファラが30で0ポイントだとすると、30からはレベル1につき1ポイントということか?

 試しにミリアにもポイントを振ってみる。


STR:3(+ -) VIT:4(+ -) INT:20* DEX:4(+ -) CHA:17* (8)


 やはりそうだ……。ミリアが31で1ポイントだから、これはもう間違いないだろう。


 そうなると、ジョブの設定もまた考え直さないといけないし、ポイントを余らせておくのも勿体ないな……。


 メインは確実に上げたいジョブ、または状況に合わせたジョブにするとして、サブはステータスの上限解放用にすべきか?

 ファラは最小限のジョブしかないし、予定通りのジョブになっているから、このままで問題ない。

 でも、ミリアは魔術士と僧侶だしな……。使徒が30になるまで我慢してもらうか。念願の魔導士にもなれたことだし、少しは大丈夫だろう。


「タカシ、また実験?」

「え、あぁ、いや、ちょっと考え事してただけだよ」

「そう」


 ステータスの伸び率が緩やかになってきたし、装備も揃える必要があるな。

 それに、二人のメイン装備であるゴスロリと制服も、交互に着ているとはいえ、新鮮味が欠けてきたし。


 次の街に着いたらギルドで換金しよう。大量にビーを狩ったから、100金は超えているはずだ。

 それだけあれば防具を新調できるだろう。残りの金で新しい奴隷を迎えることも考えよう。

 足りなければ、また稼げば良いだけだ。


「ミリア、今向かってる街の近くのモンスターはどうなんだ? 強い?」

「魔族の国が近いので、強いモンスターも多いです」

「ミリアの故郷? どこら辺にあるんだ?」

「北東の方、あっちの方角ですね」


 魔族の国に近ければモンスターが強いというのがよく分からないが、強いモンスターなのであれば、その分報酬も多いだろう。これは期待できる。

 周辺のモンスターを狩ってみて余裕あれば、ダンジョンも考えることにしよう。

 一度経験したとはいえ、中に入ってみないことには、出てこられるかどうかすら分からない所っていうのは、やはり怖い。


「周辺にダンジョンはあるの?」

「ありますよ。ただ、少し古いダンジョンなので、あまりお勧めはしません」

「そうか。残念だ……」


 そう簡単にはいかないか。

 まぁ、街には狩り目的ではなく、ミリアの希望で来ただけなので、お金稼ぎではない。色々なモンスターと戦う経験が積める程度に考えておこう。


 そういえば、かなり移動したな。

 ファラの召喚している斥候ビーが優秀なので、前方の状況が分かるため、時間が掛からず移動できているからだろう。

 ほぼ魔法の練習をしながらの移動だったが、夕方になりつつあった。


「ファラ、ビーを使って周りに家が建てられそうなところを探してくれないか?」

「わかった」


 歩きながら指示を飛ばすだけで、斥候が調べてきてくれる。

 召喚術士は魔導士とは違う面で便利なジョブだな。


「あっち」

「案内してくれるか?」

「ん」


 ファラに案内してもらい、家を建てて野宿する場所を確保する。


「日も落ちてきたし、今日はここで休もう」

「はい」

「ん」


 飯を食べ、風呂に入り、ベッドに移動する。

 昨日の今日なので、あまり悪戯する気にはなれず、どうしようかと考えていたら、珍しくファラの方が先にMP切れで倒れた。

 驚いてミリアのMPを確認すると、ミリアも既に残り二桁ほどしかなく、危うく一人寂しく寝ることになるところだった。


 召喚は思っている以上にMPを消費するらしい。気を付けて見ておかないとな。


「ファラの方が先に倒れるって初めてだよな」

「そ、そうで、すね……」

「ミリアもそれ以上魔法使うと倒れるよ」

「えぇ!?」


 こう言っておけば、ミリアもこれ以上は魔法を使わないだろう。

 ファラを運び一緒に横になる。


「さ、ミリアも寝よう」

「はい……」


 二人の肌を感じながら幸せに浸りつつ、眠る。

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